2014菊花賞馬のプロフィール
久し振りに日本の競馬から、今年最後のクラシックとなる菊花賞馬の牝系を訪ねましょう。結果はご存知の様に3番人気の馬が勝ち、4番人気の馬が2着でしたから波乱とは言えませんが、やはり1番人気が9着、2番人気は16着に終わったのですから、波乱というイメージが強かったと思います。
その3番人気も特殊な要因があったようで、ステークスに勝ったのは菊花賞が初。この結果を説明するのは難しい所でもあります。
さてトーホウジャッカルは、父スペシャルウィーク、母トーホウガイア、母の父アンブライドルズ・ソング Unbridled’s Song という血統。スペシャルウィーク自身は菊花賞は2着でしたが、その後春の天皇賞と阪神大賞典に勝っているのですから、スタミナ不足ということはないでしょう。
しかし、ここでは牝系を辿って行きます。
トーホウガイア(2001年 栗毛)はアメリカ産で、日本に輸入され、中央競馬で2戦未勝利、地方競馬に転出して18戦9勝した馬。大きいレースの勝鞍はありませんが、盛岡と水沢で、全てダートコースで1200メートルから1800メートルの距離に優勝しました。地方では長距離戦はないので、距離適性については何とも言えませんね。
2006年に繁殖に上がり、現在までの成績は以下の通りです。
2007年 不受胎
2008年 トーホウブーケ 鹿毛 牝 父トーホウエンペラー 地方競馬で16戦1勝(浦和のダート1400メートル)
2009年 トーホウアマポーラ 栗毛 牝 父フジキセキ 中央競馬で20戦6勝 CBC賞(GⅢ、中京1200メートル)に勝った他、あやめ賞(京都1400メートル)、伊万里特別(小倉1200メートル)、壬生特別(京都1200メートル)、うずしおステークス(阪神1400メートル)に勝ったスプリンター
2010年 トーホウヴィオラ 鹿毛 牝 父ファンタスティック・ライト Fantastic Light 中央で3戦未勝利、地方で30戦1勝(高知のダート1300メートル)
2011年 トーホウジャッカル
即ちトーホウジャッカルは母の4番仔で、初の牡馬産駒。G戦勝馬は2頭目で、半姉は短距離で活躍しており、3000メートルのスタミナはやはり父から受け継いだもの、レコードが出るような固い馬場だったことも同馬には幸いしたと言えそうです。
2代母はアガミ Agami (1995年 鹿毛 父ヌレエフ Nureyev)と言い、アメリカで走り5戦未勝利。その産駒にも現在までの所大した活躍馬は出ていません。3勝したシーハズハイホープス Shehashighhoppes 、2勝のフサイチ・プリティー Fusaichi Pretty 、そして1勝馬パラメータース Parameters がいる程度。
アガミのは3頭の娘が記録されていますが、彼女たちからも特段の産駒は無いようです。
さて3代母アガセリー Agacerie (1981年 鹿毛 父イクスクルーシヴ・ネイティヴ Exclusive Native)は21戦9勝、堂々たるステークス勝馬で、G戦ではヴァインランド・ハンデ(GⅢ、ガーデン・ステート競馬場、12ハロン)をコース・レコードで勝ち、フラワー・ボール・ハンデ(GⅠ)で3着したという実績があります。アメリカの長距離G戦をレコード勝ちした辺りは、トーホウジャッカルを髣髴させるような気がしなくもない。
このアガセリーの産駒で先ず指を折るべきは、日本に輸入されたスリーエフ(鹿毛 父ヌレエフ)で、中京1200メートルの御嶽特別、福島1200メートルの五色沼特別とステークスに2勝、その産駒にもマイルの特別に勝ったルタンティール、中山でダートの特別に勝ったウインマグナムが出ています。
また別の娘クワイエット・アギー Quiet Aggie はオーストラリアでステークス勝馬を出し、南半球にこのファミリーを広げつつあるようです。
4代母のクワイエット・チャーム Quiet Charm (1971年 黒鹿毛 父ネアークティック Nearctic)は6戦1勝と競走成績に見るべきものはありませんが、その娘デミュア Demure はシガー・マイルに勝ったクワイエット・アメリカン Quiet American の母となり、また別の娘パーティーゴアー Partygoer もパシフィック・クラシックのデア・アンド・ゴー Dare and Go 、ソード・ダンサー・インヴィテーショナルのゴー・デピュティー Go Deputy と2頭のGⅠ級を出しています。
更にデミュアの娘イントリギューイング Intriguing の孫娘アシャランダ Ashalanda もニューマーケットでプリンセス・ロイヤル・ステークス(GⅡ)に勝ちましたが、このレースは現在のブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリー・アンド・メア・ステークス(GⅠ)として昇格しました。
更に牝系を遡って5代母セキーロ Cequillo (1956年 鹿毛 父プリンスキロ Princequillo)まで来ると、その産駒にはマンノウォー・ステークスに勝ったラッフルド・フェザース Ruffled Feathers が登場します。
またセキーロの娘では、4頭の繁殖牝馬からGⅠ級(勝った当時はGⅠでなくとも、その後GⅠに昇格したレースも含む)の馬が輩出しています。少し煩わしくなりますが、それらを列記すると、
①グランド・スブレンダー Grand Splendor (1962年)からは、ファッピアノ Fappiano (メトロポリタン・ハンデ、フォアゴ・ステークス)、トーレンシャル Torrential (ジャン・プラ賞)、クラッバー・ガール Clabber Girl (クレメント・L・ヒルシュ・ステークス)、オナー・アンド・グローリー Honour and Glory (メトロポリタン・ハンデ、キングズ・ビショップ・ステークス、ブリーダーズ・フューチュリティー)、コメンダブル Commendable (ベルモント・ステークス)、キーパー・ヒル Keeper Hill (ケンタッキー・オークス、ラス・ヴァージェネス・ステークス、スピンスター・ステークス)が出て最も成功。
②イクスペクタンシー Expectancy (1965年)は、ドクター・パッチェス Dr. Patches (ヴォスバー・ステークス)の母。
③クワイエット・チャームについては詳述済み。
④コンシークェンシャル Consequential (1973年)からはショットガン・ガルチ Shotgun Gulch (ヴァイネリー・マジソン・ステークス)が出ているという具合。
更に付け加えておきたいのは、トーホウジャッカルの9代母プラッキー・リエージュ Plucky Liege が、去年の菊花賞馬エピファネイアの11代母で繋がるということ。
この牝系は16-a。ミス・アグネス Miss Agnes を基礎とするファミリーですが、菊花賞は2年連続、更に1961年の勝馬アズマテンランを加えて3頭目となることも紹介しておきましょう。
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