シーズン最後のGⅠ戦
イギリスとアイルランドは既に今期のG戦日程を全て終了しましたが、フランスも平場G戦は残すところ6鞍。その内の3鞍が昨日、soft のサン=クルー競馬場で行われました。この日施行された2鞍が、英愛仏競馬最後のGⅠ戦でもあります。
先ずクリテリウム・インターナショナル Criterim International (GⅠ、2歳牡牝、1400メートル)。去年からもう一つのクリテリウムと同日開催に組み換えとなり、距離も200メートル短縮されたという不可解なプログラム。
9頭が出走し、2頭が参戦した牝馬の1頭で前走マルセル・ブーサック賞(GⅠ)2着、オブライエン師が送り込んだプロミス・トゥー・ビー・トゥルー Promise To Be True が21対10の1番人気。主戦のライアン・ムーアは東京で騎乗しているため、この日はシーミー・へファーナンが大役を引き受けていました。
スタートで6番人気(9対1)、フランスの騎手リーディングを突っ走るピエール=シャルル・ブードーが騎乗するキャップチョップ Capchop が落馬するアクシデント。2番人気(33対10)のサンダー・スノー Thunder Snow がダッシュ良く飛び出しましたが、1ハロン地点で同じゴドルフィンの8番人気(32対1)ベイ・オブ・ポエツ Bay of Poets が替わって先頭に立ち、ペースを作ります。一旦2番手に控えたサンダー・スノーが直線に向いてスタンド側にコースを取って先頭に立つと、内を先行していた3番人気(54対10)のサウス・シーズ South Seas に5馬身の大差を付ける楽勝となりました。外を先行していたプロミス・トゥー・ビー・トゥルーは更に1馬身4分の3差で3着まで。
勝ったサンダー・スノーは、上記のようにゴドルフィンの馬で英国のサイード・ビン・スロール厩舎、クリストフ・スミオン騎乗。レスター競馬場でデビュー勝した後、コヴェントリー(GⅡ)6着、ヴィンテージ(GⅡ)2着、シャンペン(GⅡ)2着とG戦で健闘し、前走デューハースト・ステークス(GⅠ)でも4着と勝ち切れませんでした。夏場は厩舎内でインフルエンザが流行っていたこともあり、今期ゴドルフィンはGⅠ戦に縁が無く、シーズン最後になって漸くのGⅠ勝ちとなります。
同馬の父はオーストラリアでコールフィールド・ギニー(GⅠ、1マイル)に勝ったスプリンター/マイラーのヘルメット Helmet ですが、母イースタン・ジョイ Eastern Joy は仏オークス馬ウエスト・ウインド West Wind の半妹。近親にオークスと愛ダービーに勝った馬もおり、2000ギニーに20対1のオッズが出されました。1マイルは問題ないでしょう。
続いては長距離2歳GⅠのクリテリウム・ド・サン=クルー Criterium de Saint-Cloud (GⅠ、2歳牡牝、2000メートル)。距離は変わりませんが、施工時期が早くなっての開催です。13頭と頭数が揃いましたが、地元フランス馬は2頭だけ。英愛独からの遠征組が大勢を占める中、4頭出しオブライエン厩舎のエース格カプリ Capri が6対4の1番人気。前走ベレスフォード・ステークス(GⅡ)に勝って来年のダービー2番人気(14対1)に上がってきた馬です。
オブライエンのペースメーカーで11番人気(49対1)のタジ・マハール Taj Mahal が4ハロン地点まで逃げましたが、中団グループの後ろに付けていた3番人気(57対10)のベスト・ソリューション Best Solution が残り1ハロンで先頭に立ち、勝利目前。しかし、スタンド側の中団から伸びた2番人気(37対10)のヴァルトガイスト Waldgeist が末脚を爆発させると、粘るベスト・ソリューションに1馬身差を付けての差し切り勝ち。本命カプリは中団に付けていましたが、4ハロン地点では最後方に後退。そこから盛り返して半馬身差の3着に食い込み、長距離適性を証明した形です。オブライエン師も先を見据えてのレース内容に満足そう。
勝ったヴァルトガイストは2頭しか出ていなかった地元フランス調教馬で、アンドレ・ファーブル厩舎、インターナショナルで落馬したピエール=シャルル・ブードー騎乗。9月にシャンティーの1600メートルで新馬勝ちし、前走コンデ賞(GⅢ、1800メートル)で今回は8着に敗退したフランクース Frankuus の3着で、これが僅かに3戦目でのGⅠ制覇となりました。
同馬の母ヴァルトレルヒェ Waldlerche はセントレジャー馬マスクド・マーヴェル Masked Marvel の半妹で、近親にはドイツ・ダービーも出ている血統。父はガリレオ Galileo で、ダービーに16対1のオッズが出されました。一方カプリのダービー・オッズは20対1に下がり、2着ベスト・ソリューションには25対1のオッズが出ています。
この日はもう一鞍、サン=クルー競馬場最後となるパース賞 Prix Perth (GⅢ、3歳上、1600メートル)も行われました。2頭が取り消して11頭立て。これが5戦目という浅いキャリアながら2歳時ホリス・ヒル・ステークス(GⅢ)の勝馬で、今年の仏2000ギニーで6着した3歳馬クレージー・ホース Crazy Horse が11対5の1番人気。
6番人気(11対1)のマキシマム・オーレリアス Maximum Aurelius がスタンド側を逃げましたが、最後方から追い込んだ2番人気(9対2)のシユーシェイク Siyoushake が、外を先行していた本命クレージー・ホースに1馬身4分の3差を付けて優勝。中団から伸びた3番人気(53対10)のクールカン Kourkan が頭差の3着に入り、順当な結果に収まりました。
シユーシェイクはフレディー・ヘッド厩舎、ステファン・パスキエ騎乗の4歳馬で、前々走でドーヴィルのカンセー賞(GⅢ)に優勝、前走はニューマーケットのサン・チャリオット・ステークス(GⅠ)に挑戦して4着でした。
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