仏・愛の平場シーズン開幕

激動が予感される2011年、愈々ヨーロッパの平場競馬シーズンも幕開けを迎えました。今年も当ブログはイギリス、アイルランド、フランスのパターン・レースを中心に最新情報をレポートしていく予定です。

さて一昨日の土曜日、先ずは3月19日にフランス最初のパターン・レースが行われました。サン=クルー競馬場のエクスバリー賞 Prix Exbury (GⅢ、4歳上、2000メートル)。フランス平場競馬のスタートを飾る伝統の一戦です。

今年は9頭が顔を揃え、1番人気から3番人気までが期待通り1着から3着までを占める順当な結果に収まっています。
優勝は11対5の本命ポリテクニシャン Polytechnicien で、常に好位から先手、先手で積極的に進めたレース内容が光りました。鞍上は名手オリヴィエ・ペリエ。2着には半馬身差で2番人気のシラス・デ・ゼーグル Cirrus des Aigles が入り、更に1馬身半差で3番人気のシルヴァー・ポンド Silver Pond が3着。
注目を集めたのは勝った馬よりも3着に追い込んだシルヴァー・ポンドの方で、10か月振りの競馬ながら最後方から最後の50ヤードだけで上位に食い込んだ末脚に目を瞠るものがありました。

勝ったポリテクニシャンはウエルザイマー家の持ち馬で、アンドレ・ファーブル師の管理馬。ファーブル厩舎は1982年から数えてエクスバリー賞は8勝目となります。また騎乗したペリエにとっても6勝目。
同馬は今シーズン既に3月4日にドーヴィル(ポリトラックの条件戦)に勝っていて、使われた強みがあったのも有利だったでしょう。また負担重量も2・3着馬より3キロ軽かったことも勝因の一つ。

順当にスタートを切った上位3頭、いずれもダルクール賞からガネー賞(GⅠ)を目指すことが期待されています。

続いて1日遅れ、3月20日の日曜日にはアイルランドの平場シーズンが開幕しました。カラー競馬場で行われたパターン・レース第一弾はパーク・エクスプレス・ステークス Park Express S (GⅢ、3歳上牝、1マイル)。シーズン最初のG戦ながら、クラシック世代の3歳馬にも出走権のあるマイル戦です。

今年は重馬場に9頭立て。内、4頭が3歳馬という日本では考えられないような組み合わせですが、優勝はジョイント1番人気(5対2)に推されていた4歳のロリー・フォー・ドリー Lolly For Dolly でした。中団から末脚を活かしての追い込み勝ち。
2馬身差2着には積極的に進めた3番人気のジェムストーン Gemstone (オブライエン厩舎)が逃げ粘り、更に首差3着にはバニンパイヤ Banimpire が追い込んでいます。2・3着は共に3歳馬。
もう1頭の人気馬ターマガント Termagant は4着敗退。

ロリー・フォー・ドリーを管理するトミー・スタック師は、シーズンの開始から飛ばすことで有名。去年の開幕日にもポーレン Pollen で同じパーク・エクスプレス・ステークスを含め4勝しましたが(去年3月22日の日記参照)、今年も一つ前のレースも勝ってダブルを達成しています。勝利騎手はウェイン・ローダン。
同馬は去年のプリティー・ポリー・ステークス(GⅠ、1マイル2ハロン)で5着したあと、膝の感染症でシーズン後半を棒に振った馬。久し振りの実戦でフレッシュだったことに加え、初めて着用したブリンカーも威力を発揮したようです。次走は4月3日のグラッドネス・ステークスになる予定。

ところで英国の平場シーズンですが、今年は暦の関係で復活祭も遅く(4月24日)、恒例のリンカーン・ハンデが行われるドンカスター開催は4月2日(土)。冬場のポリトラック競馬の総決算となるウインター・ダービー(GⅢ)は3月26日が予定されていて、イギリスのシーズンが始まるのはもう少し先のことになります。

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