サントリーホールのチェンバー・ミュージック・ガーデン2012から

先ほど、サントリーホールのミュージック・ガーデンを聴いてきました。簡単なレポートです。

去年からスタートした同ホールの室内楽ミニ音楽祭「室内楽の庭」が6月2日から17日までの間、サントリーホールのブルーローズで開催されています。
いろいろなメニューが用意されていますが、最も腹に応えるデッシュはベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会。去年はパシフィカQが3日間で全曲と言う「狂気の沙汰」をやってのけましたが、今年はヘンシェルQが挑みます。ただしほぼ2週間で5回と、常識的なチクルスです。

今日聴いてきたのはそれとは別、室内楽の良い所採りというか、どちらかと言えばこれから室内楽の世界を覗いてみようというファンに向けたプログラム。全部で6回の演奏会が組まれているコースの中から「ENJOY!ウィークエンド・チェンバーミュージック」の第1回です。
午前11時に開演、12時過ぎにはお開きとなる1時間チョッとのミニ・コンサートでした。こんなプログラムです。

ハイドン/弦楽四重奏曲第62番ハ長調「皇帝」~第1楽章
ボッケリーニ/ギター五重奏曲ニ長調G448「ファンダンゴ」
グラナドス(大場陽子編曲)/「12のスペイン舞曲」~4「ビリャネスカ」、5「アンダルーサ」、6「ホタ」
 ギター/大萩康司
 クァルテット・エクセルシオ

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第1番へ長調作品18-1
 クァルテット・セレシア

間を開けてあるのは休憩が入るのではなく、コンサートはそのまま続けて演奏されます。つまり後半のベートーヴェンは、3年前からサントリーホールが開いている室内楽アカデミーのフェロー(受講生のこと)の選抜メンバーによるクァルテット。2年間の研鑽の成果を発表する場でありました。

私はブルーローズがこのスタイルで舞台を設定しているのは初体験でしたが、通常の縦長のホールではなく、横長に舞台を組んでいました。客席の入場扉が座席の背中に来る感じですね。
平日の午前という演奏会には珍しい時間帯ながら、客席は結構な入りです。我々のような有閑高齢者が多いということでしょうか。

冒頭はハイドンの定番から、さわりの1楽章。ここからはセカンド山田氏が簡単な解説を交えながら司会進行。
2曲目にギターの大萩氏を迎えてギター五重奏が演奏されます。これが中々面白い聴きモノでしたね。

第1楽章では、流石にボッケリーニがチェロの名手だったこともあり、ハイ・ポジションのフラジェレット奏法による副次テーマが珍しく、目を閉じて聴いていたらどの楽器が演奏しているのか判らないような特殊な響きが出てきます。裏声(ファルセット)効果と言うんですかね。
更に傑作なのが作品のタイトルにもなっている第3楽章のファンダンゴ。後半でチェロの大友氏が弓をカスタネットに持ち替え、スペインの雰囲気を濃厚に醸し出すのでした。

もちろんオリジナルにカスタネット使用が指示されているわけではなく、今回だけの特別なアイディアの由。大友さん、チェロが弾けなくなってもフラメンコで食べていけるんじゃない?

3曲目はグラナドスのピアノ曲を、これまた今回のために特別にギター五重奏にアレンジしたもの。編曲を担当された大場氏は私共の真ん前で聴いておられました。
今年スペインを訪れるという大萩氏とエクによる演奏は、正に本邦初演でもあります。いや、奔放初演だったかな。

最後は前記のように室内楽アカデミー受講者によるベートーヴェン。メンバーは、ヴァイオリンが前田奈緒、福崎雄也。ヴィオラが高橋梓、チェロは内田佳宏の諸氏。当然ながら全員初々しく、初めての舞台にも拘わらず新鮮なベートーヴェンを披露してくれました。
折角このメンバーでデビューしたのですから、今後も研鑽を積んで様々なコンクールに挑戦して行かれるのでしょう。今後どうなるのかは、神のみぞ知る。そのデビューを聴いたことを自慢できる日が来ることを願っています。

ということですが、この後午後2時半からはシリーズ第2回が始まります。堤教授と小山実稚恵によるベートーヴェン。

私共は、夜は鶴見でクァルテットを聴く予定。もう何年振りかになるコンサート・梯子を楽しむ計画です。梯子だ、などと騒いでいたら、“なぁ~に、私なんか午後の部も聴いて、夜はオーケストラのコンサートよ” という猛者に出会いました。上には上がいるもんだ。

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1件の返信

  1. まとめtyaiました【サントリーホールのチェンバー・ミュージック・ガーデン2012から】

    先ほど、サントリーホールのミュージック・ガーデンを聴いてきました。簡単なレポートです。去年からスタートした同ホールの室内楽ミニ音楽祭「室内楽の庭」が6月2日から17日ま…

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