アスコット湛水

昨日はアスコット競馬場でサガロ・ステークスが行われる予定でしたが、このところの雨でアスコットが湛水してしまい、予定のレースは全てケンプトン競馬場のオール・ウェザー・コースに場所を移して開催されました。
日本では考えられないことかも知れませんが、イギリスではコース湛水による中止は珍しくありません。今春は特に雨が多いようで、障害戦の開催も中止や変更が相次いでいるようです。

私も30うん年前に凱旋門賞を観戦した帰り、イギリスに立ち寄ってアスコット競馬に行く予定を立てていたのですが、同様にコース湛水により中止、予定を変えてヨーク競馬場に行ったことがありました。
翌日、コース湛水 waterlogging とはどういうことかと思い、近くまでバスで行ってみました。自分の眼で見て納得したのですが、アスコットはオムスビ型の三角形をしており、ゴールはアスコット・ヒース Ascot Heathという丘の上に置かれています。そこに向けて直線入口、ここはスウィンリー・ボトム Swinley Bottom と言うのですが、最後の直線のスタート地点が低地になっているのですね。大雨が降ると、ここに雨水が溜まってしまう。即ち湛水(水溜りが出来る)ということなのですね。

ところで以前はこうした場合には「中止」されるのが常であって、「延期」や「コース変更」などは余り無かったように思います。最近では所謂オール・ウェザーのコースが設けられるようになり、大雨でもポリトラック・コースでの競馬が可能。ケンプトン競馬場はアスコット競馬場の隣、やや東に位置していますから、場所としては問題ないでしょう。
それでも他のレースならいざ知らず、パターン・レースが芝からポリトラックにコースを変更して開催するというのは寡聞にして聞いたことがありません。アメリカでも芝がダートに変更されればグレードが剥奪されるケースが多いようです。電子競馬新聞では何も触れていませんから、サガロ・ステークスはGのままで扱われている様子。英国でもこんなことがあるんですねェ~。

ということで「ケンプトン競馬場」の「ポリトラック」コースで行われたサガロ・ステークス Sagaro S (GⅢ、4歳上、2マイル)のレポートです。
出走馬は6頭、馬場状態は standard 。前走、全く同じ条件(ケンプトンのポリトラック、2マイルのハンデ戦)を勝ったシマー Thimaar が5対2の1番人気に支持されていました。G戦は一度挑戦してどん尻負けした馬ですが、コース得意という点が評価されたのでしょう。

レースはエレクトロライザー Electrolyser が逃げ、シマーは3番手の内に待機します。ペースはスロー。直線入口でレースが動き、内にいたシマーが外に振って仕掛け、先頭に立つ構え。しかし終始最後方に待機していたランフランコ・デットーリ騎乗の4番人気(9対2)カラー・ヴィジョン Colour Vision が残り400ヤードで馬群を縫うが如く目の覚めるような末脚を爆発させ、他馬を置き去りにする圧勝。最後の50ヤードは馬を抑えてキャンターでしたが、2着レッド・カドー Red Cadeaux に1馬身半差を付けていました。最後まで普通に追っていれば5~6馬身は開いていたと思われるほどの楽勝です。3着は9馬身も離されてシマーの順。
それでも勝時計1分21秒5は、これまでの記録を3秒も縮めるコース・レコード。まぁA級馬がこのコースで走ること自体が稀なので、レコードは当然かもしれませんが。

カラー・ヴィジョンは、去年までマーク・ジョンストン厩舎に所属していた馬。ゴドルフィンが購入したことに伴ってサイード・ビン・スロール厩舎に移り、今回が転厩初戦でした。去年はアスコットのチャンピオン開催でロング・ディスタンス・カップ(GⅢ)で3着した実績もあり、今年のゴールド・カップを狙う有力な1頭に浮上してきたと言えましょう。陣営ではもう一叩きしてからロイヤル・アスコットに挑む計画、ゴールド・カップのオッズも10対1に上がっています。
一方2着に入ったレッド・カドーは、去年のメルボルン・カップ2着馬。今後はイギリスで順当に使われ、秋には再びメルボルンに挑戦してもう一つ上の着順を目指すことになるでしょう。ジョン・ダンロップ調教師もその積りです。

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1件の返信

  1. まとめtyaiました【アスコット湛水】

    昨日はアスコット競馬場でサガロ・ステークスが行われる予定でしたが、このところの雨でアスコットが湛水してしまい、予定のレースは全てケンプトン競馬場のオール・ウェザーされま…

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