名物アナ、最後の実況

アメリカの夏競馬も愈々閉幕が近付いてきました。9月の第1月曜日はレイバー・デイの休日に当たるため、今年のサラトガは明日がフィナーレとなります。
その前日、サラトガとデル・マーでもG戦が行われましたが、この日はもう一つのフィナーレがありました。1990年からニュー・ヨークの競馬現地実況を担当してきた名物アナ、トム・ダーキン氏がこの日を最後に引退、スピナウェイがラスト実況となりました。

サラトガ競馬場のG戦は2鞍、先ずはグレンズ・フォールズ・ハンデキャップ Glens Falls H (芝GⅢ、3歳上牝、11ハロン)。雨が降り始めましたが、馬場は何とか firm を維持。2頭が取り消して8頭立てとなり、連敗続きながら前走マッチメイカー・ステークス(芝GⅢ)で2着のアイリッシュ・ミッション Irish Mission が3対1の1番人気。
レースは3番人気(4対1)のヴィーヴァ・ラファエラ Viva Rafaela の逃げ、内々の3番手を追走したアイリッシュ・ミッションが直線では逃げ馬の外に出し、そのままヴィーヴァを半馬身差し切って人気に応えました。首差で6番人気(7対1)のカリフォルニア・トーマス California Thomas が3着。
クリストフ・クレメント厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のアイリッシュ・ミッションはカナダで走った馬で、3歳時デビューから7戦目で初勝利を挙げ、次のウッドバイン・オークスに優勝。続くクィーンズ・プレートでは牡馬相手に2着、カナダ三冠の最後となるブリーダーズ・ステークス(芝の1マイル半)に勝ったクラシック馬でもあります。しかしその後は奮わず、今期からクレメント厩舎に移籍し、G戦初勝利で7連敗に終止符を打ちました。

そして、ダーキン氏が受け持つ最後のレースがスピナウェイ・ステークス Spinaway S (GⅠ、2歳牝、7ハロン)。雨が酷くなり馬場は sloppy 。1頭が取り消して8頭立てとなり、前走アディロンダック・ステークス(GⅡ)で2着のアンジェラ・ルネー Angela Renee が8対5の1番人気。
泥んこ馬場のゴチャついたスタートから大外枠のボニー・ケー Bonnie K が先手を取りましたが、直ぐに1枠発走の2番人気(3対1)カンド・コマンド Condo Commando が先頭を奪うと、後は一人旅。そのまま3番手を追走した4番人気(5対1)バイ・ザ・ムーン By the Moon に何と13馬身4分の1の大差を付けて圧勝しました。これにはダーキン氏も大興奮。更に6馬身の差が開き、本命のアンジェラ・ルネーは3着。
ルディー・ロドリゲス厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のカンド・コマンドは、8月3日にサラトガのデビュー戦を12馬身で圧勝した馬。この2戦だけで25馬身強という圧巻の強さを見せ付けました。

ブラッドホースの電子版では、態々ダーキン実況を映像入りでオン・エア、同誌のホームページを見れば簡単に見る(聞く)ことができます。またベルモント、アケダクト、サラトガ競馬場で行われた過去の大レースも氏の絶好調(舌好調)も何度も視聴可能。是非味わってくださいな。

一方デル・マー競馬場もG戦2鞍。先ず最初に行われたトーリー・パインズ・ステークス Torrey Pines S (GⅢ、3歳牝、8ハロン)は、去年までリステッド戦にランクされていたもの。1976年創設ですが、今年からGⅢに格上げされる一戦です。ポリトラック・コースに1頭が取り消して6頭立て。前走サマータイム・オークス(GⅡ、旧ハリウッド・オークス)を制したジョジョ・ウォリアー Jojo Warrior がイーヴンの1番人気。
前走を逃げ切ったジョジョ・ウォリアー、この日もスタートから主導権を奪っての逃げ切り勝ちでした。4分の3馬身差で5番人気(9対1)のティズ・キッサブル Tiz Kissable が2着に入り、同じ9対1のザガールインザットソング Thegirlinthatsong が3着。
ボブ・バファート厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のジョジョ・ウォリアーは、エジプト人オーナーのアームド・ザヤット氏の所有馬ですが、たまたまこの日はザヤット氏の52歳の誕生日だった由。GⅢに格上げされた最初のレースを制するという、出来過ぎた誕生日プレゼントになったでしょう。

日曜日のメインはデル・マー・ダービー Del Mar Derby (芝GⅡ、3歳、9ハロン)。firm の馬場に8頭立て。前走ラ・ホヤ・マイル(芝GⅢ)に勝ったエンタープライジング Enterprising が8対5の1番人気。
レースは最低人気(17対1)のミッドナイト・ストーム Midnight Storm が逃げ、これを5番人気(12対1)のソイヤーズ・ヒル Sawyer’s Hill が追走する展開。エンタープライジングは最後方から追い込む作戦でしたが、前の2頭の脚色は衰えず、結局行った行ったの波乱になってしまいました。ミッドナイト・ストームとソイヤーズ・ヒルの着差は3馬身4分の1。漸く頭差の3着に後方2番手から4番人気(8対1)のタルコ Talco が3着に追い込みました。エンタープライジングは6着敗退。
フィリップ・ダマト厩舎、タイラー・ベイズ騎乗のミッドナイト・ストームは、前走8月10日に初体験の芝となる1マイルのアローワンス戦を半馬身差で逃げ切ったばかり。今回がステークス初挑戦でしたが、前走以上の逃げ足を見せての快勝でした。
なおこのレースで2番人気(2対1)に支持されたフランス産馬フラムボヤント Flamboyant は、父が日本産のペールギュント。ディープインパクトと同期のサンデー産駒で、デイリー杯2歳ステークスとシンザン記念に勝った馬と言えば記憶している方もあると思います。残念ながらフラムボヤントはシンガリ負け。次走に注目しましょう。

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