逃走劇3題

7月4日はアメリカの独立記念日、今年は木曜日に当たっていたためG戦オンパレードというお祭り騒ぎにはなりませんでした。それでも3つの競馬場でG戦が組まれています。
結論を先に書くと、3レース全てが逃げ切り勝ち、しかも3頭ともG戦初勝利という点も共通。如何にもアメリカ競馬を象徴するような内容になっています。

先ずはベルモント・パーク競馬場のポーカー・ハンデキャップ Poker H (芝GⅢ、3歳上、8ハロン)。firm の芝コースに7頭立て(メインコース変更のみの登録馬は出走せず)、今年のダービー馬オーブ Orb と同じ陣営、今年のカナディアン・ターフ(芝GⅢ)で、前走メイカーズ・マイル(芝GⅠ)でもワイズ・ダン Wise Dan の2着しているデータ・リンク Data Link が3対5の断然1番人気に支持されていました。
しかし冒頭でも紹介した通り、結果は2番人気(9対2)キング・クリーサ King Kreesa の逃げ切り勝ち。1馬身半差2着にも2番手を追走したハットトリック産駒のハウ・グレート Howe Great がそのまま流れ込み、所謂行った行ったの競馬。更に1馬身半差3着にはビッグ・スクリーン Big Screen が入り、データ・リンクは4番手追走のまま4着。最初の順位が最後まで続く単調なレースです。
ジェレミア・エングルハート厩舎、イラッド・オルティス騎乗のキング・クリーサは、前走6月1日にニューヨーク産馬限定のステークス(キングストン・ステークス)を同じように逃げ切っており、これでステークス連勝。過去にG戦は4回挑戦していましたが、今一息及ばず。今回が待望のG戦初勝利でした。

続いてニュージャージー州モンマス・パーク競馬場からジャージー・ショア・ステークス Jersey Shore S (GⅢ、3歳、6ハロン)。馬場は fast のメインコース、1頭が取り消して6頭立てで行われました。6対5の1番人気に支持されたレインボウ・エア Rainboe Heir は地元ニュージャージー産馬。ここまで3戦全勝で、ステークスは初挑戦でもスピード上位の評価です。
その評判通り、本命レインボウ・エアは後続に影も踏ませぬ圧巻の逃げ切り勝ち。2着アマリッシュ Amarish に5馬身の大差を付けていました。3着には更に4馬身4分の1差が開いてアップタウン・ボーイ Uptown Boy の順。
ベンジャミン・パーキンス厩舎、エルヴィス・トルヒーヨ騎乗のレインボウ・エアは、もちろんG戦もステークスも初勝利で4戦無敗。前走5月12日にモンマス競馬場でアローワンス戦も同じトルヒーヨ騎乗での逃げ切り勝ち。逃げ、と言うよりスピードが違うと見た方が正解でしょう。

最後にハリウッド・パーク競馬場のスワップス・ステークス Swaps S (GⅡ、3歳、9ハロン)。かつてはクラシックを闘った馬たちも多数参戦したGⅠ戦でしたが、今年は僅か4頭立て。今年限りで閉鎖されるハリウッド・パーク競馬場を象徴するような顔ぶれになってしまいました。コースは全天候型のタペタ、fast の状態で、2対5の一本被り本命に推されたのはステークスそのものに未勝利のチーフ・ハヴォック Chief Havoc 。カリフォルニアの競馬人気衰退を表しているような人気ではありませんか。
その人気通り、チーフ・ハヴォックの逃げ切り勝ち。他の2場同様、G戦初勝利馬の逃走劇となりました。2着は2馬身半差でアファームド・ハンデ(GⅢ)勝馬のティズ・ア・ミンスター Tiz a Minster 、更に1馬身半差でエル・カミノ・レアル・ダービー(GⅢ)覇者ダイス・フレイヴァー Dice Flavor が3着。ブルー・グラス・ステークス(GⅠ)勝馬で成績最上位のジャヴァズ・ウォー Java’s War が最下位4着という情けない結末でした。
ピーター・ミラー厩舎、ラファエル・ベハラノ騎乗のチーフ・ハヴォックは、前走5月30日にアローワンス戦を楽勝してのG挑戦。ステークスは2歳時のシャンペン・ステークス(GⅠ、6着最下位)以来の出走でした。これで通算成績は8戦3勝。

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