秋のロンシャン開幕

凱旋門賞まで丁度1か月、フランス競馬の舞台は夏のドーヴィルから秋のロンシャン移ってきました。昨日は凱旋門ウィークで行われる様々なジャンルのレースに向けたトライアルが行われました。
馬場は極端に悪化はしていないものの good 、まずまずの状態で行われたようです。昨日のG戦は3鞍、レース順に取り上げていきましょう。

最初はラ・ロシェット賞 Prix la Rochette (GⅢ、2歳、1400メートル)。2歳の頂点となるジャン=リュック・ラガルデール賞(GⅠ)と同じ距離、当然ながらそのトライアルと見做される一戦です。出走馬は6頭と少なく、前走ドーヴィルのデビュー戦を10馬身差で圧勝したロメオ・リマ Romeo Lima が13対10の1番人気。
レース前に入れ込みが目立った4番人気(73対10)のフル・マスト Full Mast でしたが、スタートから先手を取り、直線入口でスパートして後続を数馬身引き離すと、最後は抑える余裕の逃げ切り勝ち。2番人気(27対10)のヌシフェラ Nucifera が4分の3馬身差で2着、更に半馬身差で3番人気(9対2)のテリトリーズ Territories が3着に入り、ロメオ・リマは4着敗退。

勝ったフル・マストはハーリッド・アブダッラー氏のジャドモントの所有馬で、この日はキーンランドの競りに出張中のクリスチーヌ・ヘッド=マーレク女史の管理馬。ティエリー・テュイレがレース前の入れ込みを巧く宥めての快走です。この馬もドーヴィルで新馬勝ちした馬ですが、前に馬を置く競馬での半馬身勝ち。今回は気持ちよく先頭を走らせたとのこと。2戦2勝で2歳の頂点を目指します。

二つ目はパン賞 Prix du Pin (GⅢ、3歳上、1400メートル)。11頭が出走し、2000ギニー6着、ジュライ・カップに挑戦してやはり6着だった3歳馬ヌーゾー・カナリアス Noozhoh Canarias が19対10の1番人気。
レースは3番人気(94対10)のブルー・ソアーヴ Blue Soave が後続を4馬身引き離して大逃げを打ちましたが、2番人気(12対5)のアメリカン・デヴィル American Devil がこれを捉えて先ず先頭。ここに後方で控えていた8番人気(183対10)のバーミヤン Bamiyan が馬群を縫うように追い込み、やはり後方から伸びた4番人気(101対10)アナザー・パーティー Another Party に半馬身差で優勝。短頭差でアメリカン・デヴィルが3着に入り、ヌーゾー・カナリアスは8着大敗に終わりました。

ティエリー・ルメール厩舎、ティエリー・ジャルネ騎乗のバーミヤンは、前々走パレ・ロワイヤル賞(GⅢ)が3着、前走ボルト・マイヨー賞(GⅢ)でも6着と敗れていた馬。これがG戦初勝利となる4歳馬です。もちろん1か月後、同じ距離のフォレ賞(GⅠ)が目標になるでしょう。

最後は3歳馬限定の長距離戦、リュテース賞 Prix Lutece (GⅢ、3歳、3000メートル)。凱旋門ウィークのカドラン賞、あるいはその後の仏セントレジャーのトライアルに当たります。6頭立て。1番人気(8対5)には2頭が並び、前走リス賞(GⅢ)4着の実績馬グレアリング Glaring と、前走ドーヴィルのリステッド戦2着の上がり馬ドゥーマラン Doumaran 。
サリナ Sarina が逃げ、中団に付けた馬の末脚比べ。最後は3番人気(18対5)のオーヴレイ Auvray がグレアリングに半馬身差で優勝、1馬身4分の1差で4番人気(43対5)のテーム・アストラル Theme Astral が3着。人気の一角ドゥーマランは4着に終わりました。最後の激戦が審議になりましたが、結局は入線通りで確定しています。

エリー・ルルーシュ厩舎、グレゴリー・ブノア騎乗のオーヴレイは、3月から5月までオルフェーヴル賞(条件戦ですが)を含めて3連勝。その後リス賞5着、パリ大賞典(GⅠ)は11頭立ての最下位に終わりましたが、前走ドーヴィルのリステッド戦は3着でした。パリ大賞典の敗因は現在でも不明ということで、3歳のチャンピオン・ステイヤーを目指す1頭であることには間違いないでしょう。

以上がパリからのレポートですが、昨日は日本からも注目されたレースがありました。そう、先日ドイツ・ダービーを圧勝し、凱旋門賞の1番人気に押し上げられているシー・ザ・ムーン Sea the Moon が古馬に挑戦するバーデン大賞典が行われたのです。
今回はクリスチャン・デムーロが騎乗しましたが、意外やアイヴァンホー Ivanhowe という古馬に3馬身差の完敗2着。一気にシー・ザ・ムーンの評価は急落してしまいました。
これにより同馬の凱旋門賞オッズは4対1から10対1に急降下。替って去年の覇者トレーヴ Treve が6対1から5対1に上がっています。因みにアイヴァンホーも下馬評に上がってきましたが、こちらは16対1とシー・ザ・ムーンよりは下の評価です。

今年の凱旋門賞、今のところ順調なのは札幌記念のハープスターくらいのもの。来週に予定されているトライアル各戦の結果を楽しみにしましょう。

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