2012クラシック馬のプロフィール(8)

今回はフランス・ダービー馬サオノア Saonois を取り上げますが、ほとんど書くべきネタが無いという珍しいクラシック馬です。何とか纏めてみましょう。

サオノア(ソーノアと読むべきかもしれませんが)は父チチカステナンゴ Chichicastenango 、母ソーノアーズ Saonoise 、母の父オム・ド・ロワ Homme de Loi という血統。仏ダービーのレース・レポートでも触れましたが、チチカステナンゴにとっては2008年のヴィジョン・デ・タ Vision d’Etat に続く2頭目の仏ダービー馬となります。
チチカステナンゴについてはその時(2008年6月2日の日記)に詳しく触れましたので、ここでは省略。日本に輸入され、今年の1月14日に残念ながら死去したのはご存知でしょう。日本での初産駒が今年の2歳戦でデビュー予定。競りでの評判は上々だったとか。
4年前の日記で紹介した「チチカステナンゴ」の名前の由来、既にホームページは閉鎖されているようなのでこちらをご覧ください。南米の地名に因む馬名ですね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%81%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B4

冒頭に書きましたが、この牝系は5代遡ってもほとんど注目されるような馬が出てきません。単に名前を列記するだけになってしまいますが、これまでの方法に従って牝系を遡っていきましょう。

母ソーノアーズ(1998年、鹿毛)には50戦5勝という競走成績があるそうですが、調べた限りでは何処のどのレースかは判明しませんでした。フランス産であることは間違いなさそうなので恐らくフランスのローカル競馬で走ったと思われますが、フランスの成績書など閲覧する機会も無く、これ以上は書くことが出来ません。
繁殖成績も同じで、どうやら彼女の初産駒はサント・ボーム Sainte Baume (牡馬、父エンリケ Enrique)であるということが判っただけ。サオノアは彼女の2番仔ということになります。

母の父オム・ド・ロワ(1989年、鹿毛、父ロウ・ソサエティー Law Society)はアンドレ・ファーブルが調教し、パリ大賞典に勝った馬。但し、1992年のパリ大賞典は距離2000メートルで行われました。

ということで、今年の仏ダービー馬の血統は、来年のレースホース誌を待たなければ細部についての紹介は不可能ということになりますな。

それでも気を取り直してもう少し続けると、

2代母はサ・マジェステ Sa Majeste (1991年、栗毛、父ガルデ・ロワイアル Garde Royale)と言い、やはりフランス産。3戦未勝利だったようです。
サ・マジェステの父ガルデ・ロワイアルは、ヴィジョン・デ・タの母の父でもありますから、チチカステナンゴの2頭の仏ダービー馬は極めて近い配合によって生まれたと言えるでしょう。

サ・マジェステの産駒も何頭かの名前は判明していますが、取り立てるほどの成績を残している馬はいないようです。

これは3代母スカマンドル Scamandre (1983年、鹿毛、父ラバス Labus)についても同じ。彼女も9戦未勝利で、取り上げるほどの繁殖成績も残していません。

4代母スカレーヌ Scalene (1973年、栗毛、父ジェファーソン Fedderson)はどうやら34戦7勝という記録があるようですが、私が調べた限りでは名のあるレースの勝鞍は見出せませんでした。産駒についても同様です。

ところでサオノアのファミリーは、1-t 。この牝系は、トランポリン Trampoline という馬を源としています。

サオノアはトランポリンから数えて17代目に当たりますが、ボビンスキーのファミリー・テーブルに記載されている名前で最も新しいのはラ・サーゲ La Sagaie (1924年、栗毛、父サルダナパル Sardanapale)という馬。サオノアの8代母に相当します。
ラ・サーゲの産駒サガス Sagace (1929年、鹿毛、父キャノンビー Cannonbie)がグレフュール賞に勝ったことが、ボビンスキー・テーブルに記載された理由です。
尚、私が所有しているボビンキーのファミリー・テーブルは1959年刊の第2版ですから、1960年以降の馬については記載がありません。(サラブレッド血統センターが刊行したという続編は見ていません)

ファミリー・1-t 出身の活躍馬について、話を簡単にするために英仏ダービーだけに限ってサーチして見ると、以下の5頭が挙がってきます。即ち、
仏ダービーに優勝した馬は、1876年のキルト Kilt と、1949年のグッド・ラック Good Luck 。
英ダービーは、1931年のカメロニアン Cameronian 、1943年のストレート・ディール Straight Deal 、1992年のドクター・デヴィアス Dr. Devious 。
以上5頭。

彼らの牝系をボビンスキー第2版にまで遡って行くと、サオノアの10代母から分岐したファミリーから出たのがグッド・ラックとドクター・デヴィアス。
同じく12代母から分岐したのがストレート・ディール、13代母からの分岐がカメロニアン、そして15代母から分岐したのがキルトということになります。

以上見てきたように、今年の仏ダービー馬は父母共に現代では希少価値を持つ父系・母系から生まれた、ということが言えそうですね。

Pocket
LINEで送る

3件のフィードバック

  1. Aimwell より:

    初めまして。
    いつもたいへん参考にさせていただいております。
    ここを訪れるようになって、雑誌の立ち読みやRacing Post等の閲覧がめっきり減りました(笑)
    さて、Saonoisの母Saonoiseの戦績を調べたところ、リヨン・パリリーやヴィシーなど中部のローカル競馬でのものでした。
    フランスギャロのサイトであっさり見つけられましたよ。

  2. メリーウイロウ より:

    ご指摘、およびご教示ありがとうございます。

  3. まとめtyaiました【2012クラシック馬のプロフィール(8)】

    今回はフランス・ダービー馬サオノア Saonois を取り上げますが、ほとんど書くべきネタが無いという珍しいクラシック馬です。何とか纏めてみましょう。サオノア(ソーノアと読むべきか

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください