ニューマーケット9月開催2日目
英国の秋競馬は、一昨年から再編されて3年目。セプテンバー・ミーティングはGⅠ戦が3鞍組まれていますが、いずれも牝馬を対象としたもの。来月のオクトーバー・ミーティングとは対照を成しています。
2日目の昨日はG戦3鞍、順に紹介して行きましょう。馬場状態は初日より更に乾いて good to firm 、所により good と、この時期にしては速い馬場となりました。
最初はオー・ソー・シャープ・ステークス Oh So Sharp S (GⅢ、2歳牝、7ハロン)。9頭立ての1番人気(11対10)は、前走リングフィールドで2着以下を15馬身引き離す圧勝を演じて初勝利を挙げたラジエイター Radiator 。
レースはスリーピー・スー Sleepy Sioux が逃げ、ラジエイターも好位から仕掛けに掛かりましたが反応は鈍く、2番人気(7対2)ミス・フランス Miss France と3番人気(15対2)ライトニング・サンダー Lightning Thunder の叩き合い。終始ライトニング・サンダーが左にもたれる接戦の中、最後はミス・フランスに原因する接触がありながらゴールイン。頭差でミス・フランスが先着し、審議となりましたが、最終的には着順通りで確定しました。5馬身差でスイート・アクレイム Sweet Acclaim が3着に入り、ラジエイターは4着敗退。
ミス・フランスは、フランスのアンドレ・ファーブル師が送り込んだ馬で、ミケール・バルザロナ騎乗。ドーヴィルのデビュー戦は9着でしたが、前走シャンティーの1600メートル戦で初勝利を挙げたばかり。来年の英国クラシックに参戦するかは未定ですが、1000ギニーに16対1のオッズが出されました。
続いてジョエル・ステークス Joel S (GⅡ、3歳上、1マイル)、7頭立て。ドバイから来た無敗馬で、英国初登場となった前走ハンガーフォード・ステークス(GⅡ)2着で初黒星を喫したソフト・フォーリング・レイン Soft Falling Rain が13対8の1番人気。
レースはスタンドから遠い側をペニテント Penitent 1頭が逃げ、馬場中央の集団をグローリー・アウェイツ Glory Awaits が引っ張る展開。この中から抜け出したのは、やはり本命のソフト・フォーリング・レイン。2着に入った2番人気(5対2)モンティリッジ Montiridge に3馬身半差を付けていました。更に5馬身差でプレミオ・ロコ Premio Loco が3着。
マイク・デ・コック厩舎、ポール・ハナガン騎乗のソフト・フォーリング・レインは、ハナガンによれば前走は馬場が重かったことが敗因で、何度も手前を変えていたとのこと。今回は良馬場に恵まれたことで、本来の能力を発揮しました。
コック師は同馬が間違いなくGⅠクラスであると宣言、クィーン・エリザベスⅡ世ステークス優勝が夢だ、とコメントしています。
最後に開催最初のGⅠ戦となるフィリーズ・マイル Fillies’ Mile (GⅠ、2歳牝、1マイル)。8頭が出走し、前走モイグレア・スタッド・ステークスで既にGⅠを制しているリジーナ Rizeena が11対4の1番人気に推されています。
レースはバリーバッカ・クイーン Ballybacka Queen とアヴェニュー・ガブリエル Avenue Gabriel の逃げ争い。リジーナも抜け出して二つ目のGⅠを制したかに思われましたが、これを一瞬で抜き去ったのが、最後方に待機していたクリセリアム Chriselliam 。何と28対1(7番人気)という大穴で、本命リジーナに1馬身差を付けていました。更に2馬身差でメイ・ヒル・ステークス(GⅡ)勝馬で2番人気(5対2)のイーティマル Ihtimal が3着。
G戦初勝利がいきなりGⅠとなったクリセリアムは、開業2年目のチャーリー・ヒルズの管理馬。名調教師バリー・ヒルズの跡を継いだ息子チャーリーにとって、これが念願の地元イギリスのGⅠ初勝利。鞍上は今年もリーディングを走るリチャード・ヒューズです。オーナーの一人は、父バリーと関係が深かった元名騎手のウィリー・カーソン。カーソンはもちろん騎手として、また生産者としてもクラシック馬を経験していますが、オーナーとしては未達。この馬で1000ギニーを目指すことになるでしょう。20対1のオッズが出されました。
クリセリアムは、2戦目にウォーリックの未勝利戦をレコード・タイムで優勝。ドーヴィルのカルヴァドス賞(GⅢ)に挑戦するも9着と大敗し、前走ヘイドックのリステッド戦も2着に終わり、人気を落としていました。カーソンと若きヒルズの夢を乗せ、来年のクラシックに向かいます。
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