三様のクラシック・トライアル

稿を改めて昨日のヨーロッパ競馬、後半はアイルランドのレパーズタウン競馬場で行われたG戦3鞍を紹介しましょう。馬場は yielding to soft とロンシャンより重い印象。日本とは違ってヨーロッパでは未だ夏は遠いようです。

レース順に取り上げ、最初はアメジスト・ステークス Amethyst S (GⅢ、3歳上、1マイル)。馬場の悪化から3頭が取り消して8頭立て。出走馬中唯1頭の3歳馬ムスタジーブ Mustajeeb が5対2の1番人気に支持されていました。
クラシックがスタートしていないこの時期に3歳上のレースがあること、それに3歳馬が出走してくることも日本では考えられませんし、出てきた3歳馬が1番人気になるなどはわが国ではあり得ないことでしょうね。

8歳馬ペニテント Penitent が逃げ、直線で2番手に付けていた5歳馬で2番人気(10対3)ブレンダン・ブラッカン Brendan Brackan が抜け出した所に、6番手を追走していたムスタジーブが外から襲い掛かると、ゴールでは2馬身半差を付けて見事人気に応えました。3馬身半差が付いて最低人気(28対1)の6歳馬ワン・スピリット One Spirit が3着。
デルモット・ウェルド厩舎、パット・スマーレン騎乗のムスタジーブは、去年の終戦となったカラーのフューチュリティー・ステークス(GⅠ)でウォー・コマンド War Command の2着した実力馬。これが今期のデビュー戦、古馬相手にも拘わらず(もちろん負担重量は恵まれますが)快勝、レースの条件とは関係なく絶好のクラシック・トライアルになりました。ウェルド師はこのレース、あのフェイマス・ネーム Famous Name で3連覇しており、今年も新星で制したことになります。

このあとは正真正銘のトライアルが続き、先ずはデリンスタウン・スタッド・1000ギニー・トライアル・ステークス Derrinstown Stud 1000 Guineas Trial S (GⅢ、3歳牝、1マイル)。ここも2頭が取り消して7頭立て。ライムリック競馬場で未勝利を脱したばかりのアフタヌーン・サンライト Afternoon Sunlight が9対4の1番人気に支持されていました。もちろんレース内容が良かったからでしょう。

スタートから主導権を握った本命馬、そのまま3番人気(3対1)で3番手から差を詰めるチーム・オブライエンのパレス Palace を頭差退けて優勝。こちらも4分の3馬身差で最低人気(20対1)のバリーバッカ・クイーン Ballybacka Queen が3着に突っ込んでいます。
アフタヌーン・サンライトは、アメジストと同じデルモット・ウェルド厩舎、パット・スマーレン騎乗のコンビ、堂々と本命馬でダブルを達成しました。

最後はデリンスタウン・スタッド・ダービー・トライアル・ステークス Derrinstown Stud Derby Trial S (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン)。ここでも取り消しが2頭あり、僅か6頭立て。イーヴンの1番人気に推されたのは、またもやウェルド/スマーレン・チームのファシネイティング・ロック Fascinating Rock 、前走バリーサックス・ステークス(GⅢ)で既にクラシックに名乗りを上げている馬です。

逃げたのは人気薄のハイリー・トクシック Highly Toxic 、有力馬は後方を進みます。先に仕掛けたのは3番人気(8対1)のエバノラン Ebanorun 、これを内から2番人気(7対4)でチーム・オブライエンのジェフリー・チョーサー Geoffrey Chaucer と外からファシネイティング・ロックが追い上げましたが、最後は一歩先んじたエバノランが首差で本命馬を抑えていました。前をカットされた感のあるジェフリー・チョーサーは2馬身半差で3着入線。
しかしレースは直ぐに審議となり、最後の勝負所でエバノランのデクラン・マクダナー騎手が外に寄れて後続の進路を妨害したと見做され、1・2着が入れ替わる結果となりました。映像を見ている限りでは最も不利を受けたのは3着馬でしたが、裁決のルールは国により様々、今回は裁決室で本命馬が勝利を拾っています。

ファシネイティング・ロックはこれで3連勝、ウェルド厩舎とスマーレン騎手は、スンナリとは行かないまでも何れも1番人気でG戦ハットトリック達成です。ブックメーカーは同馬のダービー・オッズを16対1に上げ、2着エバノランにも20対1を出しました。

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