アルトゥール・ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィル(5)

ロジンスキ/ニューヨーク・フィルの演奏会記録集、音楽監督として2年目のシーズンに入りますが、その前に第2サマー・シーズンのプログラムです。サマー・シーズンについてはワルターの項を参照。
《第2サマー・シーズン》
1944年4月23日 カーネギーホール
 ショスタコーヴィチ/交響曲第1番
 ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/ヴラディミール・ホロヴィッツ
1944年4月30日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第3番
 リスト/交響詩「前奏曲」
 フランク/交響曲
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年5月21日 カーネギーホール
 プロコフィエフ/ピーターと狼
 サン=サーンス/ピアノ協奏曲第2番
 チャイコフスキー/バレエ組曲「くるみ割り人形」作品71-a
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  語り/フランク・ルーサー
  ピアノ/シルヴィア・ザレンバ
1944年10月1日 マディソン・スクエア・ガーデン
 ベートーヴェン/交響曲第5番
 ワーグナー/楽劇「神々の黄昏」~自己犠牲の場面
 ブランド/Carry Me Back to Old Virginny
 コーハン/Over There
 ガーシュイン/パリのアメリカ人
 スーザ/行進曲「星条旗よ永遠なれ」
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ソプラノ/ヘレン・トラウベル
《1944-1945シーズン》
1944年10月5・6日 カーネギーホール
 バッハ=レスピーギ/パッサカリア ハ短調
 ベートーヴェン/交響曲第7番
 カーペンター/「海流」(改訂版初演)
 ガーシュイン=グールド/アイ・ガット・リズム(公開初演)
 R.シュトラウス/「バラの騎士」組曲(世界初演)
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年10月8日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/交響曲第7番
 カーペンター/「海流」
 ガーシュイン=グールド/アイ・ガット・リズム
 R.シュトラウス/「バラの騎士」組曲(世界初演)
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年10月12・13日 カーネギーホール
 ボロディン/交響曲第2番
 ショスタコーヴィチ/交響曲第8番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年10月15日 カーネギーホール
 チャイコフスキー/大序曲「1812年」
 ショスタコーヴィチ/交響曲第8番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年10月19・20日 カーネギーホール
 ヘンデル=ハーティ/組曲「水上の音楽」
 メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
 ウィリアム・シューマン/交響曲第3番
 ヴィラ=ロボス/バッキアーナス・ブラジレイラス第5番
 ヴィラ=ロボス/バッキアーナス・ブラジレイラス第2番~トッカータ
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/ユーディ・メニューイン
  ソプラノ/ドロシー・カースティン
1944年10月21日 カーネギーホール
 ヘンデル=ハーティ/組曲「水上の音楽」
 チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 ピストン/勝利の歌によるフーガ(世界初演)
 ウィリアム・シューマン/交響曲第3番
 ヴィラ=ロボス/バッキアーナス・ブラジレイラス第5番
 ヴィラ=ロボス/バッキアーナス・ブラジレイラス第2番~トッカータ
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ソプラノ/ドロシー・カースティン
1944年10月22日 カーネギーホール
 ピストン/勝利の歌によるフーガ
 メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
 ウイリアム・シューマン/交響曲第3番
 ヴィラ=ロボス/バッキアーナス・ブラジレイラス第2番~トッカータ
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/ユーディ・メニューイン
1944年10月26・27日 カーネギーホール
 クープラン=ミヨー/前奏曲とアレグロ
 モーツァルト/ピアノ協奏曲ハ短調K.491
 ビゼー/交響曲ハ長調
 ドビュッシー/海
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/ロベール・カサドシュ
1944年10月28・29日 カーネギーホール
 クープラン=ミヨー/前奏曲とアレグロ
 サン=サーンス/ピアノ協奏曲第4番
 ビゼー/交響曲ハ長調
 ベルリオーズ/「ファウストの劫罰」~三つの管弦楽曲
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ロベール・カサドシュ
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サマー・シーズン4回目のブランド Bland 、コーハン Cohan はよく判りません。あるいはトラウベルが歌った歌曲なのかも知れません。
シーズン最初、カーペンターの「海流」 Sea Drift という作品は17分ほどかかる2管編成の作品で、シャーマーからスコアが出版されています。1933年に作曲されたオリジナルを改訂したのがこの版。この形での初演だそうです。
同じ日に演奏されたガーシュイン作のグールドによるアレンジ。これも公開のコンサートでは初演だった由。
更にシュトラウスの「バラの騎士」組曲。現在最も良く演奏される版で、ブージーからスコアも出ていますが、これが世界初演です。
一応シュトラウス自身のアレンジということになっていますが、実際にはロジンスキが編んだとされているもの。演奏時期からしてシュトラウスが携わったとは考えられませんからね。
10月19日から演奏されているヴィラ=ロボスのブラジル風バッハ、5番は8人のチェロとソプラノによる作品で、後に大変有名になりました。2番のトッカータは「カイピラの小さな汽車で」というタイトルで知られる楽章。カイピラ Caipira はブラジルの田舎だそうです。
21日に世界初演されたピストン作品。タイトル( Fugue on a Victory Tune )からすると戦勝記念の一品でしょう。

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