弦楽四重奏の旅・第1回

台風19号(ヴォンフォン Vongfong)がヒタヒタと迫りくる中、クァルテット・エクセルシオの新シリーズを聴いてきました。会場は来年3月一杯で閉鎖が決まっている信濃町の津田ホール。
現在でも室内楽を中心にファンの多いホール、私共の在所からはややアクセスに難点があるため出掛ける機会は希、久し振りに緑豊かな信濃町です。ここでは来年2月に第2回が開催予定で、3回以降は別の会場という運びになるのでしょう。

今年が結成20年のエクセルシオは、これまでの定期(東京、札幌、京都)、ラボ・シリーズ、それに晴海のプラス企画がメインでしたが、今年度から更に新企画を立ち上げました。それが「弦楽四重奏の旅」シリーズ。第1回はこういうプログラム。

ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲第12番へ長調作品96「アメリカ」
ヤナーチェク/弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」
     ~休憩~
スメタナ/弦楽四重奏曲第1番ホ短調「我が生涯より」
 クァルテット・エクセルシオ

ご覧になれば判るように弦楽四重奏の「名曲」を並べたもので、この分野をこれから聴いていこう、どうもクァルテットは敷居が高い、と感じているファンに向けたシリーズでしょう。
とは言ってもコアな室内楽ファン、熱心なエクセルシオ応援団にとっても魅力的なシリーズで、それもエクの実力があってのことですね。
チケットは定期やラボを含めたセット券にも組み込まれており、彼らの新たな顔としての演奏会に膨らんでいくことと思慮します。

さて私事、10月4日にアサヒ・アートスクエアで行われたラボは、どうしても外せない所用が入ってしまい、止むを得ずパス。楽しみにしていただけに残念なことではありました。
当ブログは単に感想を書き散らすだけではなく、記録としての意味もあると生意気な考えもあるので、後々の参考のために演目を記録しておきましょう。

『ラボ・エクセルシオ新章Ⅲ』
フィリップ・グラス/弦楽四重奏曲第3番(1991)
バルトーク/弦楽四重奏曲第3番(1927)
~休憩~
野平一郎/弦楽四重奏曲第2番(1995)
イェルグ・ヴィドマン/弦楽四重奏曲第3番「狩の四重奏曲」(2003)

当日は野平一郎氏と渡辺和氏によるプレトークも行われた由。
ヴィドマンを聴けなかったのが悔やまれますが、知人によると“面白かったヨ”とか、“あれは聴くというより見るものですネ”という感想が聞かれました。何れ何処かで「エク版」にも遭遇したいものだと思います。

プログラムの細部を記録しておくのは意味もあって、今回の3曲、以前に何処で聴いたかを当ブログ内で検索することもできます。
それによれば、ヤナーチェクは2010年6月に第19回定期で聴いていましたが、スメタナはエクでは今回が初体験です。確か東京都のフェスティヴァルで演奏したと記憶しますが、その時は何かの都合で聴けなかったもの。
感想は大雑把に。
何処で聴いてもエクはエク。当たり前のことですが、「名曲」を聴き手にシッカリ「名曲だ」と納得させるには、20年の蓄積があってのこと。譜面の隅々まで曖昧な個所は無く、作品全体の構成が見通せる演奏という印象で十分でしょう。
初めて聴いたスメタナ、各楽章の性格を的確に捉え、見事なテクニックで弾き分けます。最後のピチカートも3人の息が合致し、寸分の狂いも無く弾ける。やはり経験を積まなければ出来ないことでしょう。

普通の演奏会ならメインとなる3曲をズラリと並べた弦楽四重奏の旅、それでもアンコールがありました。大友チェロによるアナウンスで、次回の予告編としてモーツァルト「不協和音」からメヌエット。

このコンサートは何れNHKが放映する筈で、舞台上も含め何台ものテレビ・カメラが入っていました。聴き逃した方、台風を敬遠してパスした方、録音録画で確認してください。そして次回は、是非津田ホールに別れを告げるためにも来場されたし。

 

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