読売日響・第464回定期演奏会
読売日響の定期演奏会、下期の開幕コンサートです。それにしては?・・・。ま、それは後で。以下のもの。
第464回定期演奏会 サントリーホール
《下野竜也プロデュース・ヒンデミット?》
ヒンデミット/歌劇「ヌシュ・ヌシ」から舞曲
ヒンデミット/交響曲「画家マチス」
~休憩~
シュレーカー/組曲「王女の誕生日」
細川俊夫/オーケストラのための「ダンス・イマジネール」(読売日響45周年記念委嘱作)
指揮/下野竜也
コンサートマスター/デヴィッド・ノーラン
フォアシュピーラー/小森谷巧
まず感想。と言っても、作品についてはコミュニティ聴きどころに書きました。今日はそれを追体験したコンサートです。
前半は、下野が集中して取り上げる方針を打ち出している二人の作曲のうちの一人、ヒンデミットの作品です。態々プログラムにも《》を付けてプロデュースしているもの。
彼の意気込みが充分に伝わってくる力演でした。特にヌシュ・ヌシは滅多に取り上げられないだけに、我々としても貴重な体験。作品は予習した通り、ズバリそのものと言う感想を持ちました。
響きがやや硬く感じられるのは、最近聴いたサントリーでの印象に共通するので、あるいはホール改修の影響なのかもしれません。よく判りませんけど。
画家マチスは、そのせいで多少違和感がありましたが、全体としてはスピード感があり、ヒンデミットの面白さを満喫しました。
ただ下野の指揮で最近感ずるのは、どの曲を聴いても皆同じように聴こえてしまうこと。チョッとこれが気になりました。記憶に残っているものでは、都響で演奏したオネゲルとミヨーがありますが、フランス音楽でもドイツ音楽でも同じように聴こえてしまう。
作品によって、作曲家によってもう少し特徴を明確に打ち出してくれないかな。まぁ、この点を現在の彼に求めるのは酷かもしれません。今はどんな作品でも先入観なしにチャレンジし、様々な表現を多くの作曲家から吸収する時期なのでしょうから。
オーケストラの響き、言葉は不適切かも知れませんが「表現の単調さ」は、後半では全く気になりませんでした。何よりシュレーカーの面白いこと。
私にとって「王女の誕生日」はナマ初体験ですが、20分間があっという間でした。オーボエ(蠣崎)、チェロ(嶺田)の見事なソロに酔い、シュレーカー独特の美しいメロディーに身を委ね、ギター4・マンドリン4を加えた不思議なオーケストレーションに耳を洗われる想い。シュレーカーはもっと聴かれてよい作曲家でしょう。
ここで舞台大転換があります。細川作品の準備。
下野氏、マイク片手に登場。作品解説を始めるのかな、と思いましたが、45周年の挨拶。曲についてはプログラムを見てください。
その間も楽器のセッティングが淡々と進み、指揮者の左手にハープ、右手にピアノが置かれます。このピアノ、やや小振りのもので、出てきた音からしてプリペアードされていたのかも知れません。
更にホール客席の左右、LAとRAの最上階に夫々ホルン・トランペット・トロンボーンが1組づつ待機します。
これらの特殊な楽器編成や配置については何の説明もなし。細川氏も客席で眺めているだけです。折角の機会、当面の再演は計画されていないのでしょうから、指揮者にしても作曲家にしても、もう少し新作についてのアピールがあっても良いのじゃないでしょうか。そう考える私が異常なのか?
ということで、21分とだけ書かれた新作が始まります。正直に告白すれば、私は細川作品が苦手です。これまで聴いた範囲では、もやもやした雰囲気の音が暫く鳴って終わってしまう。そういうイメージ。
それに比べると、今回のダンス・イマジネールは面白かったですね。ダンスをイメージしているということですが、西洋風のダンスではなく、日本の舞い、能・雅楽などが根底にあるのでしょう。左右に振り分けられた打楽器、特に大太鼓の微かな音で始まります。
途中ではかなり激しい部分もありますし、音色的に快感を覚えるほどの楽しさもあります。ステレオ効果で上からブラスが降り注ぐ。真中辺りでトロンボーンが指揮台の横に進み出て、ハープと不思議な掛け合いを演ずる等々、視覚的にも工夫が施されていました。
ただ、いかにも長い、という感想が残りました。構成的にはシッカリしているように受け止めましたが、やや冗長。最初の面白さが持続しないのです。もちろん私の聴き方に問題があるのでしょうが・・・。
感想はこんなところですが、冒頭の疑問符について。
開演前、日にちを間違えたのかと思うほどに、客席がガラガラでした。入りは半分以下だったのじゃないでしょうか。私の前後は定期会員席だと思いますが、見事に空席。贔屓の指揮者の時には必ず来ているヒョーロンカUはもちろん、例の最前列オペラグラス男もいません。こんな連中は来なくて幸いというものですが、あまりにも入りが悪い。
何が理由なんでしょね。アンケートしてみたらどうかしら。もちろん来場者じゃなく、欠席した定期会員やいつも来る常連にですよ。
今日のコンサートに来なかったのは何故ですか。
1.曲目に魅力がない。
2.指揮者に魅力がない。
3.他の、より魅力があるコンサートに行った。
4.演奏会の日時に問題がある。
5.演奏会場への交通の便が悪い。
6.その他、何でも気が付いたことがありましたら、記入してください。
ってな具合にね。
最初に書いたとおり、第464回は下期シリーズの幕開け、正指揮者がプロデュースした渾身のプログラム、のはず。それでこの不人気とは・・・。
私としても、コミュニティに聴きどころを書いたし、ついては海外から楽譜とCDを取り寄せて貴重な時間も割きました。
何か虚しさを感じましたね。私としては、下期シーズンで最も聴きたいコンサートはこれでした。下野くん渾身のプロと見たし、それなりに期待を持って出かけたのです。
もちろん客席の反応はまずまずでしたよ。しかし有名指揮者の名曲コンサートに比べれば、客席は冷ややか、と言わざるを得ません。
正直、失望しました。指揮者、オーケストラ楽員、曲目にでは勿論ありません。保守的な耳しか持たない聴衆に、それに対して些かの努力もしない楽団側の姿勢にです。
もぉ聴きどころなんて辞めちゃおか。アクセスでは段違いのブログに転身しようか。そんなことまで考えましたな。
あ、このコンサート、サントリー音楽財団の推薦コンサートなんですって。ペラの1枚を当日渡されましたよ。そういうことって、事前にPRすべきことなんじゃないですか。ったく、どいつもこいつも・・・。
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