やはり速かったノー・ネイ・ネヴァー

昨日はドーヴィル競馬場もクライマックスを迎え、二つのGⅠ戦を含めて3鞍のパターン・レースが行われました。フランス北部は雨に見舞われたようで、馬場状態は good to soft 。

先ずはモルニー賞 Prix Morny (GⅠ、2歳牡牝、1200メートル)。1頭が取り消して10頭立て。前走ロベール・パパン賞(GⅡ)を制して3戦無敗のヴォルダ Vorda が6対4の1番人気、アメリカから挑戦してアスコットのノーフォーク・ステークス(GⅡ)をレコード勝ちしたノー・ネイ・ネヴァー No Nay Never も11対5の2番人気で差無く続きます。

馬場が渋った分スピード馬には懸念もありましたが、終わって見ればノー・ネイ・ネヴァーのほぼ逃げ切り勝ち。ヴォルダも1馬身差の2着で続き、4分の3馬身差3着にもクイーン・メアリー・ステークス勝馬で3番人気(53対10)のリジーナ Rizeena 。
ロイヤル・アスコットの後で陣営が表明した通り、ノー・ネイ・ネヴァーは再度アメリカから遠征してのGⅠ初勝利。無敗記録も「3」に伸ばしました。前走のあと同馬はオーナーが替り、クールモアのジョン・マニエ氏が代表馬主。調教師はウェスリー・ウォードと変わりませんが、騎手はこれまでのロザリオから今回はデヴィッド・フローレスにスイッチされています。

次もGⅠで、ジャン・ロマネ賞 Prix Jean Romanet (GⅠ、4歳上牝、2000メートル)。未だ歴史の浅いレースですが、去年は優勝したスノー・フェアリー Snow Fairy にその後薬物が検出され失格、イッツィ・トップ Izzi Top が繰り上がった経緯のある因縁のGⅠでもあります。
6頭が出走、今期初戦でアレ・フランス賞(GⅢ)を制し、前走コリダ賞(GⅡ)は3着と堅実なロマンティカ Romantica が7対5の1番人気。

有力馬2頭を出走させたアガ・カーンの1頭、3番人気(7対2)ダルカラ Dalkala が逃げましたが、人気のロマンティカがキッチリと差し切って優勝。1馬身4分の1差2着にはアガ・カーンの4番人気(68対10)サルキーラ Sarkiyla が入り、逃げたダルカラが1馬身差で3着。
このレースの頃までには馬場もやや回復してきたことでスピードが活きたロマンティカは、アンドレ・ファーブル厩舎、マクシム・グィヨン騎乗で、ハーリッド・アブダッラー氏の所有馬。このコンビは一昨年のアナウンス Announce でもこのレースを制していました。

同馬はここまで9戦し、4着以下に落ちたのは去年のヴェルメイユ賞9着のみ。その前は同じドーヴィルでGⅡのノネット賞にも勝っており、これで晴れてGⅠホースのタイトルを手にしました。
彼女は父ガリレオ Galileo 、母バンクス・ヒル Banks Hill という良血。母はジャック・ル・マロワ賞とBCフィリー・アンド・メア・ターフを制したGⅠ馬で、近親にもGⅠ勝馬がぞろぞろ出てくるファミリー。勝つべくして勝ったジャン・ロマネ賞だったと言えるでしょう。このあとはオペラ賞、そして母の歩んだBCへの道を進むことが期待されます。

最後はケルゴレー賞 Prix Kergorlay (GⅡ、3歳上、3000メートル)。去年の勝馬ジョシュア・トゥリー Joshua Tree を含め9頭が出走、前走アスコット・ゴールド・カップ3着のトップ・トリップ Top Trip が23対10で1番人気。

GⅠ馬のペナルティー4ポンドを負担したジョシュア・トゥリーが、ライアン・ムーアを背に果敢な逃げ。中団の5番手を進んだ微差2番人気(14対5)のヴェレマ Verema が最後の一歩でグイと首を伸ばし、半馬身差で優勝。1着から7着までがほぼ1馬身内に雪崩れ込む大混戦で、2着はジョシュア・トゥリーが死守。短首差でダンス・ムーヴズ Dance Moves が3着に入り、トップ・トリップは5着同着。展開の綾で、着順には拘らなくとも良さそうな結果でした。

勝ったヴェレマはアラン・ド・ロワイヤー=デュプレ厩舎、クリストフ・ルメール騎乗でアガ・カーンの所有馬。前走モーリス・ド・ニエィユ賞に続くG戦連勝です。長距離戦でも末脚が切れることから、陣営はメルボルン・カップを視野に入れた模様。
一方4ポンドの負担差で半馬身負けと負けて尚強しの感あるジョシュア・トゥリー、去年の勝利を含めて二度制して(2010年と)いるカナダ・インターナショナルで3度目の勝利を目指す由。カナダ国際を3回勝った馬はこれまで無く、勝てば歴史を塗り替えることになりましょう。

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