日曜日も1着馬の降着

GⅠ6鞍に沸いた前日の土曜日と異なり、昨日の日曜日のアメリカは4つの競馬場で夫々一鞍づつのG戦、GⅡとGⅢの比較的静かな休日でした。

先ずはサラトガ競馬場のレイク・プラシッド・ステークス Lake Placid S (芝GⅡ、3歳牝、9ハロン)。馬場は firm 、ダート変更時のみの登録2頭は出番が無く、7頭立て。3連勝のあと、前走レイク・ジョージ・ステークス(芝GⅡ)3着で連勝をストップされたタピキャット Tapicat がイーヴンの1番人気。
そのタピキャットが逃げて直線に入りましたが、3番手を追走したヴァージニア・オークス(芝GⅢ)馬ながらブービー人気(20対1)のネリー・キャッシュマン Nellie Cashman が抜け出します。そこに外から2番人気(2対1)のワッツダチャンシズ Watsdachances が、更に外から5番人気(11対1)のキャロライン・トーマス Caroline Thomas が追い込んで熾烈な叩き合い。その過程で最内にいたネリー・キャッシュマンが外に寄れ、真ん中を抜けようとしたワッツダチャンシズの進路が狭くなります。ゴールではネリー・キャッシュマンがハナ差で最外のキャロライン・トーマスに先着、更に首差でワッツダチャンシズの順。一瞬馬を止めざるを得なかった3着馬のハヴィエル・カステラノ騎手が1着馬のフォレスト・ボイス騎手に対して異議申し立て。長い審議の末意義は受け入れられ、ネリー・キャッシュマンは3着に降着となり、キャロライン・トーマスが優勝と発表されました。
この映像を見て気が付きましたが、フォレスト・ボイスは女性騎手。勝馬に騎乗したのも女性のロージー・ナプラヴニクで、入線通りで決着すれば女性騎手によるワン・ツー・フィニッシュになるところでした。キャロライン・トーマスはバークレー・タグ厩舎、今シーズン6戦目での初勝利となり、ステークスは初勝利となります。勝星は去年12月ガルフストリームのアローワンス戦以来のこと。前走サラトガの条件ステークスは7着、その前の一般ステークスも3着でしたが、このレースはビット・オブ・フィムジー・ステークス Bit of Whimsy S と言い、キャロライン・トーマスの母の名を冠したレース。そう、母はGⅠに勝った名牝で、このあとは母の勝ったクィーン・エリザベスⅡ世ステークス(芝GⅠ)で母娘連覇を目指したいところでしょう。

次にモンマス・パーク競馬場からフィリップ・H・イズリン・ステークス Philip H. Iselin S (GⅢ、3歳上、9ハロン)。fast の馬場、3頭もの取り消しがあり5頭立て。興味は半減したと思われましたが、直線では期待通りのスリリングな死闘となっています。4対5の1番人気は、前走サバーバン・ハンデ(GⅡ)2着で7連勝を阻まれたラスト・ガンファイター Last Gunfighter
マーガノ Margano と2番人気(8対5)サン・パブロ San Pablo が入れ代わり立ち代わりハナに立つ流れからサン・パブロが抜け、これを最後方でジッと見ていたラスト・ガンファイターが4コーナーで外から追い上げ、直線は人気2頭の叩き合い。ゴールまでの長い一騎打ちは共に譲らず、決着が付いたのはゴール直前、本命馬がサン・パブロを頭差捉えていました。5馬身半の大差がついて3着はジャガー・ポウ Jaguar Paw 。
ラスト・ガンファイターを管理するのは、土曜日にアーリントン・ミリオンとソード・ダンサーと二つのGⅠを制したチャド・ブラウン師。今回は初コンビとなるジョー・ブラーヴォが騎乗していました。ブラウン師の元での6連勝には、3月のエクセルシオ・ステークス、5月のピムリコ・スペシャルが含まれ、今回の勝利によってGⅢに3勝となりました。次はより上のクラスを目指すことになるでしょう。

続いてはデル・マー競馬場。いつもは時差の関係で最も遅い時間にスタートするカリフォルニアですが、ランチョ・ベルナルド・ハンデキャップ Rancho Bernardo H (GⅢ、3歳上牝、6.5ハロン)は第4レースに組まれていたためいつもより早く結果が入ってきました。fast の馬場に5頭立て。7月18日に久々に実戦を使われ、レヴェルの高いアローワンス戦に快勝して復活を印象付けたルネースゴットジップ Reneesgotzip が1対5の断然1番人気。
スタートこそ2番手だったものの、直ぐにハナを奪うと後は一人旅の逃げ切り勝ち。ルネースゴットジップは去年のこのレース勝馬ワインディング・ウェイ Winding Way に4馬身4分の1差を付ける貫録勝ちです。更に3馬身4分の3差でスイート・マリーニ Sweet Marini が3着。勝時計の1分14秒48はコース・レコードというオマケ付で、2009年にカールスバッド Carlsbad がこのレースで記録した1分14秒93をコンマ5秒ほど更新する速いもの。ジョッキーもほとんど追う所の無い楽勝だっただけに、如何に彼女のスピードが桁違いかが判ろうというもの。
ピーター・ミラー厩舎、コンビ復活のギャレット・ゴメス騎乗のルネーズゴットジップは、これで通算12戦7勝。G戦は去年1月のサンタ・イネズ・ステークス(GⅡ、6.5ハロン)に続く2勝目ですが、負けた5鞍の内GⅠ戦では2着がサンタ・アニタ・オークスなど3回、BCターフ・スプリントは3着と、何時GⅠに勝ってもおかしくない快速馬です。

最後にワシントン州、エメラルド・ダウンズ競馬場から第78回ロングエイカーズ・マイル・ハンデキャップ Longacres Mile H (GⅢ、3歳上、8ハロン)。アメリカ北西部では最も人気のあるレースですね。fast の馬場に12頭立て。何と言っても注目を集めたのが、9対5の1番人気に支持されたポリティカリーコレクト Politicallycorrect 。オーナーであるラムゼー夫妻は、前日にGⅠを3勝した話題の人。白地に赤袖という勝負服もすっかりお馴染みになった感があります。
しかし事はそうスムーズには運ばないもの、結果は2番人気(2対1)で本命馬と同じ121ポンドのトップ・ハンデを背負ったハービー・ディー Herbie D 、鮮やかな逃げ切り勝ちでした。1馬身半差で後方から追い込んだストライカー・ピーエイディー Stryker Phd が2着、連れて追い込んだゴールデン・イティズ Golden Itiz が頭差で3着。人気のポリティカリーコレクトは、徐々に進出したものの後半はバテて9着に終わっています。
ロバート・ギルカー厩舎、アマデオ・ペレス騎乗のハービー・ディーはブリティッシュ・コロンビア産。2年連続でカナダ馬が制したことになります。通算成績は13戦10勝ですが、ここ9戦では8勝。内6勝はステークスで、G戦はこれが初勝利。前走もここエメラルド・ダウンズで、一般ステークス(マウント・ライニアー・ハンデ)をやはり逃げ切っていました。

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