やはり荒れた? 凱旋門賞

今年も荒れた、と言うべきなのでしょうか、凱旋門賞。勝ち馬は主力5頭の1頭、ディラン・トーマスでしたが、圧倒的な1番人気に支持されたオーソライズドが12頭立ての10着惨敗。逃げてバテたドラゴン・ダンサーも交わせなかったのですから・・・。
今やっと映像が入ってきました。今日のパターン・レースは次のもの。全部GⅠです。

Ⅰ アベイ・ド・ロンシャン賞 2歳上 1000メートル
Ⅰ マルセル・ブーサック賞 2歳牝 1600メートル
Ⅰ ジャン・リュック=ラガルド賞 2歳 1400メートル(旧グラン・クリテリウム)
Ⅰ オペラ賞 3歳上牝 2000メートル
Ⅰ アルク・ド・トリオンフ賞 3歳上 2400メートル(凱旋門賞)
Ⅰ カドラン賞 4歳上 4000メートル

先ずは凱旋門賞。着順は次の通りだったようです。
1 ディラン・トーマス
2 ユームザイン
3 サガラ
4 ゲッタウエイ
5 ソルジャー・オブ・フォーチュン
6 サデックス
7 マンデシャ
8 ザンベジ・サン
9 ドラゴン・ダンサー
10 オーソライズド
11 ソング・オブ・ハイアワサ
12 イエローストーン

ディラン・トーマスが先頭でゴールイン、ユームザイン(フランス語の実況ではユームザンと聞こえます)が激しく追い込みましたが、頭差くらい及びません。
映像を見ても判るとおり、ファロン騎乗のディラン・トーマス、抜け出してから激しく内側に斜行してます。少なくとも3頭が被害にあった模様。最も影響が大きかったのはザンベジ・サン。
当然ながら審議が行われました。その間何と30分。結局は、着順通り決定しましたが、もし失格となれば、2着から4着までは全くの伏兵馬、馬券はとんでもないことになったでしょうね。

進路妨害については、国により多少判断基準が異なります。フランスはこの点、極めて厳しいのです。チョッとでも他馬の進路を妨害すれば、直ちに失格です。
一方、イギリスは状況に鑑みて判断が下されることが多いようで、斜行がレース結果にどの程度影響したかによって決まる。
この点で、昨日の凱旋門賞はイギリス的決着になったようですね。最大の被害を蒙った、と見えたザンベジ・サン。実は既に足色一杯、ファロンの進路が真直ぐだったとしても、ザンベジ・サンには勝機がありませんでした。
これは採決室で、ザンベジ・サンの騎手・パスキエが強く主張したのだそうです。これによってファロンは救われました。公正なる判断、良識が生きていた、と申せましょうか。

この結果、オブライエン調教師にとって凱旋門賞初勝利。ディラン・トーマスは父・デーンヒルの最期の産駒。今後は種牡馬としての道を歩むのでしょう。ご苦労様。
馬場状態は重(ソフト)、ディラン・トーマスにとってはもう少し乾いて欲しかったのでしょうが、よく克服してくれました。

2着のユームザイン、思い起こせば、今年のキング・ジョージで2着に来てます。凱旋門とキング・ジョージは同じ馬の1・2着だったんですねぇ。今更、う~ん。
3着サガラはパリ大賞典3着馬、3歳では最先着しました。評価が低すぎたのか、他の人気馬たちが過大評価だったのか・・・。
4着ゲッタウエイ。これまたウルマン男爵とファーブル調教師。またしてもマンデュロの呪いか。
ソルジャー・オブ・フォーチュンは負けましたが、彼には来年があります。次の凱旋門賞に向け、ディラン・トーマスが歩んだ道を踏んでいくのでしょう。

オーソライズド。ため息しかないですかね。ロンシャンなんて公園の散歩、なんて言ってましたが、敗因は? レース前から負けていた、って言ってます、デットーリ。いつものオーソライズドじゃなかった、と。
それにしても終始後方、後ろを付いて回ってきただけでした。陣営は後ろに付け過ぎ、とデットーリの騎乗を非難するような発言もありましたね。勝てば官軍、負ければ何とかで、これもまた競馬です。

気を取り直して他のレースも簡単に。
短距離決戦、アベイ・ド・ロンシャンは6歳のベンバウン Benbaun が勝ちました。ナンソープに勝って1番人気に推されていた2歳馬、キングスゲイト・ネイティヴが2着に大健闘。
このレースは1着から5着までイギリス調教馬が独占。イギリスのスプリンターの強さを見せ付けました。それよりフランス・スプリンター界の馬材不足か。

マルセル・ブーサックはスミオン騎乗、ロワイアー=デュプレ師のザルカヴァ Zarkava が制覇。まだ1戦1勝しただけの馬ですが、最後の末脚は凄かったですね。
この馬、プチット・エトワールの末裔、アガ・カーン・ファミリーの自家生産馬です。

昔のグラン・クリテリウム、今は距離も1400メートルに短縮されてしまいました。これは文句ないでしょう、デットーリ騎乗のリオ・デ・ラ・プラタが実力通りの快勝。アルゼンチンの牝系でスタミナもあり、来年のクラシックをニュー・アプローチと争います。
来年の2000ギニー、リオ・デ・ラ・プラタと、これをナショナル・ステークスで破ったニュー・アプローチ、それに2週間後に行われるデューハーストの勝者を中心に回ることでしょう。レヴェルが高いか低いか、関心は早くも次の世代へ。

オペラ賞は人気のライト・シフトが6着に沈み、サトワ・クィーン Satwa Queen が勝ちました。期待のあったフィンシール・べオが5着と冴えません。サトワ・クィーンは、去年のこのレースでマンデシャの2着に食い込んだ馬。さすがと言えばさすがです。

最後にカドラン。これはもう、何と言ってもイェーツの3着敗退でしょう。前のレース、凱旋門とのダブルを狙ったファロン騎手、野望ならず。
勝ったル・ミラクル Le Miracle はドイツ産です。アスコット・ゴールド・カップではイェーツの3着と後塵を拝した馬。やはりイェーツに問題があったのか。次走云々より、レース後の状態が気に掛かるところですね。

ということで、今年の大競馬祭も終了しました。あとはニューマーケットのデューハーストとチャンピオン・ステークス。私はアメリカや日本のレースはよく判らないので、この競馬ネタ日記シリーズも、残るところ僅かになってきました。
ロンシャンが終われば、秋の日は釣瓶落とし。グスン・・・。

 

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