ロイヤル・アスコット2011・3日目

昨日はロイヤル・アスコット3日目、中日のレポートです。
この日はレディース・デイ。イギリス特有の時折強い雨が叩きつける一日、馬場状態は good to soft 、所により soft 。特にこの日のメインであるゴールド・カップは降り頻る雨の中での激戦でした。

第1レースはノーフォーク・ステークス Norflk S (GⅡ、2歳、5ハロン)。
当初は23頭の登録がありましたが、結局は6頭が取り消して17頭立てでした。取り消した中には、初日のウインザー・キャッスル・ステークスを制したフレデリック・エンゲルス Frederick Engels の名前もあります。

4対1の1番人気に支持されたのは、ウインザーの新馬戦に勝ったばかりのシルヴァーヒールズ Silverheels 、ムーア騎乗が買われたのかも知れません。
しかしシルヴァーヒールズは8着敗退、優勝は6対1の3番人気バパク・チンタ Bapak Chinta でした。1馬身差2着にブーメラン・ボブ Boomerang Bob 、更に1馬身4分の1差でクラウン・ディペンダンシー Crown Dependency 。
アメリカ(キーンランド競馬場)でデビュー、渡仏してシャンティー競馬場でも勝って2連勝中の変わり種エヴリデイ・デイヴ Everyday Dave にも注目が集まりましたが、11着に終わりました。

バパク・チンタはケヴィン・ライアン厩舎、フィリップ・メーキン騎乗の芦毛馬。追い縋るブーメラン・ボブを二の脚を使って振り切りました。ライアン師は自信があったものの、雨の馬場には不安だった由。血統が良馬場向きで、この馬場を克服したことで、改めて同馬の能力を確信しています。
5月にハミルトン・パーク競馬場の新馬戦に勝ったばかり、これで2戦無敗の成績となりました。

第2レースはリブルスデール・ステークス Ribblesdale S (GⅡ、3歳牝、1マイル4ハロン)。12頭立て。
ここは3対1の1番人気に支持されたバニンパー Banimpire が順当に期待に応えています。短頭差2着は逃げ粘ったフィールド・オブ・ミラクルズ Field Of Miracles 、3着は大きく7馬身も離されてドーカス・レーン Dorcas Lane の順。
ディープインパクト産駒のサンディ・べス Sunday Bess (ダスコウム厩舎、キングスコート騎乗)も参戦していましたが、12着どん尻に惨敗です。また、2番人気に期待されたゴドルフィンのドイツ産馬ルーム Rumh も6着敗退でした。

バニンパーは4日前にコーク競馬場(アイルランド)のノーブレス・ステークス(GⅢ)に勝ったばかり。愛1000ギニーこそ5着でしたが、これで11戦6勝のタフな牝馬です。これが今シーズン7戦目。
今日は馬場が重かったため逃げ粘ったフィールド・オブ・ミラクルズを捉えたのはゴール直前でした。騎乗したケヴィン・マニングは、“馬場が理想的とは言えなかった。いつもならもっと切れる馬” と語っています。

管理するジム・ボルジャー師は、中3日で使ったのは予定の行動。“ま、コークは調教みたいなものだったからね” とケロッとしています。バニンパーは良く食べ、良く寝て、走るのが大好き、なんだそうです。
この後は更に一回使ってから愛オークスに挑むとか。秋はロンシャンのオペラ賞を目標にする由。

いよいよ第3レースがゴールド・カップ Gold Cup (GⅠ、4歳上、2マイル4ハロン)。かつてはロイヤル・アスコット最大の呼び物でしたが、現在は長距離GⅠ戦の一つ。スタミナの極限が試されるレースであることには変わりありません。

今年は実力拮抗、ハッキリ言えばどの馬にもチャンスありという前評判で、長距離戦には珍しく15頭が出走してきました。
しかし人気はフェイム・アンド・グローリー Fame And Glory が断然で11対8。2番人気のダンカン Duncan がようやく8対1で、3番人気以下は10倍以上という偏り方でした。
フェイム・アンド・グローリーは、言うまでもなく愛ダービー、コロネーション・カップに勝ち、凱旋門賞5着のミドル・ディスタンス・ホース。断然の格上ですが、最長距離への適性が最大のギャンブルでした。今シーズンはネイヴァン(13ハロン)とレパーズタウン(14ハロン)のリステッド戦に2連勝してゴールド・カップを目標に仕上げてきました。

