弦楽四重奏の旅・第2回

2月最初の演奏会は、3月一杯で閉鎖が決まっている津田ホール。居座った低気圧から吹き降ろす寒風凄まじい中を信濃町に出掛けました。もちろん「エク」の新シリーズを聴くため。

ハイドン/弦楽四重奏曲第77番ハ長調作品76-3「皇帝」
モーツァルト/弦楽四重奏曲第19番ハ長調K465「不協和音」
     ~休憩~
シューベルト/弦楽四重奏曲第14番ニ短調D810「死と乙女」
 クァルテット・エクセルシオ

今シーズンが結成20周年となるエクが新たに企画する「弦楽四重奏の旅」は、去年10月にスタートし、今回が2回目。四重奏のファン層を広めるためには天下の名曲を提供することから、という意味合いもあります。
しかし第1回とは大きく異なることがありました。それは、去年末にクァルテット・エクセルシオにとってはこれ以上ないダブル受賞の栄誉を得たこと。既に各所で報じられていますが、一つは第16回(2014年度)ホテルオークラ音楽賞の授与。もう一つはエクの中心となるチェリスト大友肇氏の第13回(2014年度)「斎藤秀雄メモリアル基金賞」を贈賞されたこと。

この二つの大きな賞が与えられたという朗報は、エクセルシオを長年応援してきたファンにとっても思わず快哉を叫ぶほどの快挙で、会場に入って先ずは関係者諸氏への祝辞から始まりました。急遽これに伴う記念演奏会も決まり、エクにとって極めて忙しい新年度がスタートしたと言えそうです。
夫々の賞についてはホームページも充実しており、ここでは詳しく書くこともありますまい。

この日の演奏に付いても特に付け加えることはないでしょう。エクセルシオについては何度も紹介してきましたし、この日の3曲も室内楽ファンならずとも一度は聴いたことのある名曲ですからね。
そこで若干記憶を辿ると、先ずハイドン。エクの皇帝はいくつかの楽章をアンコールなどで聴いたことはありましたが、全曲を通して聴いたのは初めての様な気がします。その意味でも真に新鮮な印象で、特に有名な第2楽章は、ハイドンの晩年の穏やかな心境が良く伝わっていたと思いました。4人のバランス感覚に20年の重みを感じます。

モーツァルトは2009年秋の東京定期、2012年の慶應キャンバスでの演奏を思い出します。ハイドンもそうですが、モーツァルトの最高傑作では単なる古典派の整った作曲スタイルを突き抜ける個所があり、エクセルシオは以前にも増して大胆に表現の幅を深めていると聴きます。

最後のシューベルトは思い出すのも煩わしいほど繰り返し聴いてきた定番。彼らのレコーディングもあり、それを含めると隅々まで知り尽くした感があります。
それでも冒頭の「ジャーーーン、ジャジャジャジャンッ!!」から曳き込まれるのは、彼らの技術力と集中力との融合体であるから。第2楽章大友のチェロは、綿々と繰り出す美音にも拘わらず精神は冷静そのもの。抒情のみに溺れないエクのスタイルに増々磨きが掛かってきました。圧巻の名演。

有名作品ばかりながら、内容的にはかなりへヴィーで長いプログラム。それでも最後にハイドンの「ひばり」から第2楽章がアンコールされ、エクセルシオも、特に初期には何度も出演した津田ホールに永遠の別れを告げたのでした。

 

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