トレーヴの強敵? 現る
フランス競馬のG戦も愈々最後から二つ目。昨日はサン=クルー競馬場でシーズン最後のGⅠ戦となるクリテリウム・ド・サン=クルー Criterium de Saint-Cloud (GⅠ、2歳牡牝、2000メートル)が行われました。
せん馬には出走権が無いことからも判るように、来年のクラシックを意識した2歳戦でもあります。
馬場は heavy 、英国から挑戦の2頭を含む4頭が出走してきましたが、前走9ハロンのコンデ賞(GⅢ)を楽勝したジャドモント・ファームのエピキュリス Epicuris が9対10の断然1番人気に支持されています。
前走は好スタートから一旦は2番手に控える競馬をしたエピキュリス、今回もスタートから先手を取りますが、同馬の強さを知ったのか、敢えて競り掛ける馬はいません。
鞍上ティエリー・テュイレが馬場のいくらか良いスタンド側に誘導するように馬群を従え、最後は再び後続を突き放す瞬発力を発揮すると、後方から追い込み策を取った5番人気(135対10)のドイツ馬パラング Palang に2馬身半差を付けてここも楽勝。2番手を追走していた2番人気(18対5)でゴドルフィンのビッグ・ブルー Big Blue が頭差で3着に入りました。
前走コンデ賞でエピキュリスの2着だったビッグ・ブルーは、今回も勝馬との着差は2馬身半。同じ結果になったことからも、このレースは現時点の実力を正当に評価したものと言えそうです。
さて3連勝で無傷のまま2歳シーズンを終えるエピキュリスは、10月20日の日記でも紹介したように、クリティック・ヘッド=マーレク夫人の管理馬。ヘッド夫人にとっては1994年のポリグロート Poliglote 、1997年スペシャル・クェスト Special Quest 、2007年のフル・オブ・ゴールド Full of Gold に続くクリテリウム4勝目となります。
2歳の時点で10ハロンに勝ったということは、そのままダービー候補でもあるということ。ブックメーカーはダービーに16対1のオッズを出しました。今回の勝ちタイム、2分17秒41は、ここ10年では最も速い時計で、不良馬場での記録だけに信用して良いと思います。
ヘッド師と言えば、御存知の様に凱旋門賞を連覇したトレーヴ Treve の調教師。レース直後は引退を宣言したトレーヴ陣営でしたが、その後直ぐに3連覇を目指して現役に留まることを表明したことも大きく報道されていました。
もしエピキュリスが順調に3歳の長・中距離チャンピオンに成長すれば、凱旋門賞でトレーヴの強敵になるのは必至。エピキュリスの父は、2006年の凱旋門賞でディープインパクトを破ったレイル・リンク Rail Link 。何となく因縁を感じてしまうではありませんか。
もちろんトレーヴとエピキュリスは別のオーナー。2頭が牽制して出走を譲るということはあり得ません。どちらも凱旋門賞馬のオーナーに相応しい陣営だけに、来年のエピキュリスの動向からは目が離せませんね。
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