エイダン・オブライエン師の賭け、見事に奏功し、2着オピニオン・ポール Opinion Poll に3馬身差を付ける完勝。更に4馬身半差で3着にフランス(ファーブル厩舎)から挑戦したブリガンティン Brigantin 。
2番人気のダンカンは6着、3番人気のホルバーク Holberg (ゴドルフィン、デットーリ騎乗)も13着(事実上どん尻)に敗退しました。

レース前半はタスタヒル Tastahil が逃げ、ペースが落ち着きそうになったところでジョーディランド Geordiland が替って先頭を奪うという速い流れになったのも勝馬に有利に作用したようです。
飛ばしたタスタヒルとジョーディランドは共に途中で競走中止、如何にレースが激しかったことが判るでしょう。

ダンカン以下、入れ替わり立ち代わり有力馬が仕掛ける中、フェイム・アンド・グローリーのジェイミー・スペンサーは直線まで動かず。気が付けば直線先頭という王者の貫録を見せ付けました。

近年ではミドル・ディスタンスで活躍した馬がゴールド・カップに挑戦するのは珍しい光景。オブライエン師の英断が賞賛されます。当然ながら師のイェーツ Yeats との比較が気になりますが、師は連覇については満更でもなさそうでした。
しかし当面は今年の凱旋門賞への再挑戦が目標。この後は休養に充て、一叩きしてから本番に向かう計画です。

第4レースはハンデ戦のブリタニア・ハンデキャップ Britannia H (3歳、1マイル)。直線のマイル戦、29頭立てで、優勝は8対1の2番人気サグラモア Sagramor でした。
1番人気(6対1)に支持されたハノン/ヒューズ・コンビのチェーン・ライトニング Chain Lightning は8着敗退。
勝利調教師はヒューイ(またはハギー)・モリソン、騎手はニッキー・マッケイ。

第5レースはターセンテナリー・ステークス Tercentenary S (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン)。ターセンタナリーとは「300年祭」の Court S意味で、ロイヤル・アスコットが創設300年!!になることを記念したもの。
実はこのレースは去年まではハンプトン・コート・ステークス Hampton Court S と呼ばれていた一般戦で、GⅢに格上げされたのは今年からのことです。

その記念すべき第1回は、16頭立て。10対3の1番人気はオブライエン厩舎のマークスマンシップ Marksmanship 。カラーの新馬戦(4月3日)に1勝しただけの馬ながら、ムーア騎乗、ガリレオ Galileo 産駒、今後のGⅠ戦全てに登録していることなどから未知の魅力が買われていたのでしょう。

しかしマークスマンシップは7着敗退。優勝は20対1の伏兵ピスコ・サワー Pisco Sour でした。1馬身4分の3差2着は3番人気のアルキモス Alkimos 、更に2馬身差3着にスランバー Slumber の順。

勝ったピスコ・サワーを管理するのは、前走ブリタニア・ハンデを制したばかりのヒューイ・モリソン師。ロイヤル・アスコット・ダブルは偉業でしょう。こちらの騎手はジミー・フォーチュン。
ピスコ・サワーはダービー9着馬。今年のダービーのレヴェルを測る絶好の一戦となりました。
モリソン師は、ダンテ・ステークス(カールトン・ハウス Carlton House の3着)のあと馬を緩めてしまい、余りにも馬がフレッシュな状態でダービーに臨んでしまった「失敗」を認めています。
これを教訓にしてピスコ・サワーをキッチリ仕上げ、秋のクラシック戦セントレジャーに挑戦する意向を表明しました。

最終第6レースはキング・ジョージ5世ステークス King George Ⅴ S (ハンデ、3歳、1マイル4ハロン)。18頭立て。
4対1の1番人気を分け合った2頭のうちのブラウン・パートナー Brown Partner が優勝、人気の一角アパッチ Apache は14着惨敗。
ブラウン・パートナーは、トム・ダスコウム厩舎、リチャード・キングスコート騎手のコンビ。前日にサンドリンガム・ハンデでロイヤル・アスコット初勝利を記録したばかりの二人でした。

そしてレディース・デイの注目は、彼女たちの帽子でしょうか ↓
http://gallery.sportinglife.com/Gallery_Detail/0,17732,13262_6992031,00.html

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