新宿でクルーズ・コンサート?
演奏会ネタ
出掛ける前は何のネタにしようかと思いました。暇潰しじゃ申し訳ないし、演奏会というほど大袈裟でもないし・・・。でも参加した結果は、立派な「演奏会」でしょうね。
ピアニスト・小川典子のトークとピアノ演奏によるサロン・コンサートです。場所は新宿西口にあるアイランドウィングというビルの14階、丸の内倶楽部という旅行代理店の特別企画。
なかなか風邪が抜けず、北風が冷たい。いやだなぁ、と思いつつも勇気を奮って出掛けましたね。
今日は折りしも東京マラソンの開催日、会場から目と鼻の先にある東京都庁がスタートだったそうで、さぞ午前中は人でごった返していたでしょう。我々が寄港した午後2時はさすがに人影もなく、休日の都心に独特の寂しさが漂っていました。
判り難い新宿の街、ビル風を縫って辿り着いた会場はチョッとしたオアシスでした。かなりの空間を取ったスペースは窓が広く、14階という数字以上に見晴らしの良い環境です。
小川さんの感想によれば、クルーズ船をイメージした造りなんだそうで、セットされている客席の他にもゆったりと座れるソファーも用意してあります。コーヒーと紅茶は無論サービス、受付でチョコレートのプレゼントもありましたね。
ピアノはヤマハのCサイズ。このスペースならこれで十分に響きます。
会は、小川典子が度々行っている、トークを交えながらのピアノ・コンサート。今回は旅行会社の企画ということもあり、「旅」を中心としたトークが多目。音楽は比較的短いものを並べ、多彩な内容で進められました。
ドビュッシーからは「亜麻色の髪の乙女」とエチュードが2曲。ベートーヴェンの「熱情」ソナタの第1楽章。グリーグの抒情小曲集から2曲。ショパンの「子犬のワルツ」にプロコフィエフ第7ソナタの第2楽章。最後がリストの「ラ・カンパネラ」という具合。
ナマの音楽は1週間ぶり。最初の「亜麻色」が響いた時、ジーンと来るものがありましたね。彼女のトークもいつになく感動的で、時間はあっという間に経ってしまいました。クルーズ船でのコンサートのこと。そこで学んだ様々な体験。リーズ・国際ピアノ・コンクールのこと。イギリス人とフランス人の国民性。旅から旅の20年等々・・・。
小川典子の年間コンサート数は毎年一定していて、ほぼ70回。それが20年続いているのだそうな。単純に計算すれば、これまで1400回のコンサートをこなしてきたことになりますね。
去年は日本とイギリスとの往復だけで年間15回。その他にも世界各国に飛ぶ。同じ寝床で7日とは寝ないとか。
彼女のトーク・コンサートにはこれまでも何度か接しています。その度にテーマが違いますし、回を重ねるごとに話題も豊富になっていくようです。
私もミクシィに日記なぞ書いていますが、だんだんネタが尽きてきます。彼女は逆にドンドンとネタが増え、語り口にもユーモアと余裕が加わっていく。これ、凄いことですよね。そんなことを思っていると、何故か感動すら覚えるのです。
要するに、「ホンモノ」は本物だ、ということなんです。世評とか噂を気にしなくとも、自分に自信があれば輝いていられる、ということでしょうか。
翻って、音楽の聴き方もそうでしょう。自分の耳で聴いて、これは自分の感性にピッタリくる、と確信すれば、それを信ずれば良いのです。
改めてそんなことに思いを馳せつつ、充実のひと時が過ぎて行くのでした。
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