トライアルはまだまだ続く
トライアル戦花盛りのヨーロッパの週末、昨日の日曜日はアイルランドのレパーズタウン競馬場でトライアル戦が行われています。そのレポート。
先ずはデリンスタウン・スタッド・ダービー・トライアル(ＧⅡ、３歳、１マイル２ハロン)。地元エイダン・オブライエン厩舎が圧倒的に強いレースで、師はこれまでに７勝を記録しています。即ち、１９９８年(リスク・マテリアル Risk Material)、２００１年(ガリレオ Galileo)、２００２年(ハイ・シャパラル High Chaparral)、２００４年(イェーツ Yeats)、２００６年(ディラン・トーマス Dylan Thomas)、２００７年(アーチペンコ Archipenko)、２００９年(フェイム・アンド・グローリー Fame And Glory)。
今年の出走馬は僅かに４頭でしたが、この結果を軽視してはいけません。
そのオブライエン厩舎は２頭出しで臨みましたが、へファーナン騎乗のアット・ファースト・サイト At First Sight が速いペースでレースを引っ張ります。１マイル２ハロンを目一杯スタミナ勝負に持ち込みましたから、各馬の能力は余すところなく引き出され、紛れは無いと考えてよいでしょう。レース関係者ほぼ全員がこの意見です。
逃げ馬を最初に交わしたのはアドレス・アンノウン Address Unknown でしたが、ムルタ騎乗のオブライエン厩舎のエースであるミダス・タッチ Midas Touch が最後方から伸び脚鋭く追い込み、アドレス・アンノウンに２馬身差を付けて快勝しました。３着は更に４馬身差で逃げたアット・ファースト・サイトの順。
１・２着馬は人気譲らず、共に２対１のジョイント・フェイヴァリットでした。
これでオブライエン師はこのレース８勝目。ミダス・タッチの父ガリレオもこのレースに勝ってダービーを制覇していますから、ミダス・タッチのダービー人気も一気に１２対１から１４対１程度に上がっています。
今年のダービーは混戦ムード、ミダス・タッチはむしろセントレジャー向きの馬ですが、局面によってはダービーを本格的に目指すかも知れません。
いずれにしても今年の冬は異常に寒く、各厩舎も例年より馬の調整が遅れている状況です。暖かくなって一気に成長のペースを上げてくる馬もありそう。トライアルはあくまでも調整の一過程と見做した方が良さそうですね。
ところで Midas Touch 、レース実況などでは｢マイダス・タッチ｣と発音しています。確かに英語圏ではマイダス・タッチと読むべきでしょうが、この馬名は明らかにギリシャ神話のミダス王に由来するもの。ミダス・タッチと言えば金儲けのコツという意味も持っています。私はより耳慣れた「ミダス・タッチ」で通そうと思いますので悪しからず。
続いてデリンスタウン・スタッド・１０００ギニー・トライアル(ＧⅢ、３歳牝、１マイル)。これはもちろんアイルランド・１０００ギニーのトライアルとして位置付けられているもの。
今年は１頭取り消しがあり、７頭立てで行われました。
ダービー・トライアル同様、ここも人気は割れて２頭が並んで１番人気(２対１のジョイント・フェイヴァリット)に支持されました。４月の未勝利戦を楽勝したピクチャー・パーフェクト Picture Perfect と前走ネル・グィン・ステークス(８着)を使ったアタサリ Atasari 。
直線でアタサリが先頭に立ち人気に応えたと思われた直後、５対１の伏兵ベスラー Bethrah がジワリと追い上げ、接戦を首差制して優勝。３着は１馬身４分の１差でヘン・ナイト Hen Night が入りました。
人気の一角ピクチャー・パーフェクトは５着敗退。
ベスラーはデルモット・ウェルド厩舎、パット・スマーレン騎乗のコンビで、このコンビは第３レースのハンデ戦に続いてこの日ダブル達成です。
ベスラーは躊躇うことなくアイルランド１０００ギニー(５月２３日)に向かうでしょう。
この日はもう一鞍、アメジスト・ステークス(ＧⅢ、３歳上、１マイル)も行われました。２００７年からＧⅢに格上げされたマイル戦ですね。
僅か５頭立てですが、ゴール前はスリリングでした。１対３と圧倒的な１番人気に支持されたフェイマス・ネイム Famous Name が先行して楽勝と見えたレース、最後方待機のキング・ジョック King Jock が鋭く追い込み、両馬鼻面を揃えてゴールイン。写真判定の結果、フェイマス・ネイムが短頭差でキング・ジョックを抑えていました。
３着は４馬身半離されてローズ・ヒップ Rose Hip 。
勝ったフェイマス・ネイムもウェルド厩舎、スマーレン騎乗ですから、目出度くハット・トリック達成。
２着のキング・ジョックは今年９歳になるヴェテランで、イタリアでＧⅡに勝ったこともある古豪です。
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