チェスター・メイ・ミーティング
今週の水曜日から金曜日までの3日間、英国チェスター競馬場で伝統の五月開催、メイ・ミーティングが開催されています。パターン・レースは木・金の2つ日間に夫々2鞍づつ計4鞍、昨日の2鞍を振り返りましょう。
チェスターはイギリスでは珍しい小回りで、ほぼ円形のコースが特徴です。直線が短く、ややトリッキーな印象で、騎手の駆け引きも見所でしょう。
最初はハックスレー・ステークス Huxley S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン75ヤード)。ここも相変わらずの雨模様で、馬場状態は soft 、場所によっては heavy と発表。2頭が取り消して7頭立てで行われました。
先月ニューマーケットでアール・オブ・セフトン・ステークス(GⅢ)に勝ち、続くサンダウン・マイル(GⅡ)でも2着したクエスチョニング Questioning が9対4の1番人気、2頭出しゴドルフィンの1頭ハンターズ・ライト Hunter’s Light が2番人気(5対2)で続きます。
スタートはストール(日本ではスターティング・ゲートと呼びます)を使わず、各馬が息を揃えてスタートする方式。(何故ストールを使わないのかは不明ですが)
レースはビュイック騎乗の本命クエスチョニングが先頭でレースを引っ張ります。小回り競馬場の特質か、先行有利と言う思惑が働くものと思われます。最後の短い直線、2番手に付けた3番人気(13対2)のマークレット Marcret が馬場の良い外に持ち出しながら抜け出すと、最後方から思い切って内を衝いて伸びるマイプレイスレイター Myplacelater を半馬身抑えて優勝。クエスチョニングも良く粘りましたが、ゴール直前でいつもより積極的に進めたヴィグモア・ホール Vigmore Hall がゴール前でこれを交わし、2着から1馬身4分の1差の3着でした。
勝ったマークレットはイタリア産の5歳馬。4歳まではイタリアで走り10勝の実績がありましたが、パターン・レースの勝鞍はありませんでした。イタリアでは日本でも馴染のウンベルト・リスポリが主に騎乗しており、クリスチャン・デムーロ騎乗で勝ったこともあります。
冬場はドバイで3戦、デューティー・フリーで3着(このときはクリスチャン・デムーロ騎乗)。その後、最近ニューマーケットで開業しているイタリア系のマルコ・ボッティ厩舎に移り、今回はライアン・ムーア騎乗。
ところで同馬のオーナー、ドクター・マーワン・クーカシュ氏はチェスター競馬場の熱烈なサポーターで、2着馬マイプレイスレイターも所有しており(調教師はリチャード・ファヘイ師)、嬉しいワン・ツー・フィニッシュ。ドクターにとっては理想的な結果となりました。
続いてはダービーのトライアルとして重要なチェスター・ヴァーズ Chester Vase (GⅢ、3歳、1マイル4ハロン66ヤード)。5頭立てと小頭数です。
人気はアイルランドからの遠征組に集まり、前走レパーズタウンのバリーサックス・ステークス(GⅢ)に出走した2頭が上位を占めていました。何故か同レース5着のデヴィッド・リヴィングストン David Livingston が6対4の1番人気、2着に先着したコール・トゥー・バトル Call To Battle が2対1の2番人気。1番人気はオブライエン父子のコンビ、ということで期待度がより高かったのでしょう。
レースはハックスレー同様に本命デヴィッド・リヴィングストンが先頭に出、一団で進む後続4頭をやや引き離しての逃げ作戦。これまた小回り故か。しかし本命馬は最後のコーナーで外から交わされて後退、先に仕掛けて先頭に立った最低人気(8対1)のミックダーム Mickdaam を後方からモデル・ピューピル Model Pupil が激しく追い詰めたところがゴール。写真判定の結果、ミックダームがモデル・ビューピルをハナ差抑えていました。オックス厩舎のコール・トゥー・バトルが1馬身半差3着、デヴィッド・リヴィングストンは更に4馬身半離された4着に終わっています。
ミックダーム、2歳時はリチャード・ファヘイ師が管理していましたが、この冬のドバイ遠征では南アフリカのマイク・デ・コック師の管理下で4戦、クリストフ・スミオン騎乗で1勝していました。その後再びファヘイ師の下に戻り、帰厩12日目で走ったニューマーケット(トトソルズ・ミリオンズ3歳トロフィー)で2着。今回は初騎乗となるトニー・ハミルトンの手綱でパターン・レース初制覇達成です。
もちろんダービーに向かうと思われますが、現時点でオッズは33対1、あくまでも伏兵という評価。一方2着のモデル・ピューピルは長距離向き、セントレジャーを視野にローテーションを立てていく予定だそうです。
以上が昨日の結果ですが、初日のプログラムからいくつかエピソードを。
先ずはリステッド戦ながらオークスの前哨戦の一つ、チェシャー・オークス Cheshire Oaks (1マイル3ハロン79ヤード)の結果。オブライエン親子コンビのベターベターベター Betterbetterbetter が1番人気(2対1)に支持されましたが、勝利目前でマーク・ジョンストン厩舎の伏兵(50対1)グッド・モーニング・スター Good Morning Star が短頭差差し切って優勝を攫いました。
勝馬はオークスには向かわず、ロイヤル・アスコットを選ぶ予定の由。
もう一つはチョッとミーハーな話題。私は他のスポーツにはほとんど関心がありませんが、英国フットボール(サッカー)界にウェイン・ルーニーというスター・プレイヤーがいるそうです。そのルーニー夫妻(夫人はコリーンという美人)が初めて競走馬のオーナーとなり、その2頭(共に2歳馬)がこのチェスターでデビューしています。夫妻がパリッと正装して競馬場に登場した写真も大きく掲載されていました(2日目はコリーン夫人だけだったみたい)。
残念ながら2頭は結果を出せず、初日(水曜日)の第1レースに出走したピッピ― Pippy が8頭立て8着、2日目の第5レースに出たトムウェイ Tomway も9頭立て7着に敗退。
日本で報道されることはないような話題ですが、サッカー・ファンには新鮮に聞こえるかもしれませんね。
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