京都市響・第579回定期演奏会

先週末家を空けたのはこのため、京響の5月定期を聴くために京都を旅して来たからです。もちろん建前は音楽を聴くのが目的ですが、場所が場所だけに日帰りはもったいない。そんな音楽旅行は毎回の常でもあります。
広上/京響は先の3月定期をサントリーホールにも持ち込んで東京公演を打ったばかり。当方はスケジュールが合わず京都の本定期も東京公演も行けませんでしたから、その罪滅ぼしという意味合いもありました。

4月から下野・高関の二人を客演ポストに迎えた同オケ、第12代常任の広上はミュージックアドヴァイザーも兼ねる立場。新体制としての最初の定期でもあります。プログラムは、食欲をそそる以下のフレンチもの。

ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
プーランク/バレエ組曲「牝鹿」
     ~休憩~
ベルリオーズ/交響曲「イタリアのハロルド」
 指揮/広上淳一
 ヴィオラ/川本嘉子
 コンサートマスター/泉原隆志
 フォアシュピーラー/渡邊穣

土曜公演を聴いて一泊し、日曜は観光という週末コース。よく旅券も宿も取れたと感心しますが、やはりゴールデン・ウィーク明けという季節的なものもあったのでしょう。朝一番の新幹線で京都入り。
演奏会までの時間をどうやって潰すか、いや楽しむかは毎回の難問ですが、それは家内任せ。今回は京響が以前に定期演奏会の会場として使っていた京都会館に近い平安神宮で杜若や睡蓮を鑑賞してきました。余り見られない河骨が咲いていたのも収穫。

京響恒例のプレトーク、今回は今シーズンの聴き所と新たに加わった二人のマエストロについても広上氏から紹介があり、来年5~6月に決まったヨーロッパ公演に付いても僅かながら触れられていました。

本編はプーランクの洒落たバレエ組曲を、ベルリオーズの名曲が挟む趣向。冒頭の序曲は数多く取り上げられるコンサート・オープナーですが、あとの2曲は有名作品ではありながらナマで聴く機会は意外に少ないもの。そこに聴き所も存在するでしょう。
フランス音楽は粋で軽やか、と考えたくなりますが、広上淳一の指揮はシンフォニックな構成力に力点を置きます。この辺りが好き嫌いの分かれ目になりそうですが、最初からベルリオーズのパワフルな魅力が炸裂しました。
最近の京響定期は完売続きで、東京から遠征する身には中々良い席が取れません。今回も一般発売初日に手配したものの割り当てられたのは隅っこ。これが難点で私の席ではバランスが悪いのが玉に疵でした。ま、我慢するしかないでしょうね。

プーランクはもちろんバレエ全曲ではなく組曲版。学生時代にプレートル指揮のパリ音楽院盤で楽しんで来たもの。ナマで聴いたのはもしかすると初めてかな。
もちろんプレートルの生粋フレンチとは若干趣が異なり、どちらかと言えば重厚な音量で迫ってくる演奏。これはこれでオーケストラの醍醐味に身を任せることが出来ました。

最後は今年1月にもカンブルラン/読響で聴いたばかり。カンブルランは終楽章の「遠くから」に着目し、オケの3人に加えてソリストまでもをP席に移動して演奏する凝りよう。
これに対し広上はオーソドックスそのもので、オケ奏者の「遠くから」はプルト後方の奏者に任せ(チェロは見えましたが、ヴァイオリンは隅っこのため確認出来ず)、ソリストも最初から最後まで指揮者の横に固定して演奏していました。終楽章のソロの長い休みは、椅子を用意してそこに川本氏が座って待つというスタイル。

そういう意味では見どころはありませんが、逆に言えば作品そのものの構成感を集中して楽しめる演奏。改めて広上ベルリオーズのシンフォニックな音響を満喫してきました。

演奏会後にはホワイエでレセプションがあるのも広上の会の恒例。最初の数分だけ参加してホテルに向かいましたが、事務局の話の中に川本氏が以前は広上の指揮クラスで指導を受けていたこともあったそうな。
単に指揮者とソリストの関係上に繋がりがあることを知ったのも収穫でした。

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