海に因んだ2曲

先週土曜日のプロムスは、マーク・エルダーとハレ管が登場。定評あるコンビの見事な演奏が楽しめました。

8月9日 ≪Prom 31≫
ベルリオーズ/序曲「海賊」
エルガー/海の絵
     ~休憩~
ヘレン・グライム Helen Grime/Near Midnight (ロンドン初演)
ベートーヴェン/交響曲第3番
 ハレ管弦楽団
 指揮/サー・マーク・エルダー Sir Mark Elder
 メゾ・ソプラノ/アリス・クート Alice Coote

プロムスの常連となっている彼ら、今年の前半は海に触発された音楽を2曲。ベルリオーズはニースで作曲されたコンサートの幕開けに相応しい一品。

次のエルガーは作曲者のブレイク直前の作品で、海に触発された5つの詩に作曲した歌曲集です。特に2番目の「港で」In Haven は、愛妻アリスの詩に付けたもの。
当初エルガーの出版社であるノヴェロはこの曲に感心を示さず、上から目線の出版交渉だったとか。それでエルガーはブージーと契約してしまいます。結果はノヴェロの敗北で、その後のエルガーの名曲の多くをブージーに持って行かれることに・・・。大作曲家の運命を左右した歌曲集でした。
初演で歌ったのは来日したこともあるクララ・バットでしたが、以来この歌曲集はモーリン・フォレスター、カスリーン・フェリアー、ジャネット・ベイカーらの名歌手によって歌い継がれ、今回のプロムスでは英国のメゾ、アリス・クートが素晴らしい声を披露しています。

後半の最初は、1981年にイングランドのヨークに生まれたスコットランドの女流作曲家グライム作品のロンドン初演。彼女が未だ子供の時に両親がスコットランドに帰国したということで、そのプロフィールは彼女の出版社であるチェスターのホームページを↓

http://www.musicsalesclassical.com/composer/short-bio/3953

今回紹介されたのは2013年の作品。ハレ管の委嘱で、エルダーが初演したもの。演奏時間10分強の短い作品で、チェスターの該当ページにはプログラム・ノートもありますし、スコアも見ることが出来ます。パソコンの扱いに慣れている方は、譜面を見ながら聴くことも可能でしょう。

http://www.musicsalesclassical.com/composer/work/3953/48311

最後は特記することも無いエロイカ。エルダーは古楽器系ではないと思いますが、対抗配置、古楽器奏法を取り入れたスタイルで、繰り返しは全て実行しています。
私の聞き損いかも知れませんが、プレゼンターによると低弦を2部に分け、ヴィオラを挟んで左右に配置しているとか。耳で聴いただけでは判りませんが、その通りだとすると下野/読響、飯森/シティフィルと並んで三大エロイカ珍演奇演と言えそうですね。

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