G戦初勝利の2頭
エプサム競馬場のクラシック開催を控えた前日、サンダウン競馬場で2鞍のG戦が行われました。以前はスプリング・バンク・ホリデイ開催として知られたミーティングですが、バンク・ホリデイの祝日(5月27日の月曜日)ではなく、週末の金曜日に行われています。
ということで開催のバンク・ホリデイとの関係は希薄になりましたが、週末を控えた金曜日、しかも夏を迎えたイヴニング開催。サンダウンはロンドンからも近く、勤めを終えたファンが車で一っ走り、夕暮れの競馬を楽しむことが出来ます。夕暮れと言っても白夜の季節、未だ明るい中での競馬。
最初は長距離のヘンリー2世ステークス Henry Ⅱ S (GⅢ、4歳上、2マイル78ヤード)、3週先のアスコット・ゴールド・カップへの試金石でもあります。馬場は good to soft 、10頭が出走してきました。去年(オピニオン・ポール Opinion Poll)は別として、このところ1番人気が苦戦しているレースでもあります。
去年のゴールド・カップ勝馬カラー・ヴィジョン Colour Vision も出走してきましたが、その後は勝鞍が無く、人気は4対1の3番人気まで。1番人気(3対1)は2頭が分け合っていました。1頭は去年のカドラン賞で2着したハイ・ジンクス Hi Jinx 、今期初戦で、一叩きしてアスコットに向かうローテーションでしょう。もう1頭はパリ大賞典馬で前走ドバイ・ゴールド・カップに勝ったカヴァリーマン Cavalryman 。GⅠ勝のペナルティーはありますが、長距離レースの常連です。
レースは、これもステイヤーの常連アスカー・タウ Askar Tau が逃げ、3頭出しゴドルフィンのペースメーカー役レイ・ハンター Ley Hunter が追走。有力馬は後方から進む展開です。
しかし結果は大波乱。人気上位は総崩れで、優勝は中団から伸びた7番人気(20対1)のグルーミー・サンデー Gloomy Sunday 。4馬身差の圧勝で、2着にも何とブービー人気(40対1)のナンバー・セオリー Number Theory が入るという結果。1馬身4分の3馬身差でモデル・ピューピル Model Pupil が3着。人気のハイ・ジンクス4着、カヴァリーマン5着、カラー・ヴィジョン7着と今年も1番人気が敗退し、昨今のステイヤーの安定度の無さが証明された形です。ただハイ・ジンクスは中団に付けていながら一旦最後方に下がるシーンがあり、レース中の不利が影響したのかも知れません。
勝ったグルーミー・サンデーは当日記初登場の馬で、もちろんG戦初勝利。フランスのクリストフ・フェランド厩舎から挑戦してきた4歳牝馬で、オリヴィエ・ペリエが騎乗していました。
前走はサン=クルー競馬場のリステッド戦(3200メートル)での2着、フェランド師にとっては英国競馬そのものへの初挑戦で、陣営もビックリの快挙でしょう。
アスコット・ゴールド・カップには登録が無く、追加登録までして参戦するかはこれから考える由。あくまでも目標は秋のカドラン賞、とのことでした。
もう一鞍はブリガディア・ジェラード・ステークス Brigadie Gerard S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン7ヤード)。コースも距離も同じのエクリプス・ステークスへの挑戦者選び的な一戦です。1頭が取り消して5頭立て。去年のダービー2着馬メイン・シークエンス Main Sequence が15対8の1番人気に支持されました。前走アスコットのリステッド戦3着を一叩きされ、ダービー2着の実力をもってすればここは勝って当然、という評価です。
レースは3番人気(3対1)のムカードラム Mukhadram が逃げ、メイン・シークエンスは2番手追走。残り1ハロンで3馬身差を詰めに入りましたが、結局半馬身届かずムカードラムの逃げ切り勝ち。更に2馬身4分の1差でミビッシュ Mibish が3着。メイン・シークエンスはダービーでも2着ながらGⅢでも2着と、こうしたタイプ独特の勝ち身の遅さが出た格好です。
ウイリアム・ハッガス厩舎、ポール・ハナガン騎乗のムカードラムは、去年の最終戦となったケンブリッジシャー・ハンデで5着した4歳馬。今期初戦、G戦初挑戦で見事にハンデクラスを卒業しました。この後はロイヤル・アスコットで更に上を目指すことになりますが、いきなりGⅠのプリンス・オブ・ウェールズ、ということになるのでしょうか。
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