アメリカ競馬 3月第3週

先週末のアメリカ競馬の速報です。土曜日は5場で6鞍、日曜日は2場で2鞍のグレード・レースが行われました。

≪3月19日(土)≫

アケダクト競馬場のシカーダ・ステークス Cicada S (GⅢ、3歳牝、6ハロン)。レース名のシカーダは、アメリカ競馬殿堂入りの名牝の名。ケンタッキー・オークス、エイコーン・ステークス、マザー・グース・ステークスなど23勝したチャンピオンです。創設は1993年。
今年の勝馬はクワンタム・ミス Quantum Miss 。7頭立て。ローマン・トレジャー Roman Treasure との先頭争いに競り勝ち、コークス・リバティー Coax Liberty の追い込みを半馬身抑えての優勝、1番人気に応えました。Gレースは初勝利。
アンソニー・ダトロウが管理する芦毛馬。騎手はコルネリオ・ヴェラスケス。師によれば同馬は6ハロンのスプリンター、オークスには向かわず、短距離路線を目指す由。

ガルフストリーム・パーク競馬場のインサイド・インフォメーション・ステークステークス Inside Information S(GⅡ、4歳上牝、7ハロン)。一昨年まではシャーリー・ジョーンズ・ハンデキャップ Shirley Jones H として知られていたレースで、1995年のブリーダーズカップ・ディスタフに勝った牝馬に因んだレース名に変更されました。
今年の勝馬はヒルダズ・パッション Hilda’s Passion 。6頭立て。3対5という圧倒的な1番人気に支持されたヒルダズ・パッションが、他とはレヴェルが違うと言わんばかりの圧勝で、2着に5馬身4分の1差の逃げ切り勝ち。7ハロンのトラック・レコードを更新するおまけ付です。
同馬は昨年夏にトッド・プレッチャー厩舎に転厩、これが四つ目のステークス勝利となります。騎手はジャヴィアー・カステラノ。

オークローン・パーク競馬場のアゼーリ・ステークス Azeri S (GⅢ、4歳上牝、8.5ハロン)。以前はオークローン・ブリーダーズカップ・ステークスとして知られていましたが、2005年に3年連続でアメリカ最優秀古馬牝馬に選出された名牝アゼーリに因んで改名された一戦。
今年の勝馬はアーヴル・ド・グラース Havre de Grace 。7頭立て。4番手から抜け出し、ライヴァルであるブラインド・ラック Blind Luck (去年の最優秀3歳牝馬)に3馬身4分の1差を付ける快勝です。
同馬はラリー・ジョーンズ厩舎に転厩した初戦での優勝。鞍上ラモン・ドミンゲスは、同馬には初騎乗でした。勝馬と2着馬は去年は四度対決、今年は初対決で、アーヴル・ド・グラースは二度目の勝利となります。

同じくオークローンのレベル・ステークス Rebel S (GⅡ、3才、8.5ハロン)。オークローン・パーク競馬場の3歳三冠の第二弾に当たる一戦。この三冠はサウスウエスト・ステークス Southwest S 、アーカンソー・ダービー Arkansas Derby で構成されています。
今年の勝馬はザ・ファクター The Factor 。9頭立て。前走サンタ・アニタ競馬場のサン・ヴィセンテ・ステークスを逃げ切って大物感をアピールした同馬でしたが、今回も他馬に影を踏ませぬ圧勝で、2着に6馬身4分の1差を付ける逃げ切り勝ちを演じました。
今年のレベル・ステークスは、これまでで最も質の高い三冠トライアルと見做されていましたが、この決定的な勝利で、アンクル・モー Uncle Mo の最大のライヴァルにのし上がってきた感がありますね。
調教師ボブ・バファートはこのレース、去年(ルッキン・アット・ラッキー Lookin At Lucky)に続く二連覇。騎手は前走に続きマーチン・ガルシア。

サンタ・アニタ競馬場のサンタ・アナ・ステークス Santa Ana S (芝GⅡ、4歳上牝馬、9ハロン)。1968年創設の古馬牝馬のための芝コースのレースで、去年まではサンタ・アナ・ハンデキャップとして行われていました。
今年の勝馬はマリブー・ピエ Malibu Pier 。6頭立て。スタート良く先頭に立ち、一旦は2番手に控えたものの直線入り口では再び先頭、1番人気ターニング・トップ Turning Top の追い込みを1馬身抑えての優勝です。ステークスは初勝利。
同馬は歴史あるスペンドスリフト牧場の生産馬で、前走(ブエナ・ヴィスタ・ハンデ)では追い込むも時既に遅しという内容。今回のやや長い距離に疑問が持たれていましたが、ラファエル・ベジャラノ騎手が道中巧く馬に息を入れる好騎乗で克服しています。調教師はカーラ・ゲインズ。

タンパ・ベイ・タウンズ競馬場のタンパ・ベイ・ステークス Tampa Bay S (芝GⅢ、4歳上、8.5ハロン)。
今年の勝馬はダブルス・パートナー Doubles Partner 。10頭立て。ゴール前は5~6頭が同時に雪崩れ込む接戦で、1番人気のダブルス・パートナーが6番手から外を回って追い込み、首差で抜け出し期待に応えました。2着から4着までも全て首差という混戦。
去年の6月以来となった前走(2月)のあと2戦目での勝利で、通算成績は10戦4勝となります。調教師はトッド・プレッチャー、騎手はジュリアン・ルパルー。

≪3月20日(日)≫

日曜日は2場で芝の長距離戦が行われる予定でしたが…。

ガルフストリーム・パーク競馬場のオーキッド・ステークス Orchid S (芝GⅢ、4歳上牝、12ハロン)。1965年創設の伝統ある芝戦ですが、2006年にそれまでのGⅡから格下げになりました。
今年の勝馬はラ・ルナ・ド・ミエル La Luna de Miel 。8頭立て。4~5番手に付け、直線で抜け出し、本命エンドレス・イクスパンス Endless Expanse に1馬身差の優勝。
同馬はドイツ産。これがアメリカでの2戦目に当たっていました。母国ドイツでは2戦し、デビュー戦に勝利。アメリカでの初戦(2月のガルフストリーム・パーク)も勝っていましたから、これで4戦3勝の通算成績となります。
調教師はグレアム・モーション、騎手はジョン・ヴェラスケス。

サンタ・アニタ競馬場のサン・ルイ・レイ・ステークス San Luis Rey S (芝GⅡ、4歳上、12ハロン)。レースの条件は創設の1952年以来度々変更されてきましたが、今年は第60回を迎える歴史ある一戦。1986年には日本からシンボリルドルフが参戦したことでも知られ、このコース独特の一部ダート・コースを横切る際に負傷したのは記憶に新しいところ。
ところが今年は大雨のため急遽ダート・コースに変更、アメリカ・グレード競走委員会の決定で、GⅢに格下げして開催されました。アメリカではよくあることで、映像で見るとダートというより、泥田の中を走っているように見えます。
今年の勝馬はジュニパー・パス Juniper Pass 。6頭立て。逃げるダフード Dahoud を終始2番手でマークし、直線の叩き合いで半馬身差捉えての優勝です。この馬場では後ろから行った馬は競馬にならず、先頭2頭で決まったレースでした。
ジュニパー・パスはこれまでブライス・ブランク騎手が騎乗してきましたが、今回はラファエル・ベジャラノに乗り替わり、更にこれまで装着してきたブリンカーを取っての競馬。偶然にも初のダート・コースという初体験が重なって、ステークス初勝利に繋がりました。調教師はトーマス・レイ・ベルⅡ世。

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