アメリカン・オークスは同着

昨日の土曜日、アメリカは4場で6鞍のG戦が行われました。かつてはシーザリオの優勝で沸いたアメリカン・オークスですが、賞金が大幅ダウン、国際招待の看板も外されて単なるGⅠの一つに落魄れた感があります。初めて紹介するコロニアル・ダウンズ競馬場のレースと合わせてレポートして行きましょう。

ベルモント・パーク競馬場のジャイプル・ステークス Jaipur S (芝GⅢ、3歳上、7ハロン)。創設された1984年は6ハロン戦でしたが、その後7ハロンに変更され、2006年からは再び6ハロンに戻されました。しかし今年は再度7ハロンで行われるようです。レース名は、1962年のトラヴァース・ステークスをレコードタイムで制したスピード馬ジャイプルに因んだもの。(Jaipur はジャイパーとも発音するようです)
今年の勝馬はライト・ワン Right One 。7頭立て。終始後方2番手を進み、直線では外から追い込み、ゴール寸前でイールド・ボギー Yield Bogey を頭差捉えて優勝。去年まではフランスで走り、クリティック・ヘッド夫人が管理していた馬で、これでアメリカでは4戦3勝となりました。
調教師はクリストフ・クレメント、フランスのヘッド一家とは長年深い関係にある方です。騎手はハヴィエル・カステラノ。

当カテゴリー初登場のコロニアル・ダウンズ競馬場から2鞍。ヴァージニア州にあるこの競馬場は、1997年9月に開設された新しいコースで、アメリカとしては広い競馬場だそうです。毎年この時期に芝コース(セクレタリアート芝コースと呼ばれます)で行われる一連のG戦が当競馬場の呼び物。
先ずはヴァージニア・オークス Virginia Oaks (芝GⅢ、3歳牝、9ハロン)。創設はダービーに遅れること6年の2004年のこと。GⅢの格付けは2008年からです。
今年の勝馬はイクサイテッド Excited 。8頭立て。3番手から抜け出し、内ラチ沿いに鋭く追い込むサマー・セイヴァリー Summer Savory に半馬身差を付けて優勝。これまで10戦のキャリアーのうち9戦(3勝)は芝コースでのもの。唯一のダートコース、アシュランド・ステークス(キーンランドのGⅠ)では8着に惨敗していました。芝コースのスペシャリストと呼んで間違いないでしょう。
調教師はトッド・プレッチャー、騎手はジョン・ヴェラスケス。

そしてヴァージニア・ダービー Virginia Derby (芝GⅡ、3歳、10ハロン)。競馬場オープンの2年目、1998年に創設された3歳馬による芝コースのダービー。ダービーとしては最高賞金を誇っていましたが、今年は60万ドルに減額されたようです。
今年の勝馬はエア・サポート Air Support 。12頭立て。前半は後ろから2番目、向正面で内ラチ沿いに順位を上げ、直線入り口では外に回して先行3頭の外から抜け出し、同様に後方から進んだバンド Banned を首差抑えて優勝。4月にキーンランド競馬場の芝コースでトランシルヴァニア・ステークスに勝っていた馬。長目の距離と硬めの馬場があっているとのこと。
調教師はクロード・マゴーギー、騎手はアレックス・ソリス。

デラウエア・パーク競馬場のデラウエア・ハンデキャップ Delaware H (GⅡ、3歳上牝、10ハロン)。当競馬場が開設された1937年にニュー・キャッスル・ハンデとして創設。1955年からその名もデラウエア・ハンデと改称され、デラウエア・パーク競馬場の象徴とも呼べるハンデ戦となっています。
今年の勝馬はブラインド・ラック Blind Luck 。5頭立て。スタートは最後方、クラブハウス・ターンで4番手に上がりましたが先行3頭からは大きく離される展開。直線入り口で差を詰め、直線では早目先頭の本命アーヴル・ド・グラース Havre de Grace とのマッチレースに。両馬譲らずゴールインしましたが、写真判定の結果、外のブラインド・ラックがアーヴル・ド・グラースをハナ差捉えていました。3着に入った去年の勝馬ライフ・アット・テン Life At Ten は18馬身半も離されています。勝馬は自動的にブリーダーズ・カップ・レディーズ・クラシックへの出走権が与えられます。去年の最強3歳牝馬に選ばれたブラインド・ラックは、これで通算21戦12勝。大接戦のアーヴル・ド・グラースとはこれまでもライヴァルで、ここまで6度対決し、ブラインド・ラックの4勝2敗となりました。
調教師はジェリー・ホーレンドルファー、騎手はギャレット・ゴメス。

ハリウッド・パーク競馬場はアメリカン・オークス American Oaks (芝GⅠ、3歳牝、10ハロン)。一時は75万ドルという高額賞金だったレースで、2002年に鳴り物入りで創設されたオークスの頂点を目論む一戦。2004年からGⅠに据えられ、芝コースということもあって海外からの招待レースでもあります。2005年には日本オークス馬シーザリオが勝ったことで日本でも良く知られている一戦。しかしリーマン・ショックに端を発した経済不況の影響をもろに受け、去年からは招待レースとしての性格は失われたようです。因みに、今年の賞金はたったの25万ドル。
今年はキャンビーナ Cambina ネレイド Nereid の1着同着という結果になりました。6頭立て。逃げたネレイドを、最後方からキャンビーナが追い込む展開でしたが、キャンビーナが直線で馬群を割るときに行き場を失って顔を横に向けるような場面があり、すんなり抜けられればキャンビーナが勝ったという印象の残るレースでした。勝った両馬にとって、共にGⅠは初勝利。特にネレイドはステークス・デビューでもありました。ネレイドのこれまでの3勝は全て芝コースでのもの。
一方のキャンビーナは12戦6勝。サンタ・アニタではGⅢとGⅡに連勝していた馬で、ハリウッドでは3着が続いていた馬です。ハリウッド競馬場のグレード・レースで1着同着になるのは2002年12月以来のことだそうな。
キャンビーナの調教師はジェフ・ボンド、騎手はマーチン・ガルシア。一方ネレイドの調教師はジョン・シレフス、騎手はジョセフ・タラモ。

そしてエイ・グリーム・ハンデキャップ A Gleam H (GⅡ、3歳上牝、7ハロン)。1941年創設、19779年まではセコイア・ハンデ Sequoia H として行われていた一戦で、翌年からハリウッド競馬場で活躍した名牝エイ・グリームに因んで改名されました。
今年の勝馬はアイリッシュ・ジプシー Irish Gypsy 。9頭立て。好スタートからジワーッと先頭に立ち、そのまま追い込む本命ウルトラ・ブレンド Ultra Blend にギリギリハナ差での逃げ切り勝ち。アメリカン・オークス同様に際どい写真判定になりました。アイリッシュ・ジプシーはステークス3連勝ながら、G戦は初勝利となります。
調教師はボブ・バファート、騎手マーチン・ガルシアは、この日のG戦でいずれも接戦。オークスよりもこちらの方が同着という感触だったそうです。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください