ロイヤル・アスコット2010・3日目
アスコットの3日目はレディース・ディ、メインはゴールド・カップですが、引き続きレース順に結果をレポートしていきます。
第1レースは2歳戦、ノーフォーク・ステークス(GⅡ、2歳、5ハロン)です。ここも2戦目から5戦目までを迎える12頭が出走してきました。11対4の1番人気は、前走サンダウンのリステッド戦を含めて2戦2勝のディンカム・ダイアモンド Dinkum Diamond でした。
レースはゴドルフィンの快速馬アラシー Al Aasifh が逃げましたが、先行馬をマークして進んだ16対1の人気薄アプルーヴ Approve がゴール前2ハロンから抜け出し、2着レックレス・リワード Reckless Reward に1馬身4分の1差を付けて快勝しました。
3着には唯一頭スタンド側を走ったエクセル・ボルト Excel Bolt が半馬身で続きます。
本命のディンカム・ダイアモンドは好位置に付けるも、最後は伸びを欠いて6着敗退。
勝ったアプルーヴは、ウイリアム・ハッガス厩舎、エディー・エイハーン騎乗で、前走のエプサム(ダービー当日のウッドコート・ステークス、リステッド)は4着と結果が出ませんでしたが、これで成績を4戦2勝としました。
第2レースはリブルスデール・ステークス(GⅡ、3歳牝、1マイル4ハロン)。オークスと同じ条件の一戦ですが、レース間隔が2週間ということもあって、残念オークス的な性格のあるレースです。
1頭取り消しがあって11頭立て。オークス組からは5着のガートルード・ベル Gertrude Bell 、8着のビキニ・ベイブ Bikini Babe 、11着のオウ・インスパイアリング Awe Inspiring 、13着のキャバレー Cabaret が出てきました。
しかし人気は割れ、1000ギニーでブービー負けしたもののサン=タラリ賞3着で復活気配のヒバーイェブ Hibaayeb と、ニューバリーのリステッド戦を勝ってきたプリンシパル・ロール Principal Role が4対1で1番人気に並んでいました。
レースは人気の一角プリンシパル・ロードが先行から抜けたところに、6番手辺りを進んだもう一方の本命ヒバーイェブが襲い掛かり、お手本のようなレースぶりで快勝しました。
2着は3馬身4分の3差が付いてキャリア3戦目のエルダリル Eldalil、3着には更に4分の3馬身差でゴーリック・スター Gallic Star の順。プリンシパル・ロールはその後、4着でした。
オークス出走組は、ガートルード・ベルの7着が最高で、オウ・インスパイアリング8着、キャバレー9着、ビキニ・ベイブ10着と散々な結果。こうなるとオークスそのもののレヴェルに疑問符が付いてしまいますね。
ヒバーイェブは、2歳時にクライヴ・ブリテン厩舎でフィリーズ・マイル(同じアスコット)に勝った馬。その後ゴドルフィンが購入してサイード・ビン・スロール厩舎に移り、これが転厩後の初勝利となります。もちろん鞍上はランフランコ・デットーリ。
サン=タラリーに勝った時点でオークスへのチャレンジも考えたそうですが、レース間隔が詰まりすぎることで断念。次走でアイルランド・オークスを目指す意向です。
スロール/デットーリのコンビは、去年のフライング・クラウド Flying Cloud に続きリブルスデール・ステークス2連覇となりました。
第3レースは愈々メインのゴールド・カップ(GⅠ、4歳上、2マイル4ハロン)。去年まではイェーツ Yeats の4連覇が話題でしたが、彼が引退した今年は中心馬不在、大混戦の様相を呈していました。
1頭が取り消して12頭立て。押し出されるように1番人気(11対4)に支持されたのは、去年コロネーション・カップと仏セントレジャーを制したアスク Ask でした。
しかし上位人気馬は総崩れ、直線では2頭の叩き合いになり、優勝は20対1の穴馬ライト・オブ・パッセージ Rite Of Passage 。首差2着にオブライエン厩舎(4連覇したイェーツの厩舎)のエイジ・オブ・アクエリアス Age Of Aquarius という結果です。
3着は6馬身の大差がついて、2007年メルボルン・カップ2着馬のパープル・ムーン Purple Moon が入りました。
本命アスクは5着、以下2番人気のマニフェスト Manifest は10着、3番人気カイト・ウッド Kite Wood 7着、4番人気カスバー・ブリス Kasbah Bliss は6着の惨敗でした。
ライト・オブ・パッセージはデルモット・ウェルド厩舎の6歳馬ですが、これまで障害レースで活躍(今年は3戦2勝)していた馬。今年最初の平場コース挑戦での金星です。
この後はメルボルン・カップに向かい、もちろんこの冬も障害レースにも出る予定とか。
ウェルド師はアイルランドのカラーを拠点にしながら世界中を駆け回っている国際派。ロイヤル・アスコットは14勝目となります。
ゴールド・カップはこれまで2度挑戦して2度とも2着(1994年のヴィンテージ・クロップ Vintage Crop 、2002年のヴィニー・ローズ Vinnie Rose)でしたが、正に三度目の正直でしたね。
騎乗したパット・スマーレンにとってはロイヤル・アスコット3勝目。アイルランドのチャンピオン・ジョッキーに4度輝いている同騎手も、今回は不注意騎乗で4日間の騎乗停止になりましたし、2着のジョニー・ムルタ騎手もムチの過剰使用で3日間の騎乗停止処分に。如何に直線での攻防が激しかったかを物語っています。
第4レース以降はパターン・レースはなく、いずれも3歳馬のみの限定レースです。
第4レースはハンデ戦のブリタニア・ステークス(3歳、1マイル直線)。27頭という多頭数で1番人気は3頭が並ぶという難解なレース。
勝ったのは9対1のランソム・ノート Ransom Note で、初日にエキアーノ Equiano でキングズ・スタンドを制したバリー・ヒルズ師、マイケル・ヒルズ騎手の親子コンビでした。
第5レースはリステッド戦のハンプトン・コート・ステークス(3歳、1マイル2ハロン)。ここも15頭が揃い、順当に1番人気(9対4)のアフセアー Afsare が勝ちました。
しかしこのレースはゴール板で3頭が激しく競る競馬で審議となりましたが、最終的には入線通りで確定しています。
勝利騎手キーレン・ファロンは2006年以来のロイヤル・アスコット勝利、ルカ・クマニ調教師にとっても意外なことに1997年以来の優勝となります。
勝ったアフセアーは、これで4戦3勝、しかも3連勝で、厩舎サイドではセントレジャーに行こうかと色気を出した様子。
第6レースもハンデ戦で、キング・ジョージⅤ世ステークス(3歳、1マイル4ハロン)。ここも18頭立てと多頭数、3対1の1番人気ベーリング Berling は5着敗退です。
優賞は7対1のダンディーノ Dandino という馬。12日前にエプサムの条件戦に勝ったばかりで、これまたセントレジャー候補の1頭に上がって来ました。
調教師はジェームス・ギヴン、騎手はポール・マレランという方。両者にとってロイヤル・アスコット初制覇という夢が叶いました。
ところで最初にも紹介したレディース・ディ。ロイヤル・アスコットはこの日に限らずレディーたちの華やかなファッションが注目の的ですが、この日は特別。その様子をチラッとご覧ください。
女王陛下はライラックの帽子ですし、ミス・イングランドのケイト嬢も拝めますぞ。↓
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