ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィル(4)

第102回シーズンのワルターの記録です。
1943年11月4・5・6日 カーネギーホール
 ハイドン/交響曲第88番
 ミクロシュ・ロージャ/主題、変奏とフィナーレ
 ベートーヴェン/交響曲第1番
  指揮/ブルーノ・ワルター
1943年11月7日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/「エグモント」序曲
 ハイドン/交響曲第88番
 ベートーヴェン/交響曲第1番
  指揮/ブルーノ・ワルター
1943年11月11・12日 カーネギーホール
 シューマン/「マンフレッド」序曲
 R.シュトラウス/ドン・キホーテ
 ベートーヴェン/交響曲第6番
  指揮/ブルーノ・ワルター
  ヴィオラ/ウイリアム・ランサー
  チェロ/ヨゼフ・シュースター
1944年2月3・4日 カーネギーホール
 ブラームス/悲劇的序曲
 シェーンベルク/清められた夜
 マーラー/交響曲第4番
  指揮/ブルーノ・ワルター
  ソプラノ/デジ・ハルバン
1944年2月5・6日 カーネギーホール
 ブラームス/悲劇的序曲
 モーツァルト/交響曲第35番
 マーラー/交響曲第4番
  指揮/ブルーノ・ワルター
  ソプラノ/デジ・ハルバン
     (2月6日はブラームスを省略)
1944年3月8・10日 カーネギーホール
 バーバー/交響曲第1番
 シューマン/交響曲第4番
 ブラームス/ピアノ協奏曲第2番
  指揮/ブルーノ・ワルター
  ピアノ/ルドルフ・ゼルキン
1944年3月12日 カーネギーホール
 ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
 バーバー/交響曲第1番
 ブラームス/ピアノ協奏曲第2番
  指揮/ブルーノ・ワルター
  ピアノ/ルドルフ・ゼルキン
1944年3月16・17・19日 カーネギーホール
 ブルックナー/テ・デウム
 ベートーヴェン/交響曲第9番
  指揮/ブルーノ・ワルター
  ソプラノ/エレアノール・ステーバー
  アルト/エニッド・サント
  テノール/チャールズ・カルマン
  バリトン/ニコラ・モスコーナ
  合唱/ウェストミンスター合唱団
     (19日はブルックナーを省略し、ラトキンの無伴奏合唱曲「祝福」が歌われた)
1944年4月6・7・9日 カーネギーホール
 バッハ/マタイ受難曲
  指揮/ブルーノ・ワルター
  ヴァイオリン/ジョン・コリリアーノ、マイケル・ローゼンカー
  ヴィオラ・ダ・ガンバ/ヤーノシュ・ショルツ
  フルート/ジョン・ヴンマー
  オーボエ/ハロルド・ゴンバーグ
  オルガン/エドゥアルド・ニース=ベルガー
  ハープシコード/ラルフ・カークパトリック
  ソプラノ/ナディーヌ・コンナー
  アルト/ジーン・ワトソン
  テノール/ウイリアム・へイン
  バリトン/ヘルベルト・ヤンセン
  バス=バリトン/ロレンツォ・アルヴァリー
  バス/マック・ハレル
  合唱/ウェストミンスター合唱団
  少年合唱/ピウス十世典礼音楽学校ジュニア・コーラス
《第2回サマー・シーズン》
1944年5月7日 カーネギーホール
 モーツァルト/交響曲第39番
 シューベルト/「ロザムンデ」~序曲、バレエ音楽第1番・2番
 J.シュトラウス/喜歌劇「こうもり」序曲
 J.シュトラウス/喜歌劇「ジプシー男爵」序曲
 J.シュトラウス/皇帝円舞曲
  指揮/ブルーノ・ワルター
1944年5月14日 カーネギーホール
 ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕前奏曲・第3幕前奏曲
 ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
 ベートーヴェン/交響曲第6番
     *****
1943年11月は、14日にも11・12日のプログラムの一部が変更されて開催される予定でしたが、ワルターの急病のためキャンセル、急遽ピンチヒッターに立ったレナード・バーンスタインが劇的なデビューを飾ったことでも有名です。バーンスタインの伝記などには必ず紹介されている「事件」ですね。詳しい演目も記録されていますが、それはいずれバーンスタイン記録集(実現するか否かは保証しませんけど・・・)で取り上げましょう。
またこのシーズンでは、3月11日にも戦時下の軍人向け?特別演奏会が催されました。(会場はカーネギーホールではありません)ここでは前半をワルターが、後半をバーンスタインが指揮した、という記載になっています。
演奏された曲目には演奏順が書かれていませんので、どれを誰が振ったかは不明。曲目をアルファベット順に並べると、
1.ベートーヴェン/交響曲第5番
2.J.シュトラウス/喜歌劇「こうもり」序曲
3.チャイコフスキー/ロメオとジュリエット
4.チャイコフスキー/交響曲第4番~第3楽章
5.ワーグナー/歌劇「ローエングリン」前奏曲
ワルターがチャイコフスキーを演奏することは考えられませんので、恐らく1と2をワルター、3と4をバーンスタインが振ったと思われますが、5はどちらか微妙。知名度ならワルターでしょうが、曲目の長さを考慮に入れればバーンスタインか。
マタイ受難曲は一部器楽奏者に入れ替わりがあるものの、ほぼ前年と同じメンバーで演奏されています。
珍しいものでは、ロージャはハリウッドの映画音楽で有名な作曲家。MGMの名画に音楽を提供し続けた人ですね。「白い恐怖」、「ベンハー」などが有名なんだそうです。(この分野は苦手なのでよく判りません)
いわゆるクラシック音楽にも多数の作品がありますが、現在ではほとんど知られていません。
バーバーの第1交響曲は、この時が改定稿の初演だった由。ということは初稿があったという証拠でもありますね。その辺の事情もよく判りません。
バーバー作品はレコードが残されていますが、それは1945年1月23日のモノラル録音。この演奏会のライヴではなく、ほぼ1年後に行われたセッションのようですね。因みに、ワルターがこの曲を1945年にニューヨーク・フィルの演奏会で指揮した記録はありません。

 

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