ロイヤル・アスコット2011・4日目

アスコットも4日目。馬場状態は前日に続き good to soft 、所により soft でしたが、雨が続き、最終第6レースは全場 soft に。最終日は soft で行われる予定です。重馬場の巧拙も結果に少なからず影響しているようです。↓

http://gallery.sportinglife.com/Gallery_Detail/0,17732,13262_6994076,00.html

第1レースはアルバニー・ステークス Albany S (GⅢ、2歳牝、6ハロン)。馬場状態もあってか3頭が出走を取り消し、13頭立て。新馬勝したばかりの馬が5頭もいて、それなりに期待を集めていました。
5対4の1番人気は、以前に当日記でもレポートしたボルジャー厩舎のテオレーン Teolane 。今年からリステッドに降格されたナース競馬場のフィリーズ・スプリントに勝った3戦2勝馬。ボルジャー師がわざわざアイルランドから遠征するときは勝負、という定評もありますからね。とは言ってもロイヤル・アスコットは出る以上は全ての馬が勝負でしょうが・・・。

しかし何故かテオレーンは勝負にならず、ブービーの12着敗退。敗因は馬場か遠征競馬か、今のところコメントは入ってきていません。
優勝は16対1の伏兵サミター Samitar 、最後のパワフルな追い込みで勝利目前だったイネトロビル Inetrobil を4分の3馬身交わしての勝利。更に1馬身4分の3差3着には最もスタンドから遠いコースを走ったイローングラス Illaunglass が食い込みました。
2番人気のスイッチャー Switcher 4着、3番人気のサジワー Sajwah 7着。

サミターは、前走ニューマーケットの新馬戦では3着だった馬で、2戦目での初勝利。未勝利馬ということで余り人気がありませんでした。
しかし勝てれてみれば、同馬の半姉ニジューム・ドバイ Nijoom Dubai も2007年に同じアルバニー・ステークスに勝った馬。姉妹制覇という納得の結果。
姉と同じミック・シャノン厩舎、ジェイミー・スペンサーの騎乗で、一気に来年のクラシック候補に名乗りを挙げました。1000ギニーには20対1のオッズが出されています。夏場は休養と成長に充て、9月に実戦に戻る予定。

第2レースはキング・エドワード・7世ステークス King Edward Ⅶ S (GⅡ、3歳、1マイル4ハロン)。残念ダービー、断念ダービーであると同時に、セントレジャーに向けた最初のトライアルとしての意味もある一戦です。
1頭取り消して10頭立て。11対4の1番人気に支持されたナサニエル Nathaniel が期待通りの強さを発揮して、圧巻の5馬身差大勝を演じました。その2着はフィオレンテ Fiorente 、更に2馬身差でアレキサンダー・ポープ Alexander Pope 。

ジョン・ゴスデン厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗のナサニエルは、レース前の焦れ込みが酷く、影響が心配されましたが杞憂に終わりました。ゴスデン師によれば、焦れ込みはこの馬の癖、ファミリーの血統だそうで、陣営は余り問題にしていないようです。
今日は逃げるワールド・ドミネーション World Domination を直線入口で早目に捉えると、後は独走。最後のクラシックに向けて順調な滑り出しをアピールしました。この後はヴォルティジュール・ステークスかジェフリー・フリーア・ステークスを一叩きしてセントレジャーに向かう予定。セントレジャーのオッズは5対2に上がりました。
前走5月のチェスター・ヴァーズが2着、ダービーは無視してここ一本に調整。父はガリレオ Galileo 、正にクラシックに相応しいスターホース登場と言えましょう。

同じく2着のフィオレンテも将来性充分。スタウト厩舎、ムーア騎乗のコンビですが、馬場を考慮して外から追い込む作戦でしたが、馬が未だ若く、どうしても他の馬と一緒に走りたがって馬群に戻ってしまうとか。むしろ古馬になってから実力が付くタイプでしょうか。

第3レースが本日のメイン、コロネーション・ステークス Coronation S (GⅠ、3歳牝、1マイル)。初日のセント・ジェームス・パレス・ステークスの牝馬版で、同じくカーヴのあるマイル・コースで行われます。
1頭取り消しがあって12頭立て。例年各国の1000ギニー馬が集結するGⅠ戦ですが、今年はギニー馬の参戦は無し。メンバー的にはやや寂しい感じもします。
7対2の1番人気は、英1000ギニーと愛1000ギニーの両方で2着したトゥギャザー Together 。ブルー・バンティング Blue Bunting もミスティー・フォー・ミー Mity For Me も出てこなかったここでは、消去法的1番人気は当然かもしれません。去年同じ形でここを制したオブライエン厩舎というのも期待の裏付けだったでしょう。

しかし結果は混戦を反映、優勝は8対1のインモータル・ヴァース Immortal Verse でした。2馬身4分の1差2着にノヴァ・ホーク Nova Hawk 、更に半馬身差で3着はベアフット・レディー Barefoot Lady 。
以下、アイ・ラヴ・ミー I Love Me 4着、本命トゥギャザー5着の順。
最後方から直線一気の末脚を爆発させたインモータル・ヴァースは、フランスのロベール・コレ厩舎、ジェラール・モッセ騎乗。また2着も同じくフランスからの遠征馬で、こちらはロベール・コレの子息ロッド・コレが調教し、ステファン・パスキエの騎乗。フランスの、そして親子によるワン・ツー・フィニッシュでした。3着馬は英国の砦。

モッセ騎手は今回が同馬の初騎乗でしたが、思った以上の切れ味、未だ500メートルも残す地点で先頭に立ってしまったのは予想外だった由。コレ師は、「私が調教した生涯最高の馬」という常套賞賛句を残しました。
仏1000ギニー(11着)は予定が狂ってしまったのが敗因とか。前走サンドリンガム賞(GⅡ、優勝)でキッチリ修正してのロイヤル・アスコット挑戦でした。コレ師が絶賛するくらいですから、今後のマイルGⅠ路線の脅威になることは間違いなさそうです。

プール・モア Pour Moi といい、今年のクラシック世代はフランスが強いのか?

第4レースはウルファートン・ハンデキャップ Wolferton H (リステッド、4歳上、1マイル2ハロン)。14頭立て。
1番人気のグリーン・デスティニー Green Destiny が7着に敗退し、優勝は12対1のビーチファイヤ Beachfire 。これまた最後方からの鮮やかな追込み勝ちでした。
ジョン・ゴスデン厩舎、ウイリアム・ビュイック騎手はキング・エドワード7世に続いてダブル達成。同馬のオーナーはヨルダンのハヤ王女。2着馬のオーナーもシェイク・モハメッドとあって、中東王族が支配した一戦でした。

第5レースはパターン・レースに戻り、クィーンズ・ヴァーズ Queen’s Vase (GⅢ、3歳、2マイル)。3歳馬のマラソン戦、当然ながらセントレジャーに向かう馬も出てくるでしょう。
ここも1頭取り消しがあり、11頭立て。7対2の1番人気に支持されたナミビアン Namibian が期待に応えました。最後は2頭の大接戦で、首差2着はセシル/クィーリー・コンビのソラー・スカイ Solar Sky 。3着は更に7馬身の大差が付いてエターナル・ハート Eternal Heart の順。

ナミビアンを調教するマーク・ジョンストン師はこのレースに強く、何と今回が6勝目。実は今年は3頭出しで臨み、1・3・5着を占めました(5着はハリファックス Halifax)。師によれば、3頭どれもチャンスがあり、どれが最もステイするかは判らなかったそうな。実際、ゴール前2ハロンではどの馬にもチャンスがありそうに見えましたからね。
騎乗したシルヴェストル・デ・スーザ騎手は、嬉しいロイヤル・アスコット初勝利、今シーズン50勝目を記録した若武者です。
ナミビアンが外から先頭に立った時、馬は急激にスタンドから遠い内ラチに斜行。これが問題になってレースは審議になりましたが、最終的には着順通りで確定しました。但し、スーザ騎手には3日間の騎乗停止。それでもスーザくん、“3日間の停止になっても、この勝利はそれ以上の価値がある” と喜びは隠せません。

ブックメーカーも直ぐに反応し、1・2着馬共に、セントレジャーに16対1のオッズが提示されました。

最終第6レースはバッキンガム・パレス・ステークス Buckingham Palace S (ハンデ、3歳上、7ハロン)。冒頭に記したように、このレースから馬場状態は soft に変わっています。
取り消しが多くでても25頭の多頭数。1番人気アワ・ジョナサン Our Jonathan は8着に敗れ、12対1のマナッサス Manassas が優勝。
ブライアン・ミーハン厩舎、マーチン・ダイヤー騎手にとっては、メインのコロネーション・ステークスでの敗戦(サイケンス・セオリー Theykens’ Theory、3番人気で8着)の慰めになった様子。

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