グローリアス・グッドウッド2011・3日目

イギリスの気候も徐々に夏らしくなってきたようで、ロンドンの最高気温も20度を超えるようになってきました。3日目のグローリアス・グッドウッドの馬場は good to firm にまで回復してきましたが、場所によっては good と、まだまだ斑模様のコースが続いています。
3日目のパターン・レースは3鞍。どれも頭数の揃った混戦となりました。レース順に行きましょう。

先ずはキング・ジョージ・ステークス King George S (GⅡ、3歳上、5ハロン)。1頭取り消して11頭立て。今季のスプリンターはドングリの背比べで抜けた馬が無く、人気も割れていました。
7対2の1番人気に支持されたノーブル・ストーム Noble Storm は5歳、ハンデ戦とリステッド戦ながら去年の秋から1・2着を外していない堅実味が買われたようです。

しかし初めてのパターン・レースは荷が重かったのか9着と奮わず、優勝は並んで2番人気(4対1)の1頭、マサーマー Masamah でした。馬場が乾いたスタンド側に近い8番枠から好スタート、直ぐに進路を外ラチ(スタンド側)に取って飛ばし、スピードに任せての逃げ切り勝ちです。
これも外枠発走(11番枠)のアムール・プロパー Amour Propre が1馬身4分の3差で2着、同じく外枠(12番枠)のグループ・セラピー Group Therapy も鋭く追い込みましたが、勝負所で前を塞がれる不利があって半馬身届かず3着。明らかにアンラッキーな3着でした。
もう1頭の2番人気、スタウト厩舎の古豪キングスゲート・ネイティヴ Kingsgate Native は1番枠スタート、馬場の中央を通りましたが、コース不利もあってか伸びず7着に終わっています。

勝ったマサーマーはケヴィン・ライアン厩舎、ジェイミー・スペンサー騎乗の5歳の芦毛馬。4歳の初めにエド・ダンロップ厩舎から転厩してきた馬で、これまではハンデ戦とリステッド戦が活躍の舞台、英国のパターン・レースは初挑戦でした。
ライアン師によれば、調教のし易い素直な馬で、レース毎に実力を付けてきている由。ナンソープ・ステークスで短距離の頂点を目指す意向です。

続いては長距離戦のグッドウッド・カップ Goodwood Cup (GⅡ、3歳上、2マイル)。短距離界と同様ステイヤーも今期は混戦。1頭取り消しがあっても15頭が揃いました。
9対2の1番人気は、アスコット・ゴールド・カップでフェイム・アンド・グローリー Fame And Glory の2着だったオピニオン・ポール Opinion Poll 。2頭出走してきたゴドルフィン・チームの1頭で、ランフランコ・デットーリはこちらを選びました。

レースはオーヴァーターン Overturn の大逃げ。他馬を大きく引き離すのではなく、淀みない流れで追走馬を引き付け、直線入り口では一気に5馬身ほどのリードを広げます。
逃がしてはならじとばかり、早目に仕掛けたデットーリのオピニオン・ポールがオーヴァーターンを捉え、そのまま外ラチ(スタンドから遠い側)沿いに逃げ込みを図ります。後続も一気にスパート、馬群が本命馬に迫った所がゴールでした。
結局はオピニオン・ポールがギリギリ期待に応え、頭・首・ハナ差の接戦で2着はロスト・イン・ザ・モーメント Lost in The Moment 、3着ブルー・ベイジャン Blue Bajan 、4着フォックス・ハント Fox Hunt の順。

大外に持ち出した分だけ届かなかった2着ロスト・イン・ザ・モーメント(ウイリアム・ビュイック騎乗)もゴドルフィンの馬。モハメッド殿下のワン・ツー・フィニッシュです。但し勝馬はマームド・アル・ザローニ厩舎、2着馬はサイード・ビン・スロール厩舎。
共にドバイ国籍の二人は、事実上チームを組んでいる間柄。勝負は勝負ですが、お互いに情報を共有する関係でもあります。今回も偶々この着順になったということでしょう。

デットーリは、先日の落馬で足の指にヒビが入る骨折を圧しての騎乗。得意のフライング・ディスマウントは出来ませんが、馬を御す能力には些かの差支えもないようです。
なお、デットーリはムチの過剰使用を咎められ、2日間(8月11日と12日)の騎乗停止処分を受けました。

勝ったオピニオン・ポールは、今秋新設されるアスコットの「競馬の祭典」で行われる予定の「ロング・ディスタンス・カップ」でステイヤーの頂点を狙います。
一方ロスト・イン・ザ・モーメントはヨーク競馬場のイボア・ハンデに向かうとか。

最後も長距離戦で、牝馬によるリリー・ラングトリー・ステークス Lillie Langtry S (GⅢ、3歳上牝、1マイル6ハロン)。
10頭立ての1番人気(13対8)には、セシル/クィーリー・コンビのワイルド・ココ Wild Coco が選ばれていました。パターン戦は初挑戦ながら、前走のリステッド戦を含め3戦2勝、ドイツ産の長距離血統馬です。

しかし優勝は6対1(並んだ3番人気)のミーズナー Meeznah 、6番手から抜け出し、フランスから遠征してきた2着シャンカーデー Shankardeh に2馬身半差を付ける快勝です。更に2馬身4分の1差3着がモトリース Motrice 、本命ワイルド・ココは5着敗退でした。

ミーズナーに騎乗したランフランコ・デットーリは、グッドウッド・カップに続いて長距離G戦のダブル達成、その不死身振りをアピールしています。管理するのはデーヴィッド・ラニガン師。
勝たれてみればミーズナーは去年のオークス2着馬。愛オークスとヨークシャー・オークスがいずれも4着、パーク・ヒル・ステークスは3着という実力馬。ラニガン師によれば、ズブい馬で仕上げには苦労するとか。前走は苦手の重い馬場で力を出し切れなかったものの、今回は馬場が乾いて速い馬場になったことが馬に適していた、という見解です。
この後は再度ドンカスターのパーク・ヒル・ステークスを目指す計画です。

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