グッドウッドの前に
五輪中も英国競馬はいつも通り開催されています。天候も漸く回復してきたようで、これまでの重馬場とは違った競馬になってきている様子。
来週はいよいよグローリアス・グッドウッドが開幕しますが、その前に昨日行われたG戦2鞍を紹介しましょう。
先ずはヨーク競馬場で行われたヨーク・ステークス York S (GⅡ、3歳上、1マイル2ハロン88ヤード)。馬場は good to firm 、2頭取り消しがあって9頭立てで行われました。
実力が拮抗し、中々予測の難しいレースになりましたが、前走サンダウンのリステッド戦に勝ったアフサーレ Afsare が9対4の1番人気、去年のこのレースをトゥワイス・オーヴァー Twice Over で制しているサー・ヘンリー・セシル厩舎のジェット・アウェイ Jat Away が厩舎人気でしょうか、7対2の2番人気で続きます。
ところがジェット・アウェイがスタートで出遅れ、やや波乱含みの展開に。2頭出しロジャー・ヴァリアン厩舎のペースメーカー、ピーカン・スター Pekan Star がレースを引っ張り、各馬一団で直線に。
しかし直線はかなりラフな競馬。先頭を伺っていたキーレン・ファロン騎乗の本命アフサーレがスタンド側に斜行、同馬の横に付けていたサイド・グランス Side Glance の前をカット。これが引き金になって、ランソム・ノート Ransom Note →ジェット・アウェイ→ヴィグモア・ホール Wigmore Hall とドミノ状態で前が塞がっていきます。
これを後方で見ていたスライ・プートラ Sri Putra がアフサーレの外(スタンドから遠い側)に持ち出して抜けた所に、今度はアフサーレが逆に外ラチに向かって斜行し、先頭2頭はスタンドから遠いラチに向かっのて叩き合い。結局スライ・プートラがアフサーレを首差抑えて混戦を制しました。3着は3馬身4分の3差でサイド・グランスの順。4着以下も不利があった馬は少なからず。しかしながら審議にはならなかったようで、着順のまま確定しています。
ヴァリアン陣営としては、同じ馬主のペースメーカーを出したこと、今回は頭巾を着用したことが功を奏したようで、スライ・プートラにとっては久し振りのG戦勝利となりました。元来エクリプス・ステークスで二度入着(4歳時2着、5歳時3着)している馬ですから、実力ある6歳馬。GⅡは3歳時ドーヴィルのギョーム・ドラノ賞以来。ペース、馬場、集中力が揃って馬本来の力が発揮できたと言えましょう。
鞍上はネイル・カラン騎手。
続いてはアスコット競馬場のプリンセス・マーガレット・ステークス Princess Margaret S (GⅢ、2歳牝、6ハロン)。例年はキングジョージと同じ日に行われているG戦ですが、今年はキングジョージが1週前倒し。この2歳G戦は本来の時節での施行です。馬場は firm 、所により good to firm 。「firm」という表示を見るのは久し振りのような気がします。2頭取り消して6頭立て。
ここは順当に1番人気(5対6)に支持されたモーリーン Maureen が快勝しました。ストレンジ・マジック Strange Magic の逃げを3番手で待機、2番手から先頭に立った2番人気(5対2)のホヤム Hoyam を外から交わすと、2着以下に2馬身4分の1差を付けて見事期待に応えています。2着は後方からサンドリーマー Sandreamer が追い込み、1馬身4分の1差でホヤムが3着。
リチャード・ハノン厩舎、リチャード・ヒューズ騎乗のモーリーンは、これで3戦2勝。前走ニューマーケットのチェリー・ヒントン・ステークス(GⅡ)は明らかにアンラッキーな2着でした。この後はラウザー・ステークスからチーヴリー・パーク・ステークスと王道を歩むことになるでしょう。来年の1000ギニーには16対1のオッズが出されています。
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