グローリアス・グッドウッド2011・2日目

2日目のグローリアス・グッドウッドも馬場は good 。この日のパターン・レースは2鞍ですが、先に「グッドウッドの一騎打ち」、サセックス・ステークス Sussex S (GⅠ、3歳上、1マイル)から行きましょう。

前日に紹介したように4頭立て。ここ何週間もスポーツ界の話題の中心だったフランケル Frankel とキャンフォード・クリフス Canford Cliffs の対決が、愈々実現しました。
ここは無敗の怪物フランケルが8対13の1番人気、去年の覇者で古馬マイラーの頂点に立つキャンフォード・クリフスは7対4の2番人気。残る2頭、リオ・デ・ラ・プラタ Rio de La Plata とラジサマン Rajsaman は共に22対1で並びます。
リオ・デ・ラ・プラタもラジサマンも普通のGⅠであればそれなりに人気になる実力馬、それが勝てば大穴というオッズになること自体、両雄対決が如何に期待されていたかの証拠でもありましょう。

しかしレースは単純そのもの。先に行くフランケルと後方追込みのキャンフォード・クリフスには、戦術やジョッキーの駆け引きなどは無用だったかもしれません。スタートしてすんなり先頭に立つフランケル、相手はこれしかいないキャンフォード・クリフスは2馬身ほど離れて2番手。以下、リオ・デ・ラプラタ、ラジサマンが隊列の如く縦に並んで進む展開。
最後の1ハロン、キャンフォード・クリフスのリチャード・ヒューズが勝負を挑みますが、フランケルは動じません。それどころかキャンフォード・クリフスは次第に左に寄れ、コースを横切るようにスタンド側に向かっていきます。

結局、対決を制したフランケルはキャンフォード・クリフスを5馬身切って捨て、2馬身半差でリオ・デ・ラ・プラタが3着、ラジサマンが最後方。何のことは無い、スタートからゴールまで同じ順序で通過し、最後は着差が開いただけ。
レース実況アナウンサーは、“わったれーす、わったほーす”(what a race ! , what a horse ! )と絶叫、フランケルの強さだけが強調されました。

フランケルはこれで8戦全勝、遂にヘンリー・セシル師も“私が関わった最強馬”宣言を出しました。今年68才、10回もリーディング・トレーナーに輝いた名伯楽が育てた名馬は綺羅星の如し、それでもフランケルを「ザ・ベスト」と讃えています。
マイラーに限るなら、タイムマシーンに乗ってチューダー・ミンストレル Tudor Minstrel とのマッチレースを実現させること。今のフランケルには過去の名馬を引き合いに出すしか比較のし様がなさそうです。

鞍上トム・クィーリーには2000ギニーの暴走やセント・ジェームス・パレスで追い詰められたことへの批判もありましたが、今回は文句を付けようのない騎乗でしたね。馬を落ち着かせ、仕掛けのタイミングを計って馬のスタミナを引き出す。フランケル自身が今尚成長を続けているという事も忘れてはなりません。
オーナーのカーリッド・アブダッラー殿下もまた、自身が所有した最高の馬であることを認めています。氏が凱旋門賞を制した名馬ダンシング・ブレイヴ Dancing Brave のオーナーであることを付け加えておきましょう。

フランケルの今後について、セシル師は今シーズンもう一戦することを考えているようです。恐らくはアスコットのクィーン・エリザベスⅡ世ステークスになるでしょうが、ドーヴィルのジャック・ル・マロワ賞やヨークのインターナショナルの可能性が無くなったわけではなさそう。
また来シーズンも現役に留まるか否かについて、殿下は“ヘンリーが望むなら” と記者団を煙に巻きました。いずれにしても一挙手一投足がニュースになるフランケルではあります。

続いてサセックスの一つ前に行われたヴィンテージ・ステークス Vintage S (GⅡ、2歳、7ハロン)。サセックスで3着! したリオ・デ・ラ・プラタが2歳の時に勝ったレースですね。

今年は7頭立て。2歳馬の調教で定評のあるリチャード・ハノン厩舎が何と4頭も送り込んできました。5対2の1番人気は、そのハノン厩舎のチャンドリー Chandlery 。2週前、前走ニューマーケット・ジュライ・ミーティングのサパラティヴ・ステークス(GⅡ)で首差2着だった馬です。
そのサパラティヴに勝ったレッド・デューク Red Duke も出走してきましたが、3ポンドのペナルティーと、その着差から11対4の2番人気に。4頭出しのハノン厩舎、主戦のリチャード・ヒューズがチャンドリーを選択したことも同馬の人気に繋がっていたことは言うまでもありません。

ヒューズ騎手によれば、チャンドリーはスタート前に焦れ気味、スタートしても物見をする素振りを見せたため、馬に気持ちを集中させるために先行することを決断します。
結局はそのまま逃げ切り勝ち。2着には1馬身差でライアン・ムーアが騎乗したハノン厩舎のロッキナンテ Rockinante が内から伸び、ハノン厩舎のワン・ツー・フィニッシュ。
キーレン・ファロンが御したレッド・デュークは、1馬身4分の3差で3着。馬群の中団を進み、最後の1ハロンの勝負どころで他馬に寄られたり、前を塞がれたりした結果の3着でした。スムースに流れればもっと際どい勝負になっていたと惜しまれます。

チャンドリーはスピード一辺倒ではなく、1マイルもステイできるタイプ。来年の2000ギニーには25対1から50対1のオッズが出されました。

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