芝コースの熱戦

今週のアメリカは3連休、競馬は真ん中の日曜日だけはG戦が無く、土・月のG戦オンパレードです。
本来なら昨日の朝アップする筈だった土曜日のプログラム、昨夜帰宅したのでやっと今からデータをチェックしつつレポートして行きます。メインはアーリントンの3鞍でしょうが、今からですので順不同で取り上げましょう。

最初はベルモント・パーク競馬場のシープスヘッド・ベイ・ステークス Sheepshead Bay S (芝GⅡ、4歳上牝、11ハロン)。去年は3歳上牝の条件でしたが、今年はより現実的な出走条件。雨のため本来予定の内コースから俗称ワイドナー・コースと呼ばれる芝馬場に変更され、馬場状態は yielding 。そのため4頭が取り消して6頭立ての競馬になりました。僅かの差で1番人気(2対1)に支持されたのは、意外や前走ジェニー・ワイリー・ステークスで凡走しているフィットフル・スカイズ Fitful Skies 。ドイツのGⅢ勝馬で、カナダのGⅠ(E・P・テイラー・ステークス)戦2着の実績があります。
そのフィットフル・スカイズがスタート良く飛び出して先頭に立ちましたが、クラブハウス・ターンまで。そこからは3番人気(5対2)のリポスト Riposte がコーナーワークを利して先頭に立つと、そのまま後続を寄せ付けず逃げ切ってしまいました。1馬身4分の3差で2番人気(2対1)のアバコ Abaco が2着、更に3馬身4分の3差でアイリッシュ・ミッション irish Mission が3着に入り、フィットフル・スカイズはそのあと、4番手での入線です。
ウイリアム・モット厩舎、今回が初コンビとなるジョエル・ロザリオ騎乗のリポストは去年、ロイヤル・アスコットでリブルスデール・ステークス(GⅡ)に勝っている4歳馬。アメリカに移籍してからはスワニー・リヴァー・ステークス(芝GⅢ)2着、ヒルスボロー・ステークス(芝GⅢ)3着、そして前走アローワンス戦も僅差2着と惜敗続き。4戦目でのアメリカ初勝利を飾りました。アメリカではこれまでより短い距離で使われてきたため勝ち切れなかったもので、今後は長距離の芝戦を選んで使って来るものと思われます。

続いてはケンタッキー・ダービーが終わったチャーチル・ダウンズ競馬場から、ルイヴィル・ハンデキャップ Louisville H (芝GⅢ、3歳上、12ハロン)。これも芝の長距離戦ですが、馬場は firm 。8頭が出走し、去年のヴァージニア・ダービー(芝GⅡ)馬ウォー・ダンサー War Dancer が4対5の1番人気。それ以来勝星はありませんが、前走エルクホーン・ステークス(芝GⅡ)2着で調子は上向きです。
レースは2番人気(9対2)のタテナム Tattenham の逃げ作戦。これを3番手で見ていたウォー・ダンサーが早目に2番手に上がって直線に向くと、2番手追走から一旦控えて馬4頭分の外を回った4番人気(8対1)のサントレイサー Suntracer が外から並び掛けて2頭の一騎打ち。一旦はサントレイサーが抜けましたが、内からウォー・ダンサーが差し返し、ゴールでは頭差先着。3馬身差が開いて6番人気(9対1)のモロ・タップ Moro Tap が3着に食い込みました。
このレース3勝目となるケネス・マクピーク厩舎、アラン・ガルシア騎乗のウォー・ダンサーは、上記の通りヴァージニア・ダービーに勝ったあと5連敗。ここは最も重い118ポンドを背負っていましたが、それ以来の好走で連敗脱出です。

次はカリフォルニアのサンタ・アニタ競馬場を先に取り上げちゃいましょう。チャールズ・ウィッティンガム・ステークス Charles Whittingham S (芝GⅡ、3歳上、10ハロン)。これも芝コースの長距離戦(アメリカとしては)で、去年は6月第1週に行われていたものの前倒し。去年GⅡに格下げされた一戦。firm の馬場に9頭立て、前走ラスト・タイクーン・ステークス(芝GⅢ)を差し切ったクイック・カサブランカ Quick Casablanca が8対5の1番人気。
レースは3番人気(5対1)のブライト・ソート Bright Thought が逃げ、クイック・カサブランカは定位置の最後方待機。2番手に上がった2番人気(3対1)のセグウェイ Segway が直線で3馬身のリードを取って流れ込みを図りましたが、今回は戦術を変えた4番人気(7対1)のファイア・ウィズ・ファイア Fire With Fire が前半6番手から末脚を活かし、ゴール寸前でセグウェイを首差捉えて優勝。クイック・カサブランカも持ち味の切れ味を活かして追い込みましたが、更に首差届かず3着まで。
勝ったファイア・ウィズ・ファイアは、ラスト・タイクーンでは先行もクイック・カサブランカに差し切られて2着だった6歳馬で、3月のサン・ルイ・レイ・ステークス(芝GⅡ)を先行して逃げ切っていました。今回は一転しての差し競馬。管理するネイル・ドライスデール師は、このレース7勝目で師でもあったチャールズ・ウィッティンガムと並びました(ウィッティンガム時代はハリウッド・インヴィテーショナル・ターフ・ハンデとして知られていたレース)。ドライスデールは70年から74年までウィッティンガム厩舎でアシスタントを務めていた因縁のレースでもあります。鞍上はこのレース2勝目となるタイラー・ベイズ。

