2011年最後のG戦

昨日の大晦日、アメリカでは年度最後のG戦2鞍が行われました。フロリダのガルフストリーム・パーク競馬場と、カリフォルニアのサンタ・アニタ競馬場、共に南国の冬競馬です。

先ずはガルフストリーム・パーク競馬場のミスター・プロスペクター・ステークス Mr. Prospector S (GⅢ、3歳上、6ハロン)。モンマス・パーク競馬場にも同名のレースがありますが、それとは別。歴史や経緯が良く判りませんが、恐らく以前はヒランデール・ハンデ Hillandale H と呼ばれていたレース。調べた範囲でこのレースの最も古い記録は1986年でした。ヒランデール・ハンデは1999年にGⅢに格付けされたようで、どうも2001年に現在のレース名に変更されたと思われます。今年は既に1月15日に行われており(勝馬はビッグ・ドラマ Big Drama)、開催の都合から今年2回目の施行となります。レース名のミスター・プロスペクターは、いうまでもなく現代のサラブレッド血脈を代表する名馬。
今年の勝馬はエイプライオリティー Apriority 。7頭立て。1番枠発走ながらスタートで躓き、あわや落馬のアクシデント。それでも直ぐに失地を回復し、3頭の先行争いの直後を内ラチ沿いに4番手で追走。直線では馬1頭分だけ開いた最内を追い込み、先行争いから先に抜け出したゼロ・レイト・ポリシー Zero Rate Policy を写真判定の末にハナ差捉えての優勝。1番人気に推されたインディアノ Indiano が3着、出走馬中唯一のGⅠ馬キャプテン・キャンディーマン・キャン Capt. Candyman Can は久し振りが響いたか4着止まりでした。勝ったエイプライオリティーは地元フロリダ産馬、G戦は初勝利となりますが、カーター・ハンデ(GⅠ)2着の実績もあります。BCスプリントは6着でした。激戦で左前脚から出血しており、今後は様子を見て、とのことです。
調教師はデヴィッド・フォウクス、騎手はルイ・サエズ。

そして今年のトリはサンタ・アニタ競馬場のラ・ブレア・ステークス La Brea S (GⅠ、3歳牝、7ハロン)。1974年創設。主に牡馬が参戦するストラブ・シリーズの牝馬版に相当するラ・キャニアーダ・シリーズの第1弾に当たるレース。こちらはラ・ブレア(7ハロン)→エル・エンシーノ(8.5ハロン)→ラ・キャニアーダ(10ハロン)で構成。ラ・ブレアのみ3歳限定であるのは牡馬版のマリブと同じ。こちらのレース名は南カリフォルニアの「ブレア地区」から。スペイン語でブレアとは「タール」のことで、この地区で石油から天然に生まれたコールタールが発見されたことに因んで付けられた地名だそうです。
今年の勝馬はテディーズ・プロミス Teddy’s Promise 。9頭立て。大外9番枠スタート、先行馬をマークして中団待機。3コーナー手前から積極的に仕掛け、直線で追い上げるシュガーインザモーニング Sugarinthemorning に2馬身4分の1差を付ける圧勝で16対1の番狂わせを演じました。2着のシュガーインザモーニングも16対1の大波乱。陣営では負ける訳がないと豪語、4つ目のGⅠを狙った大本命タービュレント・デサント Turbulent Descent でしたが、後方待機で末脚も冴えず、大本命(1対2)を裏切る6着の大惨敗に終わりました。2番人気のグレート・ホット Great Hot が3着。勝ったテディーズ・プロミスは、この夏にデヴィッド・ホフマン厩舎から現在のエリス厩舎に転じて3連勝、GⅠは初制覇となります。
調教師はロナルド・エリス、騎手はヴィクター・エスピノザ。

さてサンタ・アニタでは新年の二日ともG戦が組まれており、アメリカ競馬カテゴリーは休む間もなくレポートが続きます。

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