スコア閲覧可能な世界初演作

前日は容易にスコアが手に入る曲を聴きましたが、水曜日のプロムスは再びBBC委嘱作の世界初演。さてどんな作品かと思いましたが・・・。

7月22日 ≪Prom 7≫
ディーリアス/幻想曲「夏の庭で」
ニールセン/クラリネット協奏曲
     ~休憩~
ヒュー・ウッド Hugh Wood/Epithalamion (BBC委嘱、世界初演)
ラヴェル/「ダフニスとクロエ」第2組曲
 BBC交響楽団
 指揮/サー・アンドリュー・デイヴィス Sir Andrew Davis
 クラリネット/マーク・シンプソン Mark Simpson
 合唱/BBCシンフォニー・コーラス

ということで、今回はBBC交響楽団を桂冠指揮者アンドリュー・デイヴィスが指揮した回。デイヴィスはプロムスに無くてはならないマエストロで、その英国作品は絶対の信頼が置けるもの。その選曲も素晴らしいプログラムです。
冒頭のディーリアス、続くウッドの新作は、まず日本では聴けない作品でしょう。これがネットとは言えライヴで楽しめるのは時代に感謝と言う感じ。

デリアスは冒頭アンダンテの美しさも然ることながら、暫く進んでから4分の6拍子で奏されるゆったりしたメロディーの素晴らしさに耳を奪われます。チョッと聴くと使われている楽器が何か不思議に思いますが、答えはヴィオラのハイ・ポジションにホルンがユニゾンで加わったもの。ディーリアスの最高のページの一つでしょう。

続いてがヒュー・ウッドの新作。この作曲家は日本では全く演奏されませんが、1932年生まれの英音楽界の重鎮。教育分野でも大きな貢献をされてきた方です。決して多作ではありませんが、ティペットとメシアンの影響を受けており、アヴァン・ギャルドの手法も積極的に取り入れた作風。
NMLでもかなりの作品が聴けますが、40分も掛かる唯一の交響曲は極めてシビアな音楽。この日の指揮者デイヴィスが見事な録音を残しています。弦楽四重奏は確か第5番まであると思いますが、ダーティントン四重奏団の名演がNMLで試聴可能。さぞかし難しい譜面ではないかと聴かれますが、リリカルなシーンにも事欠きません。
このCDには「馬」と「騎手の勝利」という競馬好きには見逃せない歌曲集も収録されていて、ヒュー・ウッドの名前を忘れるわけにはいきませんね。

さて今回の作品はエピサレイミアンと発音するようで、意味はズバリ「祝婚歌」。一種のカンタータで、声楽作品ということもあってか、交響曲や弦楽四重奏曲のような難解な印象はありません。演奏時間は20分ほど。
ウッドの出版社はチェスター・ミュージックですが、そのホームページからプロフィールを読むことが出来ます。

http://www.musicsalesclassical.com/composer/short-bio/1765

しかしそれ以上に驚きなのが、今回の新作のスコアも公開されていること。パソコンのディスプレイの大きさにもよりますが、画面にスコアを読み込んでBBCラジオで試聴可能。私は3回も聴いてしまいました。日本でも新作が初演される場面は少なくありませんが、スコアを閲覧して聴けるというのが流石に音楽の都ロンドンだと感心してしまいました。

http://www.musicsalesclassical.com/composer/work/1765/54559

後半は生誕150年のニールセンからスタート。クラリネット協奏曲は小太鼓が大活躍し、言わばクラリネットと小太鼓のための二重協奏曲のような音楽。二人のソロはメチャメチャ巧い!!

最後のラヴェルは説明不要ですが、合唱を加えた見事なダフクロ2番でした。

 

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