アイルランドもキック・オフ
続いて3月23日の日曜日に行われたヨーロッパ競馬を紹介しましょう。
アイルランドの平場シーズン開幕を告げるカラー競馬場から、パーク・エクスプレス・ステークス Park Express S (GⅢ、3歳上牝、1マイル)。今年12回目、GⅢとしては9回目となる歴史の浅い一戦です。
馬場はシーズン初頭らしく soft to heavy 、3歳から5歳まで12頭が顔を揃えました。土曜日のウインター・ダービーとは違って全馬がシーズン初戦。仕上がりの早さも馬券検討の大事な要因でしょうか。9対4の1番人気に支持されたのは、前年をナースのリステッド戦勝利で締め括った4歳のワンナビ―・ベター Wannabe Better 、G戦の出走経験はありますが、このクラスでの勝利は未だありません。
レースはインディゴ・レディー Indigo Lady の逃げ。イギリスから遠征してきた2番人気(4対1)のオードリズ Odeliz がこれを追走し、残り2ハロンで先頭に立ち逃げ込みを図りましたが、10対1で並んだ5番人気のヴォート・オフン Vote Often が測ったように追い込み、オードリズを頭差抑えて優勝。3馬身4分の3馬身差が付いた3着には4番人気(8対1)のアクナーハ Achnaha が入りました。人気のワンナビ―・ベターは中団のまま6着敗退。
勝ったヴォート・オフン、3着のアクナーハは何れも明け3歳馬で、シーズン最初から古馬と対戦しながらクラシックに向かっていくところが如何にもヨーロッパの競馬という印象。もちろん3歳と古馬とでは1ストーン以上の負担重量差があります。
ヴォート・オフンはデルモット・ウェルド厩舎、パット・スマーレン騎乗で、去年2戦目にナースの未勝利戦で初勝利を記録した馬。これが3戦目となります。血統からも重い馬場を得意とするタイプの様で、馬場の悪いシーズン初めに標準を合せて調教してきたのも厩舎作戦の一つでしょう。順調に行けば愛1000ギニーが目標か。
ところでこのレース、ここまで13回の歴史で勝馬の全てがノーザン・ダンサー Northern Dancer 系種牡馬の産駒というのが目を惹きます。今年もまた制したのはノーザン・ダンサー系種馬ビート・ホロウ Beat Hollow の娘。このサイアー・ラインはヨーロッパの父系主流中の主流で当然と言えば当然でしょうが、他の父系が入り込む隙がないというのも珍しいレースと言えそうですね。
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