最後のハリウッド・ターフ・フェスティヴァル
本来なら今日は日曜日に行われたハリウッド・ダービーなどをレポートする筈でしたが、その前に不在だった二日間の結果を報告しなければなりません。
ところで11月29日から三日間は、今年一杯で閉鎖が決まっているハリウッド競馬場の伝統だったターフ・フェスティヴァルに当たっていました。2鞍のGⅠ戦を含め、全部で5鞍の芝コースG戦が組まれています。今週のレポートはこれが中心ですが、他の競馬場てもシーズン末期のG戦が組まれており、併せて紹介して行きましょう。
ということで11月29日(金)のG戦から、最初はアケダクト競馬場のゴー・フォー・ワンド・ハンデキャップ Go for Wand H (GⅡ、3歳上牝、8ハロン)。fast の馬場、待たれた復帰戦で中心になるはずだったエクゼキュティヴプリヴィリッジ Excecutiveprivilege が取り消したため7頭立て。替って2対1の1番人気にはセントリング Centring が選ばれていました。今シーズンは7戦して未勝利、G戦の勝鞍もありませんが、GⅠ戦で3度3着している実績が買われました。
ファンタジー・オブ・フライト Fantasy of Flight が逃げ、セントリングはやや離れて後方2番手の待機策。3~4番手を進んだブービー人気(13対1)のロイヤル・ラハイナ Royal Rahaina が直線で抜けると、後方から懸命に追い上げるセントリングを2馬身半差抑えるサプライズ。本命馬はやや仕掛けが遅かった印象でした。首差で2番人気(3対1)のマイ・パル・クリシー My Pal Crisy が3着。
トッド・プレッチャー厩舎、ホセ・オルティス騎乗のロイヤル・ラハイナは、これがG戦初勝利。アケダクト競馬場を得意にし、去年から今年にかけてこのコースでは4連勝。去年は二つのアローワンス戦、前走もクレーミング戦に勝っていました。ベルモントでは一般ステークスに勝っており、ステークスは2勝目となります。プレッチャー師は、このレース3勝目。
ここで前述のハリウッド・パーク競馬場から、サイテイション・ハンデキャップ Citation H (芝GⅡ、3歳上、8.5ハロン)を取り上げましょう。芝の祭典第1弾、good のコースに1頭が取り消し、7頭立て。前走BCマイルで3着に食い込む健闘を見せたシレンティオ Silentio が3対2の1番人気。
アルゼンチンで地元のGⅠ戦に3勝、3番人気(2対1)に支持されたウイニング・プライズ Winning Prize が逃げ、渋太く粘ります。これを後方2番手のセントリングと、最後方のサマー・フロント Summer Front (やはり2対1の2番人気)が並んで追い上げ、最後は3頭の競り合い。3頭の真ん中を衝いたセントリングが、ハナ差でサマー・フロントを抑えて優勝。4分の3馬身差でウイニング・プライズが3着に粘りました。
ゲーリー・マンデラ厩舎、ラファエル・ベハラノ騎乗のセントリングは、日本産種牡馬サイレント・ネーム Silent Name 産駒として当ブログでも紹介済み。日本産馬に関心深いウェルザイマー・ファミリーの自家生産馬で、G戦は去年のサー・ボーフォート・ステークス(芝GⅡ)に続き二つ目。今年はBCマイルの他、フランク・キルロー・マイル(芝GⅠ)で2着、デル・マー・マイル(芝GⅡ)とアルカディア・ステークス(芝GⅡ)でも3着と惜しい星が続いていました。
金曜日三つ目のG戦は、チャーチル・ダウンズ競馬場の伝統あるGⅠのクラーク・ハンデキャップ Ckark H (GⅠ、3歳上、9ハロン)。9頭が出走し、BCクラシックで9着惨敗するまでは常勝だったゲーム・オン・デュード Game On Dude が6対5の1番人気。相手もBCクラシックで微差2着惜敗の3歳馬ウイル・テイク・チャージ Will Take Charge の2対1(2番人気)と一騎打ちムード。逃げ馬ゲーム・オン・デュードが1番枠、差し馬のウイル・テイク・チャージは7番枠と、条件も文句の無い対決となりました。
外から発走した2頭が先頭を争う展開で先手を取れなかった本命馬ですが、慌てず3番手から2番手へと徐々にポジションを挙げ、一気に先頭に立つとそのまま逃げ込みを図ります。ここに迫ってきたのが4番手に付けていたテイク・ウイル・チャージ、2馬身はあったリードは徐々に縮まり、最後は頭差で差し切っての逆転劇。チャーチル・ダウンズはアメリカの競馬場としては長い直線が差し馬に利したと言えましょう。2馬身差でイースター・ギフト Easter Gift が3着。
勝馬は、2000年のサーフサイド Surfside (牝馬)に続きクラーク2勝目となるウェイン・ルーカス師の管理馬で、クラーク初制覇となるルイス・サエズ騎乗。ウイル・テイク・チャージはトラヴァース・ステークスに続く二つ目のGⅠ勝ち。今年の3歳牡馬戦線は大混戦で、同馬の三冠での成績は夫々8着・7着・10着と奮いませんでしたが、クラシック馬たちもその後は伸び悩み、チャンピオン3歳は夏から秋にかけて実績を挙げた馬にもチャンスがありそう。クラークでは常勝古馬を力で捻じ伏せ、BCクラシックでも勝馬に限りなく迫ったウイル・テイク・チャージに決まる可能性も充分と言えましょう。
29日の最後は、ゴールデン・ゲート・フィールズ競馬場からバークレー・ハンデキャップ Berkeley H (GⅢ、3歳上、8.5ハロン)。去年は5月開催だったので4歳上の条件でしたが、今年は秋に移行したため3歳上となっています。タペタがメインの競馬場、馬場状態は fast 。ここも1頭が取り消しての5頭立て。123ポンドでハンデ頭のサマー・ヒット Summer Hit が4対5の1番人気に支持されていました。
ダッシュ良く飛び出した本命サマー・ヒット、そのまま快調に飛ばし、2番手に付けていた2番人気(5対2)マジェスティック・シティー Majestic City に迫られるどころか反対に引き離す一方。結局はマジェスティック・シティーに6馬身差の大差を付ける圧勝劇でした。3番人気(4対1)のファイア・ウィズ・ファイア Fire With Fire が追い込むも2着に首差届かず3着。
ジェリー・ホーレンドルファー厩舎、ラッセル・ベイズ騎乗のサマー・ヒットはタペタ・コースのスペシャリスト、このクッションでは6戦して5勝目となります。前走オウサム・アゲン・ステークス(GⅠ)は7着に終わりましたが、シーズン当初にはオール・アメリカン・ステークス(GⅢ)を制しており、G戦は2勝目。
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