5月24日の最後は、アーリントン・パーク競馬場の3鞍。最初はポリトラック・コースで行われるアーリントン・メイトロン・ステークス Arlington Matron S (GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。8頭が出走し、地元シカゴのチャンピオンであるラ・ティア La Tia が8対5の1番人気。
期待と人気を背負ったラ・ティア、スタートから主導権を奪うと、大混戦となった2着争いを尻目に6馬身4分の1差を付ける圧巻の逃げ切り勝ち。3頭が並んだ2着争いは、写真判定の結果真ん中を衝いた3番人気(3対1)フリヴォラス Frivolous が首差先着し、頭差で内のオウサム・フラワー Awesome Flower が3着でした。
アーマンド・ド・ラ・セルダ厩舎、E・T・ベアード騎乗のラ・ティアは、3歳時にアーリントン・オークス(GⅢ)に勝っており、今年5歳で二つ目のG戦勝利。その他一般ステークスも含め7勝のうち、何と6勝がここアーリントン競馬場と言うコース・スペシャリストです。

続いてはハンシン・カップ・ステークス Hanshin Cup S (GⅢ、3歳上、8ハロン)。もちろんJRA阪神競馬場との姉妹レースです。1頭取り消して13頭立ての混戦。去年のハンシン・カップ勝馬のホギー Hogy が6対5の1番人気。
大外枠のモンゴリアン・サタデイ Mongolian Saturday が逃げ、直線は接触もある混戦となりましたが、前半7番手に付けていた7対1のニッキズ・サンドキャッスル Nikki’s Sandcastle が馬5頭分の外から鋭く伸び、後方から追い込むミスター・マルティ・グラ Mister Marti Gras を半馬身抑えて優勝。更に半馬身差でパス・ザ・ダイス Pass the Dice が3着に入りました。人気のホギーはレース中の不利もあって12着と大敗し、2011年の勝馬ハヴロック Havelock も6着に終わっています。
デヴィッド・カーセン厩舎、レアンドロ・ゴンサルヴェス騎乗のニッキズ・サンドキャッスルは、これが去年レキシントンのファイエット・ステークス(GⅡ)に続く二つ目のG戦勝利。今期は4戦して勝鞍に恵まれませんでしたが、前走ベン・アリ・ステークス(GⅢ)3着から調子を上げてきていました。

アーリントン最後は、名物でもある芝コースのアーリントン・クラシック・ステークス Arlington Classic S (芝GⅢ、3歳、8.5ハロン)。今はGⅢですが、かつてはGⅠ時代もあったレースです。中部アメリカ三冠レースの第一弾としても知られていますね。good の馬場、8頭が出走し、前走キーンランドの芝でアローワンス戦に勝ったアフォータブル Afortable が9対5の1番人気。ステークス・デビューでもあります。
レースは7番枠から出た5対1のイスタンフォード Istanford が逃げ、アフォータブルは後方から。直線も良く粘ったイスタンフォード、3番手を追走していたロング・オン・ヴァリュー Long On Value に1馬身差を保ったまま鮮やかに逃げ切りました。アフォータブルも脚を伸ばしましたが、4分の3馬身届かず3着まで。
マイケル・シュテドハム厩舎、ジェームス・グレアム騎乗のイスタンフォードは、出走馬中唯1頭の牝馬。牝馬がクラシックを勝ったのは1944年のトゥワイライト・ティア― Twilight Tear 、1964年のトスマー Tosmah に次ぎ僅か3頭目ですが、前2頭は何れもダート・コースで行われていた時代のもの。芝コースでは初の快挙となります。去年12月にフェアグラウンズの芝コースのアローワンス戦以来の勝鞍、4月のアシュランド・ステークス(GⅠ)では5着、前走チャーチル・ダウンズの一般ステークスは2着で、これが今期初勝利でもありました。

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