2009クラシック馬のプロフィール(9)

今回は先日の仏オークスを圧勝したスタチェリータ Stacelita を取り上げます。
父モンスン Monsun 、母ソワネー Soignee 、母の父ダッシング・ブレイド Dashing Blade という血統。
まずスタチェリータの牝系で真っ先に触れなければならないのは、今年日本で桜花賞と優駿牝馬(オークス)を制したブエナビスタと同じ牝系であること。
16号族C というファミリー。
ブエナビスタで紹介したドイツ・1000ギニー、ドイツ・オークス、ドイツ・ダービーの三冠牝馬シュヴァルツゴルト Schwarzgold 。ブエナビスタの6代母に当たりますが、スタチェリータにとっては8代母に当たるのです。
その辺をもう少し詳しく見ると、シュワルツゴルトの娘シュヴァルツブラウロート Schwarzblaurot までは両馬に共通します。
シュヴァルツブラウロートの娘2頭のうち、先ずズレイカ Suleika は更に娘サンタ・ルチア Santa Lucia 、その娘アグサン Aghsan 、そのまた娘ビワハイジを経てブエナビスタに至ります。
一方シュヴァルツブラウロートの別の娘シェヘラザーデ Scheherazade の娘シェンブルン Schonbrunn 、更に娘サザン・シーズ Southern Seas 、次いでシー・シンフォニー Sea Symphony 、次にスイヴェ Suivez と続き、スイヴェの娘がスタチェリータの母ソワネーまで続いているのです。
馬の名前ばかりでややこしくなりますが、もう少し続けます。
ブエナビスタに流れ下るズレイカからは、サヨナラ Sayonara という娘を経てダービー馬スリップ・アンカー Slip Anchor が生まれます。
一方スタチェリータに流れ下るシェンブルンからは、セネカ Seneca という娘を経て凱旋門賞馬サガス Sagace が出現するという具合。
この牝系は、主にドイツを中心にクラシック級の馬を間歇的に輩出してきたファミリーと言えるでしょう。
スタチェリータの母ソワネーは5戦2勝。ドイツで1500メートルのリステッド戦に勝ち、フランスではGⅢで入着しています。ウルマン男爵の生産馬で、スタチェリータはその初仔。
2代母スイヴェは13戦2勝。その産駒にはドイツのリステッド勝馬で障害でも走ったシャイニング Shining 、27戦5勝でドイツの2200メートルのGⅡに2勝したシモウン Simoun などがあります。
もう少し遡って4代母サザン・シーズの産駒にはBCマイル、アーリントン・ミリオン、ハリウッド・ターフ・ハンデなどGⅠ4勝、1989年のアメリカ・チャンピオン芝牡馬に選ばれたスタインレン Steinlen も出てきますね。
サザン・シーズの娘ソフォニスベ Sophonisbe は、アイルランド・ダービーに勝って日本に輸入されたザグレブ Zagreb の母でもあります。
以上がクラシックに強く、しかも長距離に滅法強いスタチェリータの牝系です。
一方、父モンスンはどうかというと、これまた長距離のクラシック系種牡馬として評価して良いと思います。これもドイツが生んだ名種牡馬。
モンスン自身はオイロパ賞(ドイツ版凱旋門賞)に2度勝つなどGⅠに8勝した名競走馬でした。
その産駒から既にドイツ・ダービーの勝馬が3頭も出ています。即ち、独ダービーの他にバーデン大賞に勝ったサマム Samum 、独ダービーの他にBCターフを制したシロッコ Shirocco 、独ダービーのほか独セントレジャーとオイロパ賞に勝ったシャパレルリ Schiaparelli 。
他にもフランスでイスパハン賞、ジャック・ル・マロワ賞を制して幻の凱旋門賞馬と言われたマンデュロ Manduro 等々。
今年の仏オークス馬スタチェリータ、父系・母系のどちらから見ても凱旋門賞を制するに相応しい血統と言えましょう。去年のザルカヴァに続いて3歳牝馬が頂点に立っても不思議ではありません。

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