アルトゥール・ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィル(2)

2回目からはロジンスキの音楽監督時代のプログラムです。
ニューヨーク・フィルの1943-1944年は、第102回目のシーズンに相当します。音楽監督はアルトゥール・ロジンスキ、客演指揮者がブルーノ・ワルター、ハワード・バーロウ、ウイリアム・スタインバーグ。アシスタント・コンダクターにレナード・バーンスタインという布陣でした。
音楽監督はプログラムが極めて多いので、一シーズンを一度で紹介するのは無理があります。何度かに分けて取り上げることにしましょう。
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1943年10月7・8日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/「レオノーレ」序曲第3番
 ブラームス/交響曲第2番
 エルガー/ファルスタッフ
 ラヴェル/「ダフニスとクロエ」組曲第2番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1943年10月10日 カーネギーホール
 バッハ=レスピーギ/三つのコラール前奏曲~第3曲
 ブラームス/交響曲第2番
 エルガー/ファルスタッフ
 ラヴェル/「ダフニスとクロエ」組曲第2番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1943年10月14・15日 カーネギーホール
 バッハ=レスピーギ/三つのコラール前奏曲
 バルトーク/ヴァイオリン協奏曲第2番
 ベルリオーズ/幻想交響曲
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/トッシー・スピヴァコフスキー
1943年10月17日 カーネギーホール
 バーナード・ロジャーズ/侵略 Invasion (世界初演)
 ベルリオーズ/幻想交響曲~2つの楽章
 バルトーク/ヴァイオリン協奏曲第2番
 ベートーヴェン/交響曲第5番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/トッシー・スピヴァコフスキー
1943年10月21・22日 カーネギーホール
 チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
 チャイコフスキー/交響曲第4番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/ジノ・フランチェスカッティ
1943年10月23日 カーネギーホール
 チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 チャイコフスキー/歌劇「エフゲニ・オネーギン」~ポロネーズ
 チャイコフスキー/交響曲第4番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1943年10月24日 カーネギーホール
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
 チャイコフスキー/交響曲第4番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/ジノ・フランチェスカッティ
1943年10月28・29日 カーネギーホール
 マルティヌー/リディツェへの追悼
 スメタナ/歌劇「口づけ」~子守唄
 ドヴォルザーク/我が母の教えたまいし歌
 ドヴォルザーク/歌劇「ルサルカ」~アリア
 ドヴォルザーク/ピアノ協奏曲
 スメタナ/交響詩「ブラニーク」
 スメタナ=セル/弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」(管弦楽版)
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ソプラノ/ヤルミラ・ノヴォトナ
  ピアノ/ルドルフ・フィルクシュニー
1943年10月30・31日 カーネギーホール
 マルティヌー/リディツェへの追悼
 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
 スメタナ/交響詩「ブラニーク」
 スメタナ=セル/弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」(管弦楽版)
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/レオナルド・シュア
1943年11月17・19日 カーネギーホール
 カーペンター/不安な喇叭手(世界初演)
 ガーシュイン/パリのアメリカ人
 リスト/ピアノ協奏曲第1番
 サン=サーンス/交響曲第3番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/レナード・ぺナリオ
1943年11月20・22日 (演奏会場は別記)
 ベートーヴェン/「レオノーレ」序曲第3番
 カーペンター/不安な喇叭手
 ガーシュイン/パリのアメリカ人
 チャイコフスキー/交響曲第4番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1943年11月21日 カーネギーホール
 モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
 ブラームス/ピアノ協奏曲第2番
 カーペンター/不安な喇叭手
 ガーシュイン/パリのアメリカ人
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/ユージン・イストミン
1943年11月25・26日 カーネギーホール
 ベレゾフスキー/町の兵士
 ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番
 グリエール/交響曲第3番「イリア・ムーロメッツ」
 チャイコフスキー/アンダンテ・カンタービレ(25日のみ)
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/ヴラディミール・ホロヴィッツ
1943年11月27・28日 カーネギーホール
 ベレゾフスキー/町の兵士
 グラズノフ/ヴァイオリン協奏曲
 リムスキー=コルサコフ/スペイン奇想曲
 グリエール/交響曲第3番「イリア・ムーロメッツ」
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/エリカ・モリーニ
1943年12月2・3・4・5日 カーネギーホール
 ブロッホ/3つのユダヤの詩
 マーラー/交響曲第2番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ソプラノ/エニード・サント
  アルト/アストリッド・ヴァルナイ
  合唱/ウェストミンスター合唱団
1943年12月9・10日 カーネギーホール
 ノスコフスキ/交響詩「大草原」
 シマノフスキ/協奏的交響曲
 ショパン/ピアノ協奏曲第2番
 タンスマン/交響曲第5番(作曲者自身の指揮)
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/アルトゥール・ルビンスタイン
1943年12月11日 ニューヨーク音楽演劇センター
 ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第3番
 ガーシュイン/パリのアメリカ人
 マスネー/歌劇「エロディアード」~はかない幻
 チャイコフスキー/交響曲第4番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  バリトン/ローレンス・ティベット
1943年12月12日 カーネギーホール
 ノスコフスキ/交響詩「大草原」
 シマノフスキ/協奏的交響曲
 ハチャトゥリアン/ピアノ協奏曲
 サン=サーンス/交響曲第3番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/アルトゥール・ルビンスタイン
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10月17日のロジャーズ Bernard Rogers (1893-1968) はニューヨーク生まれのアメリカの作曲家。批評家や教師としても幅広く活躍した人です。新作はこの日だけの演奏。
10月末、スメタナの弦楽四重奏をジョージ・セルがオーケストレーションした版の演奏が興味深いですね。セル自身がクリーヴランドで録音したものがCD化されていました。
11月に5回に亘って演奏されたカーペンター作品も、なにやら戦争繋がりの作品のような気がします。
20日はニュージャージー州のマッカーサー劇場という所、22日はニューヨーク州キングストンのミュニシパル・オーディトリアムという所で演奏されています。
11月末のベレゾフスキー。ニコライ・ベレゾフスキー Nikolay Berezovsky (1900-1953) と言って、サンクト・ペテルブルグに生まれたロシアのヴァイオリニストですが、1923年から1929年までニューヨーク・フィルでヴァイオリンを弾いていた人。作曲家、指揮者としても活動し、亡くなったのもニューヨークでした。4曲の交響曲があるそうです。
現在のピアニスト、ベレゾフスキーとは関係なさそう。
11月25日のアンダンテ・カンタービレは何故かこの日だけ記録に載っているもので、アンコールで演奏されたのでしょうか? 委細は不明です。
12月9・10日のプログラムは極めて興味深いもの。ロジンスキらしくポーランド特集といった内容になっています。
ノスコフスキ Sigismund Noskowski (1846-1909) はワルシャワに生まれ、ワルシャワに死したポーランドの作曲家。ポーランドで交響曲を書いた最初の作曲家として知られ、3曲のシンフォニーを残しています。
Steppe と題する交響詩は作品66。18分ほどかかる作品で、ポーランドのPWMからスコアも手に入るようですし、CDも出ています。
一方タンスマン Aleksander Tansman (1897-1986) はポーランド生まれのフランス人作曲家。ピアニストとしても相当な腕前だった人で、1943年当時はアメリカに住んでいました。
交響曲は全部で7曲。この第5番は自身で指揮していますが、これはニューヨーク初演だった由。

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