ヒヨドリジョウゴ

引き続き蔓植物です。
そろそろヒヨドリジョウゴが目立つ季節になってきました。名前の由来は、ヒヨドリが鳴く頃に花が咲く、というのと、この実をヒヨドリが好んで食べるからというのがあるようです。
漢字で書けば「鵯上戸」。
鳥のヒヨドリはすっかり都会に定着してしまいましたから、それこそ一年中見掛けます。(本来は冬鳥というイメージですが)
ヒヨドリが良く鳴くようになるのは涼しくなってからのような気がしますが、その頃はヒヨドリジョウゴに限らず様々な植物が実を付けます。
一方、ヒヨドリがヒヨドリジョウゴの実を啄ばんでいるのを見たことはありません。
それでも「上戸」という語感から想像すれば、後者の説の方が正しいようにも思われます。
いずれヒヨドリが実を啄ばむ瞬間を観察してみたいものですな。
さてヒヨドリジョウゴはあまり出遭わないと思っていましたが、その気になって探すと案外たくさん見掛けます。
拙宅の周りの散歩コースでも、ほとんどのコースで少なくとも一箇所は蔓を伸ばしている姿に遭遇できることが判明しました。
ナス科ナス属ですから、あの独特な五弁の白花、そり返る花びらが特徴的。
茎など、全体に柔らかい毛があることも確認しましょう。
葉の形も面白いですね。
少なくとも私が出会ったものは、葉の形が三種類に分かれています。
株によって違うのではなく、一本の株の中に三つのタイプの葉があるということ。
即ち、切れ込みが無い卵型のもの。
切れ込みが左右に一箇所づつあり、葉全体では三つに分かれているもの。
切れ込みが左右に二箇所づつあり、葉全体では五つに分かれているもの。
図鑑の解説では「3~5片に深く裂ける」という表現になっています。
花と同時に、ヒヨドリが好むという果実も確認できます。今は未だ緑色のものがほとんどですが、熟すと紅色が鮮やか。
広辞苑では有毒と記されていますが、この果実のことでしょうか? ヒヨドリには無害なのでしょうかね。
学名は Solanum lyratum ソラヌム・リラーツム。属名のソラヌムはナス属のことですから、以前に取り上げたイヌホオズキやタマサンゴと同じ。多分「太陽」に向かうというような意味合いでしょう。
種名はよく判りませんが、どうも葉の形を表しているようです。保育社の検索図鑑によれば、「頭大羽裂の」という意味の由。
ヒヨドリジョウゴに良く似た植物にヤマホロシというものもあるそうです。林縁に生える、とありますから、郊外にでも行かなければ出遭えないのでしょう。
見た目は同じですが、ヒヨドリジョウゴに特徴的な柔らかい毛がないことで区別できるそうな。
もし毛の無いヒヨドリジョウゴに出遭ったら、それはヤマホロシ。
漢字では「山桯」とか「山白莫」と書きます。とてもじゃないが書けないし、読むことも難しい字でしょ。
すんなり読めたら相当の漢字博士であり、植物学者ということですね。
Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください