英愛仏のGⅢ戦4題

7月第3週の土曜日、ヨーロッパ各国は夫々にパターン・レースが行われましたが、いずれもGⅢでした。順に見ていきましょう。

先ずはイギリスのニューバリー競馬場。シャドウェル・ステークス Shadwell S ですが、ハックウッド・ステークス Hackwood S (GⅢ、3歳上、6ハロン8ヤード)として登録されている短距離戦。

10頭が出走、馬場状態は good 。5対2の1番人気に支持されたディーコン・ブルース Deacon Blues が期待に応えて快勝しています。
2馬身4分の3差2着にマーカブ Markab 、更に1馬身4分の1差3着がジミー・スタイルズ Jimmy Styles 。去年のこのレースに勝ったリーガル・パレード Regal Parade は4着。

ディーコン・ブルースはジェームズ・ファーンショウ厩舎、ランフランコ・デットーリ騎乗の4歳せん馬。前走ロイヤル・アスコットのワーキンガム・ステークス(ハンデ)に勝っていた馬で、パターン・レースは初挑戦でしたが、見事に昇級初戦をクリヤーしました。
2着のマーカブは去年のスプリント・カップを制したGⅠ馬ですから、内容は中々のもの。今回はハナを切ったマーカブをマーク、外から抜け出す横綱相撲で、秋のスプリント路線でも活躍しそうな雰囲気です。

アイルランドのカラー競馬場は、愛オークスを翌日に控えた前夜祭。パターン・レースはミンストレル・ステークス Minstrel S (GⅢ、3歳上、7ハロン)一鞍で、これも短距離戦。馬場は yielding 、渋い馬場と言って良いでしょう。

8頭立て。既にパターン・レース(ジョン・ノ・ゴーント・ステークス)に勝っている英国のザ・チェカ The Cheka が4対5の1番人気に支持されていましたが、4着と期待を裏切りました。
優勝は12対1の伏兵アクロス・ザ・ライン Across The Rhine 。1馬身差2着にフューチャー・ジェネレーション Future Generation 、更に4分の3馬身差3着がフージャレー Hujaylea 。

アクロス・ザ・ラインはトレーシー・コリンズ厩舎、パット・シャナハン騎乗の5歳せん馬で、スタートして直ぐに他馬から離して逃げたジョッキーの判断が好結果を生んだようです。
パターン・レースは4度目の挑戦での初勝利。前々走のアメジスト・ステークス(GⅢ)は2着、前走はロイヤル・アスコットのバッキンガム・パレス・ステークスで着外(25頭立て10着)でしたが、そろそろ機が熟していたとも言えそう。馬場が渋っていたことが味方したのかも知れません。

続いてフランスのメゾン=ラフィット競馬場に向かいましょう。ここはパターン・レース2鞍です。馬場は good 。

メッシドール賞 Prix Messidor (GⅢ、3歳上、1600メートル)には英国からシティースケープ Cityscape が参戦して本命になるはずでしたが、馬場が予想より乾いたのを理由に取り消してしまいます。
止む無く1番人気(23対10)に推されたのは、今年の仏ダービーに駒を進めた(16頭立て14着)サンダギール Sandagiyr でしたが、結果は7頭立てのどん尻。しかも1頭だけ遅れての惨敗に終わりました。
3頭が一団で流れ込む接戦を制したのは、51対10のヴァガボンド・シューズ Vagabond Shoes 。去年のブリーダーズ・カップ・ジュヴェナイル以来となるゴドルフィンのビオンデッティ Biondetti が首差2着、頭差でポリテクニシャン Polytechnicien の順。そのあとも短頭、首、首という混戦です。

ヴァガボンド・シューズを管理するヤン・デュレパール Yan Durepaire 師の名前は初めて聞きましたが、シャンティー生まれの地元フランス人。マドリッドで6年の経験を積み、現在はボルドーの新拠点に引っ越し中なのだそうな。パターン・レースは初勝利で、これまでで最高の成果と言えましょう。
6月のシャンティーではシュマン・ド・フェル・デュ・ノール賞(GⅢ)で2着していた馬。今回はクリストフ・スミオンの絶妙なペース配分での逃げ切り勝ちです。

最後はリゾランジス賞 Prix de Ris-Orangis (GⅢ、3歳上、1200メートル)。
ここも英国から参戦予定の馬が取り消し、10頭立て。これまでクリテリウム・ド・メゾン=ラフィットを含め5戦無敗、イタリア(カルーソ厩舎、デムーロ騎乗)のブルー・コンステレーション Blue Constellation がイーヴンの断然1番人気に支持されていましたが、何とこの馬もどん尻10着と惨敗。
勝ったのは44対5のタイム・プリズナー Time Prisoner 。2着に首差でフレッド・ラルーペ Fred Lalloupet が入り、4分の3馬身差3着にドイツ調教馬スムース・オペレーター Smooth Operator の順。

タイム・プリズナーはアンドレ・ファーブル厩舎、マクシム・グィヨン騎乗。逃げるフレッド・ラルーペをゴール前でキッチリ捉え、パターン・レース初挑戦を勝利で飾りました。春はマイル戦で結果が出ず、スプリントに路線を変更してその能力を充分に発揮した形。

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