ネニエの4番ホルン

音楽ネタ

昨日は有楽町、東京国際フォーラムのマエストロサロンに参加してきました。2007/08シーズンの第1回目です。今シーズンから原則はコンサートの行われる週の水曜日ですが、合唱作品が入る場合は例外として前日。つまり昨日の火曜日でした。いきなり例外ですから、勘違いした人もいたんでしょう。

マエストロ・ラザレフ、相変わらずエネルギッシュというか、自分のペースでどんどん行きます。まぁ、ホームページでは今日から音声で聞けるでしょう。

プロコフィエフも然ることながら、リャードフは目から鱗でしたね。今回は2曲、最晩年の作品で黙示録(アポカリプス)と挽歌(ネニエ)が取り上げられます。
黙示録については、マエストロがスコアを持参してきました。そこに書かれていることを通訳氏(ロシア人のアレキサンダーさん)が日本語に直しながら紹介してくれます。聖書の黙示録冒頭ですね。音楽はこの通り描写されていきます。

挽歌については面白いことを明かしてくれました。この曲はホルンを4本使うんですが、4番はたった一つの音を吹くだけ。今日の練習でも4番奏者(宮武氏)にそこを吹かせて解説があったそうです。
ここはホルンを節約して書くことも出来たはずですが、リャードフはたった一つの音のために4番目のホルンを使ったのです。この音があるから、挽歌はりャードフの作品なのです。

う~ん、これって凄い話だぞ。新井さんも言ってたけど、説明されなきゃ判らない事です。指揮者はここまでスコアを読むのか、楽譜ってこういう風に読むのかぁ。

帰ってからスコア見ましたよ。これはフルート3、オーボエ、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、弦5部で書いてあります。クラリネットは2本というだけじゃなく、A管とB管。
最初クラリネットのA管とB管の対話があり、弦楽器が神秘的なメロディーを歌っていきます。2小節の繋ぎがあって、同じ事の繰り返し。但し対話はオーボエとクラリネットB管、メロディーは4度上で弾かれます。
このあと対話の旋律を使った短いコーダがあってお仕舞い。

4番ホルンは何処に出るか、というと、2小節の繋ぎ。4本のホルンが和音を吹きますが、4番→2番→3番→1番の順に、レ♯→ファ♯→ラ→ド、となっています。つまりレ♯の音だけの2小節。ここがリャードフなんだそうです。

本番では耳を研ぎ澄ませて聴かなければいけません、皆様。

先日のショスタコーヴィチ第5が素晴らしかった、という話題も参加者の間で出ていましたね。それをマエストロに訊かれた方がいました。

マエストロの答え。

“音楽作品をただ単に聞くだけならCDで充分でしょ。演奏するからには伝えるべきこと、指揮者というフィルターを通して訴えるメッセージ、表現したいこと、それがなければならない。そういう演奏しか、私は聴かない。”

私なんか、この間の感想でも、ただ仰け反るばかり、としか表現できませんでしたが、これでラザレフの秘密が判りましたね。あのショスタコーヴィチ演奏が何故あれほど感動的だったか。

それは単なる「演奏」を超えて「表現」があったから。その「表現」力が感動に通じていた。

ラザレフって凄い!!! 改めてそう思いましたわ。こりゃ1回も聴き逃せないぞ。

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