ゲルギーのロシア・プロ

8月13日のプロムスはロンドン交響楽団、首席指揮者ワレリー・ゲルギエフが得意のロシア物を振りました。得意の、と言っても滅多に聴けない作品も含まれているのは流石にプロムスです。
またグラズノフのソロを弾いたトリフォノフはショパン・コンクール第3位、一昨年のチャイコフスキー・コンクール優勝の若手、これがプロムス・デビューでした。

≪Prom 41≫
ボロディン/交響曲第2番
グラズノフ/ピアノ協奏曲第2番
     ~休憩~
グバイドゥーリナ/白馬の騎士(イギリス初演)
ムソルグスキー=ラヴェル/展覧会の絵
 ロンドン交響楽団
 指揮/ワレリー・ゲルギエフ
 ダニール・トリフォノフ(ピアノ)

個人的な話で恐縮ですが、最初のボロディンは私がゲルギエフの名前を初めて知った作品。四半世紀前、当時は開発されたばかりのCDを海外から取り寄せていて、英誌グラモフォンの評価を読んでロッテルダム・フィルとの新録音を取り寄せたものでした。
ですからゲルギエフの録音を聴いたのもこれが初めて。ボロディンの1番と2番を組み合わせたディスクで、その時は随分感性の重い指揮者だと感じたものです。面白いのはジャケットの写真で、現在のような髭茫々のゲルギーではなく、颯爽たる若者の姿が写っていますね。

ということで久し振りにゲルギーのボロディン第2を聴きましたが、余り印象は変わっていません。後で当時の音盤を探して比較して見ようと思います。

2曲目は珍しいグラズノフのピアノ協奏曲。2曲あるのは知っていましたが、実際の音を聴いたのは今回が初めて。多楽章のようですが、全体は通して演奏される20分ほどの作品。
中々魅力的なメロディーが鏤められ、何故人気が無いのか不思議なほど。確かベリャエフからもピアノ・リダクション版しか出ておらず、スコアの出版が望まれます。ヘフリッヒで復刻してくれないかな。

ソロを弾いたトリフォノフは凄いテクニック、日本でもファンが多いのでしょう。アンコールにストラヴィンスキー「火の鳥」からカスチェイ王の踊りを披露しましたが、次元が違うテクニシャンだと聴きました。

後半の最初は、やはり日本ではナマ演奏で聴くのが難しいグバイドゥーリナの作品。英国でも初演だそうですから、珍品の部類でしょう。
10分ほどの短いものですが、オルガンも加わるダイナミックスの幅の極めて大きな作品。3台の大太鼓の強烈な連打が印象的でした。

最後は超有名な展覧会の絵、それも定番ラヴェル編曲で特にコメントはありませんが、ゆっくりしたテンポの部分はジックリと歌わせているのが特徴でしょう。

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