今日の1枚(238)

このカテゴリー、偉大な指揮者たちシリーズが一段落してからどう続けようかと考えていましたが、どうも目移りがして纏まりません。
そんなこんなで何となく思い付いたのが、NML配信の新着アルバム。この配信は分量が多過ぎて逆に何を聴くのか迷うのですが、一番新しい配信の中から面白そうなものを摘み食いするスタイルなら重荷にもならないし、色々聴いている内に気が付くこともあるでしょう。もちろん毎日聴く時間も無いし、その気もありません。あくまでも気が向くままというスタンス、何が飛び出すかはナクソスさん次第ということで早速クリックしてみました。

今日(2月3日)の1枚は、私にも馴染の顔が大写しになっているジャケット写真に惹かれて、ネッロ・サンティ指揮NHK交響楽団による1枚。Meister Music というレーベルの MM 2198 品番で、
①ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
②ベートーヴェン/交響曲第5番

が収録されています。Meister Music はドイツの「音の職人」という国家資格を日本人で初めて取得した平井義也氏が1993年に創立したレーベルとのこと。主に日本人演奏家による録音が中心で、今日現在400枚弱のCDが配信されています。
サンティ/N響の録音も既にベートーヴェンの7・8番、チャイコフスキーの4番と6番などが聴けますし、サンティ指揮では読響との録音も配信中。録音技術者としてマイスターの資格を所有する平井氏だけに、録音が超優秀なのが最大の魅力でしょう。
この2曲も共に素晴らしい音質で、配信のデータでは

①2009年11月20・21日 NHKホール
②2010年10月27・28日 NHKホール

とクレジットされています。しかし実際に音を聴いてみると、①と②とでは微妙な相違が聴き取れます。ハッキリ言えば、②の方がより音楽的なのですね。私はN響は長く疎遠なのでホームページからデータを検証してみると、②はNHKホールではなくサントリーホールでの録音ではないかと疑いを持ちました。
このCDは純粋なライヴではありません。会場ノイズは全く聞こえませんし、最後に拍手も無し。しかしライヴ演奏であることは、指揮者の息遣いが聴き取れたり、演奏上の細かいアンサンブルのズレがあることからも明らかで、恐らくゲネプロを中心に本番を含めて編集したのではないでしょうか。それでも全く不自然さを感じさせず、音楽的に一貫しているのは流石にマイスターの仕事でしょう。

実は、①は当日のライヴをBS放送で聴いたことがあり、その当時は感想をアップしていました。自分のブログを検索したら見つかりましたよ。これです↓

http://merrywillow.com/?p=1461

一方②は翌年の演奏。私は日本のオーケストラの定期演奏会のプログラムを毎月一日に紹介していますが、開始したのは2010年の4月から。こちらも該当月を検索したところ、やはり会場はサントリーホールとなっていました。まさかNHKホールで録音した後にサントリーで演奏したとも思えませんので、これは配信データの誤りでしょう。当日のプログラムはこちらから↓

http://merrywillow.com/?p=1864

実際に音を聴いてみると、サントリーホールの方がより真実に近い演奏の様に聴こえてきます。巧く表現できませんが、これに比べるとNHKホールは演奏が収録されるうえで失われるものが遥かに大きい印象。
演奏も実に堂々たるもので、第4楽章のコーダでサンティが小節の1拍目を強調して高揚感を表現しているところなど真に印象的です。私もN響のライヴがこのように聴ける座席がゲットできるなら、即定期会員になりたいと思いました。実際には無理な注文ですね。

ということで平井マイスターには今後もN響の数々の名演を録音し、NMLから配信してくれることを願わずにはいられません。

 

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