マイル戦三態

今週のアメリカ競馬は、三冠第一弾のケンタッキー・ダービーを一週間後に控えて嵐の前の静けさ。昨日は土曜日にも拘わらず3つの競馬場で夫々一鞍づつのG戦が行われただけです。何れも1マイルの距離で行われたレース、距離は同じでも様々な条件下でのG戦でした。
レポートが遅くなったのは、チャーチル・ダウンズとローン・スター・パークが何れもナイター競馬だったから。日本時間では日曜日のレースとなっていました。

先ずはゴールデン・ゲート・フィールズ競馬場のサン・フランシスコ・マイル San Francisco Mile (芝GⅢ、3歳上、8ハロン)。古馬による芝コースのマイル戦です。firm の馬場に8頭立て。ジェリー・ホーレンドルファー厩舎が3頭を送り込み、去年のこのレースで首差2着だったサマー・ヒット Summer Hit が6対5の1番人気。
そのサマー・ヒットがクラブハウス・ターンを利して先頭に立ち、直線もそのまま押し切るかと思われましたが、前半4番手に付けていた最低人気(46対1!)のペッパー・クラウン Pepper Crown が後退する2・3番手の馬を内ラチ沿い一杯から交わすと、本命馬を4分の3馬身差し切って大穴を開けました。更に1馬身4分の3差で3番人気(5対1)で一昨年のこのレース勝馬ハドソン・ランディング Hudson Landing が3着。
勝馬のオーナーでもあるアレックス・パスケイチ厩舎、アベル・セディーヨ騎乗のペッパー・クラウンは、これがステークス初勝利。本来芝コースを得意とする馬で、初勝利も去年の芝コースでのもの。これを含め、芝で3勝2着1回となりました。大波乱にもパスケイチ師は驚いた様子もありません。今年はゴールデン・ゲートのタペタ・コースで2勝、前走(3月30日)もタペタの1マイル戦で、今回も出走していたペプニック Pepnic (3番手追走で6着)、ハドソン・ランディングに続く3着となっていました。

続いて4月26日に開幕したチャーチル・ダウンズ競馬場から。ダービー1週前のメインはその名もダービー・トライアル・ステークス Derby Trial S (GⅢ、3歳、8ハロン)ですが、ここからダービーに向かう馬は通常いません。fast の馬場、ボブ・バファート厩舎が有力2頭を登録してきましたが、結局サンランド・ダービー(GⅢ)勝馬のシートゥー Chitu はダービーに出走するため取り消し、同厩のアーカンソー・ダービー(GⅠ)3着馬バイエルン Bayern が4対5の1番人気。
スタートからダッシュ良く飛び出したバイエルンが先頭で直線、2番手でマークしていた2番人気(9対2)エンベリッシング・ボブ Embellishing Bob との壮烈な叩き合い。2頭が何度も接触する場面があり、最後は最後方から大外を通って一気の脚を使った4番人気(7対1)のマイオサイティス・ダン Myositis Dan の3頭が鼻面を並べた所がゴール。写真判定の結果、ハナ・ハナでバイエルン1着、エンベリッシング・ボブ2着、マイオサイティス・ダン3着で掲示板に表示されました。しかし直線での2頭の接触が審議となり、バイエルンのロージー・ナプラヴニクが左ムチに切り替えたために外に膨れたと判定され、最終的には1・2着が入れ替わります。
スティーヴ・マルゴリス厩舎、ブライアン・ジョセフ・ヘルナンデス騎乗のエンベリッシング・ボブは、3月29日にフェアグラウンズで3戦目に初勝利を挙げたばかり。ステークス初挑戦でのG戦勝ちとなりました。

最後がローン・スター・パーク競馬場のテキサス・マイル・ステークス Texas Mile S (GⅢ、3歳上、8ハロン)。9頭立て。一昨年のスーパー・ダービー(GⅡ)以来勝ち星がないものの、今年のドン・ハンデ(GⅠ)で4着したバーボン・カレッジ Bourbon Courage が8対5の1番人気。
レースはスキップ・ザ・ピノ Skip the Pino が逃げ、スタートで出遅れたバーボン・カレッジは後方3番手の苦しい展開。前半3番手に付けていた3番人気(7対2)のグランド・コンテンダー Grand Contender が3コーナー手前から仕掛けて先頭に立ち、これを追って4番手待機から伸びる2番人気(2対1)のタップタウン Taptowne を半馬身抑えて優勝。終始おっつけ気味のバーボン・カレッジも最後で差を詰めましたが、4分の3馬身差届かず3着に終わりました。
トーマス・エイモス厩舎、リチャード・エラミア騎乗のグランド・コンテンダーは、ルイジアナでの好調をテキサスに持ち込んでのG戦初勝利。2月にフェア・グラウンズでマインシャフト・ハンデ(GⅢ)で2着した後、前走3月のデルタ・ダウンズで一般ステークスに勝っていました。12ハロンの世界レコードを樹立したトゥワイライト・エクリプス Twilight Eclipse の半弟でもあり、こちらはスピードを活かしたマイラー・タイプでしょう。

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