ディミトリ・ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィル(16)

ニューヨーク・フィルの第111シーズンの後半のプログラムです。

1953年4月2・3日 カーネギーホール
 パーセル=ミトロプーロス/歌劇「ディドとエネアス」前奏曲とディドの死
 ヴォーン=ウィリアムス/交響曲第4番
 プロコフィエフ/交響曲第5番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス

1953年4月4・5日 カーネギーホール
 バッハ=オーマンディ/コラール前奏曲「目覚めよ、と呼ぶ声あり」
 ベルリオーズ/歌曲集「夏の夜」
 ヴォーン=ウィリアムス/交響曲第4番
 バッハ=レスピーギ/パッサカリアとフーガ ハ短調
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ソプラノ/エレアノール・シュテーバー

1953年4月9・10日 カーネギーホール
 ハイドン/交響曲第100番「軍隊」
 シューベルト=カサド/チェロ協奏曲イ長「アルペジョーネ」
 スクリャービン/火の詩「プロメテウス」作品60
 ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」抜粋
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  チェロ/ラースロ・ヴァルガ
  ピアノ/レオニード・ハンブロ

1953年4月11日 カーネギーホール
 モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
 ハイドン/交響曲第100番「軍隊」
 ベルガー/Ideas of Order(世界初演)
 ブラームス/ピアノ協奏曲第1番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ウイリアム・カペル

1953年4月12日 カーネギーホール
 モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
 ブラームス/ピアノ協奏曲第1番
 ベルガー/Ideas of Order
 ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」抜粋
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ウイリアム・カペル

1953年4月16・17日 カーネギーホール
 ブラームス=ラインスドルフ/コラール「おお、汝正しくして善なる神よ」
 シューマン/交響曲第2番
 アイネム/オーケストラムジーク作品9(アメリカ初演)
 イッポリトフ=イヴァノフ/コーカサスの風景
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス

1953年4月18日 カーネギーホール
 フランク=ピエルネ/前奏曲、コラールとフーガ
 スクリャービン/「法悦の詩」作品54
 ボロディン/中央アジアの草原にて
 ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/アンナ・ザイディス Anna Xydis

1953年4月19日 カーネギーホール
 ボロディン/中央アジアの草原にて
 スクリャービン/「法悦の詩」作品54
 サン=サーンス/ピアノ協奏曲第2番
 フランク/交響的変奏曲
 フランク=ピエルネ/前奏曲、コラールとフーガ
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/アルトゥール・ルービンスタイン

1953年4月23・24日 カーネギーホール
 バッハ=レスピーギ/パッサカリアとフーガ ハ短調
 プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第1番
 ロックバーグ/夜の音楽(世界初演)
 ベートーヴェン/交響曲第5番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ナタン・ミルシテイン

1953年4月25日 カーネギーホール
 ベルリオーズ/歌劇「ベンベヌート・チェルリーニ」序曲
 ベートーヴェン/交響曲第5番
 ショーソン/交響曲
 ラヴェル/ラ・ヴァルス
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス

1953年4月26日 カーネギーホール
 ベルリオーズ/歌劇「ベンベヌート・チェルリーニ」序曲
 メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
 ショーソン/交響曲
 ラヴェル/ラ・ヴァルス
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ナタン・ミルシテイン

          **********

4月9日、10日のシューベルトは、解説するまでもありませんが、今では使用されなくなった楽器「アルペジョーネ」のために書かれたソナタ。現在ではチェロで代用されますが、ピアノ伴奏パートをオーケストレーションしたものはカサドの編曲で知られています。ここではカサド自身のソロで演奏。

同じ日の「名歌手」ハイライトは、歌手の名前がクレジットされていませんので、二つの前奏曲、徒弟たちの踊り、名歌手の入場場面などの管弦楽だけで演奏できる場面の抜粋だと思われます。

4月11日に世界初演されたベルガー Theodor Berger (1905-1992) は、トライスマウエルに生まれてウィーンに没したオーストリアの作曲家。フランツ・シュミットの弟子で、寡作家として知られていました。現在では殆ど忘れられていますが、かつては日本でもN響や東フィルが時々取り上げていた作曲家です。
演奏された作品は「秩序の概念」とでも訳すのでしょうか、詳細は不明です。

4月16、17日のブラームスは、晩年に作曲したオルガンのための11のコラール前奏曲の第7曲で、オーストリアの名指揮者エーリッヒ・ラインスドルフが管弦楽編曲したもの。
ラインスドルフは第8曲もオーケストレーションしていて、その2曲は主兵クリーヴランド管弦楽団とSP録音していました(いずれもアメリカ・コロンビアで、第7曲は 12969D 、第8曲が 12356D )。

同じ日のアイネムは、このオーストリアの作曲家の代表作。私も昔、ザルツブルク音楽祭の録音テープで、スーピン・メータとウィーン・フィルの演奏をエアチェックして楽しんでいたものです。

4月23、24日のロックバーグ George Rochberg (1918-2005) は、ニュージャージー州パターソンに生まれ、ペンシルヴァニア州モウルに没したアメリカの作曲家。シェーンベルクとマーラーの影響を受けた人で、後年は調性音楽に回帰していました。
この日に世界初演された「夜の音楽」は、交響曲第1番の第2楽章に当たるもの。3管編成で書かれ、スコアはセオドア・プレッサー社から出版されています。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください