今日の1枚(199)

トスカニーニの2枚目は以下の内容。

①ワーグナー/歌劇「リエンツィ」序曲
②ベートーヴェン/交響曲第6番
③ワーグナー/楽劇「神々の黄昏」第3幕~ブリュンヒルデの自己犠牲
④ベッリーニ/歌劇「ノルマ」第1幕~序奏、合唱とカヴァティーナ

②以外は全てNBC交響楽団との演奏ですが、②のみはBBC交響楽団との正規スタジオ録音です。これのみがHMVからリリースされたもので、英本国では5枚組10面のSP DB 3333/7 で発売されました。
当盤のブックレットは読めませんが、同じものがナクソス・ヒストリカルからも配信されていて、そのブックレットは読むことが出来ます。それによれば、トスカニーニがイギリスのオーケストラを指揮したのは、1935年のBBC響との一連のコンサートでのこと。これが大成功で、戦争によって中断(終結)するまで毎年の様に同コンビによる演奏会が行われたようです。
田園交響曲は1937年の6月22日、7月16日、10月22日の3回に分けて収録されています。この年は春と秋にもコンサートがあった由、その際の収録で、会場はロンドンのクィーンズ・ホール。

演奏は、この交響曲の代表的名盤。第1楽章の繰り返しを省略しているのは、SPの収録時間の関係でしょう。後のNBCとの録音は「今日の1枚」(147)で紹介しましたが、新盤では第1楽章提示部を繰り返していました。また第2楽章のトリルでの独特な装飾音も、BBCではやっていません。第4楽章のティンパニ加筆も、BBCではオリジナル通りでしょう。
ナクソスの同じ音源と比較すると、マスタリングはややナクソスの方が上に感じました。使用した原盤の違いでしょうか。

①③④はNBC響とのライヴで、全て拍手があります。私はどれも初めて聴いたもので、①はトスカニーニの唸り声というか、歌声も聞こえる情熱的なもの。
③は「今日の1枚」(183)で取り上げた1941年2月録音、今回と同じヘレン・トローベル Helen Traubel との共演とは別テイク。前回とは異なり、こちらはスコア・1240ページの6小節目から最後までが演奏されます。これはミュンシュ盤と同じ扱い。

④はニコラ・モスコーナ Nicola Moscona と、ピーター・ウィロフスキー合唱団 Peter Wilhovsky Chorus との共演。序曲(Sinfonia)のあと、第1幕冒頭の楽曲がそのまま演奏されますが、最後の16小節を伴奏するバンダが通常のオーケストラに編曲されています。トスカニーニ自身によるアレンジかも・・・。

参照楽譜
①オイレンブルク No.667
②フィルハーモニア No.3
③オイレンブルク No.910
④ドーヴァー(歌劇全曲版)

 

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