ご隠居一行のドイツ珍道中(4)ライン下りとアイスワイン

観光二日目は定番中の定番、ライン下り。ツアー番号もズバリ1番で、
「ユネスコ世界遺産に指定されている、ライン渓谷の最も美しい地域を訪れます。中世の古城、ワイン畑に囲まれた可愛らしい村々、ローレライ、ニーダーヴァルト記念碑をご案内。ハイシーズンは、追加料金でロープウェイにご乗車いただきます。ライン川クルーズ、ワイン試飲とランチをレストランでお楽しみください。」

ケルンとは違い、こちらの出発時間は午前11時。朝食を済ませて未だ時間があるので、フランクフルトを歩いて見ることにしました。フランクフルトと言えばマイン川、先ずマイン川を眺めよう。
フランクフルトのシティー・マップを良く見ると、町は中央駅の西側に広がっています。更に中心部を取り囲むように「シティーリング」と称する緑地帯が環状に連なり、南側をマイン川が流れている。想像するに、古代には川を南面として楕円状に町を囲む城壁が巡らされていたのでしょう。川は絶好の防護壁。マイン川に張り付いた都市、ということでフランクフルト・アム・マインと呼ばれるようになった。

我々が泊まっているミネルヴァはフランクフルト中央駅の近く、つまりシティーリングの外側に位置しています。ホテルから少し南下するとマイン川に掛かるフリーデンス橋。ここを渡ると東(リング内の中央)に向かってシャウマンカイ通りが走っている。この通りは愛称ミュージアム通りで、いくつもの美術館・博物館が林立しています。
個性的な建物を眺めながら2本目の橋、ウンターマイン橋を渡ってシティーリング方面に戻ると、目の前に姿を現すのがオパー(歌劇場)。これがオパーか、出し物はフィガロの結婚、ヴォツェック、カルメンなどが並ぶ。近代的な風貌で、一見した限りではオペラ座とは見えません。
様々な角度から写真を撮っていると、そろそろホテルに戻る時間。ミュンヘン通りと名付けられた通りを西に戻って、11時にはライン下りツアーがスタートします。

ライン下りは流石に人気があるらしく、登場したのは典型的な二階建て大型観光バス。この日のガイドは恰幅の良い中年男性で、ドイツ国旗をそのまんまデザインしたネクタイを着用。折しもドイツでは西洋式蹴鞠大会の真っ最中で、前日も何処かを相手に圧勝したばかり。そう言えばルフトハンザの女性クルーは、全員顔にドイツ三色旗を描いてましたっけ。
日本語ガイダンスが付くとのことでイヤホンが配られましたが、これがトンデモナイ不良品。接触が悪くて音は途切れ途切れだし、席によっては全く聞こえない場所も。日本では考えられないサーヴィスですが、ドイツ・ネクタイの英語解説が煩くてとても聴こえたものじゃありません。
その英語、我々には早口過ぎて付いて行くのがやっと。真剣に聴いていると最後はジョークだったりと、その内に飽きてしまいました。同乗したツアー客はアルゼンチンから来た夫婦、インド人、オーストラリアから来た人たち、もちろんアメリカン、大阪から来た若い女性たち等々。その多国籍軍団が到着したのが、アスマンスハウゼンというライン沿いのブドウ畑が広がっている村。

そのまま川下りかと思いきや、バスは丘の上へ。急かされるままに向かったのは案内書にあったロープウェイ乗り場で、キッチリと追加料金が徴収されます。ロープウェイと言いながら実態はリフト、二人一組で乗せられ、眼下にはライン川。高所恐怖症の人にはお薦めしませんね。ワイン畑と森の合間を縫うようにクロウタドリの囀りが響きます。
リフトを降りると直ぐ、川沿いにある怪しげなレストラン「アンカー Anker」に。事前に選んでおいたチキンの昼食が供されますが、ガッチリ型のウエイトレスが飲み物とデザートを注文して回ります。無理矢理、という感じでアイスワイン(又はファンタ)とアイスクリーム(又はコーヒー)。後で判ったことですが、これは別料金で、しかも結構な高価。押しつけられた感は否めません。

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食事が済むと、次は場所を移してワインの試飲。見ると4種類のワインが置かれており、ドイツネクタイが解説。順次熟成されて最終的に辿り着くのが貴腐アイスワインとのこと。この4種類を「乾杯 Zum Wohl !」とドイツ語で合唱して飲み干す、という趣向です。
要するにアイスワインは偶然が産み出した甘口の高級ワインで、食中ではなく食前か食後に嗜むものでしょう。この解説を聞く前に半ば強引に味わってしまったアイスワイン、同時に高価な水も提供されるので(口直しに水が必要)、参加者の間ではトラウマになった人もいた様子。

このあとは愈々ライン下り。と言っても天竜下りの様に水飛沫が掛かる様なスリルは無く、大型船で暫し下って行きます。もちろん途中にはかの有名なローレライの難所。

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船はリューデスハイムに着き、お土産と散策。時間は30分だけというのではコーヒーを飲む余裕も無く、慌ただしく有名な「つぐみ横丁」を往復する位のもの。恐らく時間の節約故でしょうが、もっと時間を取って欲しかった、というのが大方の意見でしたね。

psゼーリゲン 510-002
バスの帰路、ドイツネクタイが頻りにグリーン・ライン・ツアーズの宣伝をぶち、最後にはチップを要求するのには呆れました。社内ではやり手の営業マンなんでしょう。

予定通り7時に終了。ホテルに戻ると、ドクトルYから今後の予定について合って話をしたいという連絡が。ドクトルは夕方フランクフルト空港に着いた魚津組をホテルまで案内し、慣れないツアコン業務に憔悴し切った状態でご隠居一行に合流しました。
事前に選んでおいたマイン川近くのレストラン「バーゼーラ―・エク」(バーゼルの鍵とでも言う意味か)で夕食。ビールを一杯飲み干し、漸く人間に戻ったドクトルと明日以降の手順を確認、無事に二日目を終えます。

 

 

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